ネットオーディオの「快適な音楽再生」は“コントロール”次第
音楽ファンのための “ネットオーディオ” 完全ガイド【第14回】「ネットワークオーディオで楽しむ(4) コントロール」
コントロールアプリを選ぶ
この記事で紹介したもの以外にも、有料無料含め、多くのコントロールアプリが存在します。完成度も千差万別です。天国を味わえるアプリがあったかと思えば、地獄を見るだけのアプリもあります。問題なのはどのコントロールアプリを使えばいいのか、ということです。
大多数のユーザーが、まずは購入したプレーヤーのメーカー純正アプリを使うことになると思います。メーカー純正アプリは専用・汎用問わず、基本的に自社製品と組み合わせることを想定して作り込むことが可能なため、当然サードパーティー製と比較して安定性が高く、各種機能も充実していることが期待されます。純正アプリの完成度が高ければそれに越したことはありませんが、残念なことに、必ずしもそうではないというのが実情です。
純正アプリを使ってみて、もし使いづらいと思ったのなら、メーカーに操を立てる必要はありません。出来の悪いアプリと付き合い続ける必要など皆無です。さっさと別のアプリに乗り換えましょう。汎用アプリでも優れたアプリが少なからずあります。ただし、どんなアプリを使いやすいと感じるかは実際に使ってみなければわかりません。自分が求める機能を見極めながら、いろいろと使ってみてください。
ネットワークオーディオではプレーヤーからコントロールが独立しているので、ユーザーにはコントロールアプリを自ら選択する自由があります。
例えば汎用アプリで使用することで、プレーヤーのメーカーが変わってもユーザビリティを維持・継続することが可能です。相変わらず実使用においてプレーヤーの存在感はありません。これは同時に、ユーザーがプレーヤーを選ぶ際は純粋にオーディオ機器としての品質だけを考えられる、ということでもあります。無論、外部からのコントロールが十全に機能することが大前提ですが。
メーカー側にも、ユーザーが汎用アプリを使うことを前提にすれば、開発リソースをプレーヤーに集中できるというメリットが生じます。使いづらい純正アプリを用意したところで誰も得をしません。そのため、あえて純正アプリを作らないという選択は、この場合むしろユーザーの利益となります。
逆に、メーカー純正・専用アプリの完成度が極めて高かった場合、それによって実現するユーザビリティが欲しいがためにそのメーカーの製品を買う、ということも十分考えられます。専用アプリの完成度は、ネットワークオーディオプレーヤーの製品としての魅力に直結します。DLNA/UPnPの仕組みを用い、汎用アプリを使用できる余地も残すことで、ユーザーの選択肢が減るというリスクも生じません。
単にスマホからプレーヤーがコントロールできるだけで喜んだような時代はずっと昔に終わっています。コントロールアプリこそ音楽を聴く際のユーザビリティを決定付けるものです。「居ながらにしてすべてを見、すべてを操ることで得られる、音楽再生における筆舌にしがたい快適さ」というネットワークオーディオの真のメリットを得るために、コントロールアプリで妥協してはいけません。
「快適な音楽再生」はオーディオシステムに投資した金額で決まるものではありません。「音楽を聴く」という行為はすべてのユーザーにとって平等です。音楽との関わりを最大化するためにこそ、「コントロール」を大切にしてください。
本連載は第1回にて、PCオーディオとネットワークオーディオの双方に共通する「デジタルファイルとしての音源」に着目することから始まりました。
第2回では音源管理の要となる「タグ」について解説しました。
第3回ではタグを活かすという視点から「コーデック」について解説しました。
第4回では自分ルールの重要性とともに「ライブラリ」について解説しました。
第5回ではCDへの大いなる敬意をもって「リッピング」について解説しました。
第6回ではハイレゾでも構える必要はないと「音源のダウンロード」について解説しました。
第7回、第8回、第9回、第10回では「PCオーディオ」の各要素を解説しつつ、PCオーディオでも「快適な音楽再生」が実現可能だと述べました。
第11回、第12回、第13回では「ネットワークオーディオ」を構成する三要素を解説しつつ、「サーバー」と「プレーヤー」を取り上げました。
そして今回、ついに「コントロール」に辿り着きました。
ここがネットオーディオのゴールです。心行くまで音楽を楽しみましょう。
逆木 一 SAKAKI Hajime
オーディオ・ビジュアルという趣味を愛し、ピュアオーディオとホームシアターの幸せな融合を目指して日々邁進中。ここ数年はネットワークオーディオという方法論に大きな可能性を見出し、その魅力を浸透させるべく活動。音展2014にて「ネットワークオーディオで実現する快適な音楽再生」という講演を実施するなど、活動の場を広げている。
