HOME > レビュー > 藤岡誠、マークレビンソンの新インテグレーテッドアンプ「No585」をとことん語る

【特別企画】連続レポート第3回

藤岡誠、マークレビンソンの新インテグレーテッドアンプ「No585」をとことん語る

公開日 2014/12/29 10:26 構成:ファイル・ウェブ編集部
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
片チャンネルあたり14個のケミコンを用いて構成されたパワーアンプ部

藤岡 パワーアンプを構成するケミコンには、どのようなものが用いられているのでしょうか。

藤田 マークレビンソンのパワーアンプは伝統的には大容量のケミコンを使ってきたのですが、「530H」シリーズから小容量のものを多数、並列に使い、ハイスピードに電源供給ができる回路構成をとっています、No585も530Hシリーズの回路を踏襲していて、7つのケミコンをパラに配置したものを+/-に使っていますので、片チャンネルあたりで14個ものケミコンを使っていることになります。

デジタル部とアナログ部の分離が徹底されている点を、藤岡氏は高く評価していた

藤岡 ところで、No585のアンプ回路は完全にバランス構成なのでしょうか?

藤田 プリアンプ回路に関してのみ、アンバランスです。入力はバランス端子を持っていますので、プリアンプのボリュームコントロール前後でいちどアンバランスに変換して、パワーアンプに入るときに再びバランス化しています。パワーアンプはフルバランス構成です。

徹底したデジタル/アナログ回路の分離

藤岡 No585をインテグレーテッドアンプとして考えたとき、フォノ入力は見事に省略されています。一方で、インテグレーテッドアンプにUSB-DACを内蔵するというのは、間違いなく世界のトレンドです。マークレビンソンはデジタルコンポーネントについても非常にセンスの良いものを作ってきましたが、今回のUSB-DACはその流れにあるものと考えてよいでしょうか。

藤田 はい。No585はマークレビンソンが目指すデジタルの方向性を表していると思います。具体的に言うなら、デジタル部とアナログ部の徹底した分離です。No585においてデジタルとアナログを同居させるためにとった手法には、マークレビンソンの思想が色濃く出ています。D/Aコンバーターをはじめとするデジタル部はモジュールになっていますが、モジュール化は同ブランドが昔から取り入れている方法です。No585はデジタル回路をモジュール化して、アナログ部分から分離した基板上に、独立したシールドを施した上で配置しています。

藤岡 デジタルモジュールには、どのようなシールドが施されているのでしょうか。

藤田 D/Aコンバーター基板の裏側をシールドしています。加えて、デジタル入力部とD/Aコンバーター部は別々の基板になっています。D/Aコンバーターをそのままに、デジタル入力部を変更できるということです。デジタルは、アナログに比べて変化の激しいフォーマットですが、こうした形ならばDACはそのままに、USB入力だけ最新のものに変更するということも可能です。逆にDACだけ変更するということも可能でしょう。

藤岡 実に合理的な発想ですね。

藤田 同様にアナログボードもモジュールになっています。アナログについては非常に完成度の高いものですから、変更は考えにくいでしょうが、将来を見据えた拡張性という点では意味があります。


またデジタル/アナログの分離ということで言えば、アナログ回路専用の電源とは別に、デジタル回路には専用の高効率スイッチング電源を搭載しています。電源が完全に分離されているので、電源を経由した干渉も排除しています。さらにスイッチング電源は、それ自体が発するノイズの影響を排除するため、完全に独立したメタルケースに封じ込められた状態で配置されています。

藤岡 デジタルとアナログの分離の徹底は、USB-DACを必要とするユーザーにとっても、そうでないユーザーにとっても重要なポイントですね。

次ページ内蔵DACを活かしてマークレビンソンのサウンドが味わえる

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE