A7チップで高速化。指紋認証機能も搭載
【レビュー】カメラ&処理性能強化、「iPhone 5s」実力検証
■指紋認証センサー「Touch ID」
最後に、iPhoneの操作性とセキュリティ面の大きな革新となる指紋認証センサー「Touch ID」について見ていこう。
概要を復習しておくと、iPhone 5sのホームボタンには指紋認証センサーが組み込まれており、それに指でタッチすることでロック画面の解除と、現時点では他にiTunes Store、App Store、iBooks Storeの支払い時の認証にも利用できる。
指紋認証によるロック解除は、パスコード設定をしている場合のロック解除より手早いことはもちろん、パスコード設定をしてない場合と比べても指の動きが少なくてすむ。
パスコード設定していない場合のロック解除は、ボタンを押して画面を表示させてから画面に指を移動させてスライドでロック解除。パスコード設定している場合にはそのあとにパスコードの入力だ。
対して指紋認証では、ホームボタンを押してそのままタッチしているだけという。ひとつの動作だけでロックを解除できる。
実際に試してみると、指の角度を様々に変えてみても、エラーなく高精度に認証が行えた。タッチからロック解除までに要する待ち時間も約0.5秒程度と短い。Appleによると、使っていくうちに認証時間はさらに短くなっていくという。なお指紋は複数登録可能なので、様々な持ち方を想定して左右の親指と人差し指などを登録しておくとよさそうだ。今回の検証機のオーナーである平野も「いちいちパスコードを打たなくて良いので、とても快適。もう」と手放しでその利便性を絶賛する。
なお認識が上手く行われなかった場合、あるいは全く他の人が認証をしようとした場合は、普通にパスコード入力画面に移行する。
別の記事でも触れたが、このTouch IDをAppleが推してくれば、いずれiPadやMacにも搭載され、利用できる場面も拡大されるだろう。例えばiOSにもマルチアカウント機能を搭載し、「家族で使っているiPadを指紋認証でロック解除すると自動的に家族それぞれのアカウントに切り替わる」ということも可能になるかもしれない。
短時間ではあるが、iPhone 5sをAV機能を中心に一通り使ってみた。iPhone 5のユーザーからすると、外見や機能がほとんど変わらないので新味に乏しいというのが率直な感想だが、大きな進化を見せたカメラ性能、そして指紋認証機能による利便性の向上に魅力を感じるのであれば、買い替えを検討しても損はないだろう。また今回の記事では検証できなかったため触れなかったが、「M7モーションコプロセッサ」によって、バッテリー持続時間が長くなっていることも特筆したい。
特に今回はソフトバンクとKDDIに加えてドコモも販売を開始し、各社がユーザーの争奪戦を繰り広げている。下取りやキャッシュバック、各種キャンペーンなどを使えば、自己負担を抑えながら買い替えることもできそうだ。MNPなども視野に入れながら賢く判断して欲しい。
いまiPhone 4や4Sを使っているのであれば、画面が大きくなりながら薄型・軽量化し、さらにスピードも速くなったiPhone 5sとの性能差・機能差は大きい。これらの機種であれば、残債が無料になるキャンペーンなどもキャリアによっては用意されているので、機種変更やMNPを積極的におすすめしたい。
(高橋敦&編集部)