■ブログ「言の葉の穴」http://kotonohanoana.com/
この記事で紹介したもの以外にも、有料無料含め、多くのコントロールアプリが存在します。完成度も千差万別です。天国を味わえるアプリがあったかと思えば、地獄を見るだけのアプリもあります。問題なのはどのコントロールアプリを使えばいいのか、ということです。
大多数のユーザーが、まずは購入したプレーヤーのメーカー純正アプリを使うことになると思います。メーカー純正アプリは専用・汎用問わず、基本的に自社製品と組み合わせることを想定して作り込むことが可能なため、当然サードパーティー製と比較して安定性が高く、各種機能も充実していることが期待されます。純正アプリの完成度が高ければそれに越したことはありませんが、残念なことに、必ずしもそうではないというのが実情です。
純正アプリを使ってみて、もし使いづらいと思ったのなら、メーカーに操を立てる必要はありません。出来の悪いアプリと付き合い続ける必要など皆無です。さっさと別のアプリに乗り換えましょう。汎用アプリでも優れたアプリが少なからずあります。ただし、どんなアプリを使いやすいと感じるかは実際に使ってみなければわかりません。自分が求める機能を見極めながら、いろいろと使ってみてください。
ネットワークオーディオではプレーヤーからコントロールが独立しているので、ユーザーにはコントロールアプリを自ら選択する自由があります。
例えば汎用アプリで使用することで、プレーヤーのメーカーが変わってもユーザビリティを維持・継続することが可能です。相変わらず実使用においてプレーヤーの存在感はありません。これは同時に、ユーザーがプレーヤーを選ぶ際は純粋にオーディオ機器としての品質だけを考えられる、ということでもあります。無論、外部からのコントロールが十全に機能することが大前提ですが。
メーカー側にも、ユーザーが汎用アプリを使うことを前提にすれば、開発リソースをプレーヤーに集中できるというメリットが生じます。使いづらい純正アプリを用意したところで誰も得をしません。そのため、あえて純正アプリを作らないという選択は、この場合むしろユーザーの利益となります。
逆に、メーカー純正・専用アプリの完成度が極めて高かった場合、それによって実現するユーザビリティが欲しいがためにそのメーカーの製品を買う、ということも十分考えられます。専用アプリの完成度は、ネットワークオーディオプレーヤーの製品としての魅力に直結します。DLNA/UPnPの仕組みを用い、汎用アプリを使用できる余地も残すことで、ユーザーの選択肢が減るというリスクも生じません。
単にスマホからプレーヤーがコントロールできるだけで喜んだような時代はずっと昔に終わっています。コントロールアプリこそ音楽を聴く際のユーザビリティを決定付けるものです。「居ながらにしてすべてを見、すべてを操ることで得られる、音楽再生における筆舌にしがたい快適さ」というネットワークオーディオの真のメリットを得るために、コントロールアプリで妥協してはいけません。
「快適な音楽再生」はオーディオシステムに投資した金額で決まるものではありません。「音楽を聴く」という行為はすべてのユーザーにとって平等です。音楽との関わりを最大化するためにこそ、「コントロール」を大切にしてください。
本連載は第1回にて、PCオーディオとネットワークオーディオの双方に共通する「デジタルファイルとしての音源」に着目することから始まりました。
第2回では音源管理の要となる「タグ」について解説しました。
第3回ではタグを活かすという視点から「コーデック」について解説しました。
第4回では自分ルールの重要性とともに「ライブラリ」について解説しました。
第5回ではCDへの大いなる敬意をもって「リッピング」について解説しました。
第6回ではハイレゾでも構える必要はないと「音源のダウンロード」について解説しました。
第7回、第8回、第9回、第10回では「PCオーディオ」の各要素を解説しつつ、PCオーディオでも「快適な音楽再生」が実現可能だと述べました。
第11回、第12回、第13回では「ネットワークオーディオ」を構成する三要素を解説しつつ、「サーバー」と「プレーヤー」を取り上げました。
そして今回、ついに「コントロール」に辿り着きました。
ここがネットオーディオのゴールです。心行くまで音楽を楽しみましょう。
逆木 一 SAKAKI Hajime
オーディオ・ビジュアルという趣味を愛し、ピュアオーディオとホームシアターの幸せな融合を目指して日々邁進中。ここ数年はネットワークオーディオという方法論に大きな可能性を見出し、その魅力を浸透させるべく活動。音展2014にて「ネットワークオーディオで実現する快適な音楽再生」という講演を実施するなど、活動の場を広げている。
■ブログ「言の葉の穴」http://kotonohanoana.com/