A7チップで高速化。指紋認証機能も搭載
【レビュー】カメラ&処理性能強化、「iPhone 5s」実力検証
■A7チップで処理速度が向上
ハードウェア面での大きな変更点は、64ビットアーキテクチャーを搭載したA7チップを初めて搭載したことだ。64ビット化しただけでなく、クロック速度なども向上させている。この高速処理性能を活かした機能がiPhone 5sには盛り込まれている。またOpenGL ES 3.0に対応し、グラフィック性能も向上させた。これは主にゲームでその性能を発揮するだろう。iPhone 5s発売直前にリリースされた「Infinity Blade III」は早くもOpenGL ES 3.0に対応しており、5sの処理性能を活かしたゲームプレイが行える。
では高速なA7チップを搭載したことで、ふだんスマホで行う作業はどれだけ高速化するのだろう。プロセッサーのベンチマークスコア比較はIT系サイトをご参照頂くとして、今回はSafariを使い、ウェブページの表示速度をiPhone 5と比べてみた。
同じWi-Fiルーターに5と5sを接続し、当サイトやほかのニュースサイトをいくつか閲覧してみたが、スマホ向けに最適化された、比較的データ量やjavascriptの少ないサイトでは、ほとんど差が出ない。ただしPC向けサイトを表示する際には、iPhone 5sの方が際立って速い。iPhone 5sではすでに表示が終わっているのに、iPhone 5ではプログレスバーがまだ3分の2程度、というサイトもあった。
もちろんモバイル環境下では、端末の処理速度より通信速度がボトルネックになるケースも多そうだが、十分な速度が出ているWi-Fi環境下でウェブ閲覧を行う際には、このスピードは明らかなメリットとなるはずだ。
そのほかの処理速度も、キビキビとしてとても快適に動作する。ただしこれも、iPhone 5で十分な速度を実現しているアプリがほとんどなので、なかなかA7チップの恩恵を感じにくいというのが率直な感想だ。
前述の通り、まだ対応アプリが少ないので、A7の64ビットという強力なフィーチャーを生かし切れていないのが実情だ。だが今後iPadなども徐々に64ビット化していくことが予想され、そうなればアプリの64ビット化も進むだろう。A7の真価は徐々に現れることになるはずだ。