“スマホでハイレゾ”の実力は？ Xperia Z4など「ハイレゾ対応スマホ」2015年夏モデル一斉試聴

ボーカルの質感が自然で心地良い。ハイトーンは伸びやかなできめの細かな階調表現だ。ロックやポップスの演奏はボーカルがセンターの位置に定位して、バンドの楽器とそれぞれにシャープな音像を描く。歪みがなく、左右のセパレーションもきちんと確保されている。ドラムスは粒が揃った正確なリズムの再現が心地良い。

オーケストラの演奏でも解像力の高さとセパレーションの良さが活きてくる。楽器の音色の立体感が鮮明で、スケールの大きな空間をが再現される。ピアニッシモのパートも微少な信号が明瞭に描かれ、細部まで彫りの深い演奏が展開される。弦楽器のハーモニーや伸びやかな金管楽器のハイトーンは輪郭が滑らかで艶もある。クリアで透明な低域が演奏全体の緊張感をいっそう引き締めてくれる。

基本的にはXperia Z3と同じ傾向で、ハイレゾの情報量を余すところなく引き出しながらフラットバランスな心地良いサウンドにまとめこむ、ソニーモバイルの巧みなチューニング力が実感される。元祖ハイレゾ対応スマホの名に恥じない出来映えだ。

そのうえ、今回のモデルからはLDACにも対応しているので、ワイヤレス環境でもよりリッチなサウンドが楽しめる。スマホの場合はポータブルオーディオプレーヤーよりもさらに本体の小型化・軽量化がシビアなセールスポイントになってくるので、そう簡単なことではないかもしれないが、将来はフルデジタルアンプ「S-Master HX」の搭載にも挑戦して欲しい。

■カジュアルにハイレゾが楽しめるコンパクト機「Xperia A4/SO-04G」

Xperiaシリーズの中上位クラスに位置づけられるドコモ専用機。作年秋発売の「Xperia Z3 Compact」に続く手のひらサイズのモデルで、同じ約4.6インチのHDディスプレイが採用された。横幅は約66mmとし、フレームに丸みを持たせたことから片手でのホールド感に優れ、音楽再生の操作もスムーズに片手でできて気持ちいい。約2,070万画素のセンサーを内蔵したカメラまわりの機能も充実。Xperia Z3 Compactと同じ2.5GHz クアッドコアのプロセッサーを搭載し、機敏な操作レスポンスを実現している。

音楽再生関連の機能はイヤホン端子からの192kHz/24bitハイレゾ出しをサポートしたほか、対応するイヤホンとの組み合わせでデジタル・ノイズキャンセリング機能が使える。またイヤホンレスでも迫力のあるサウンドが楽しめるフロントステレオスピーカー内蔵も、フラグシップのエッセンスを受け継いでいる。

DSD 2.8MHzのPCM変換再生とギャップレス再生をサポート。Xperia Z4との違いはLDACやヘッドホン自動最適化機能が搭載されていないことと、再生できる音楽ファイル形式にALACは含まれるが、AIFFが非対応なことだ。

■Xperia A4の音質チェック

Xperia Z4のサウンドに比べると低域のボリュームに厚みがあり、音像がより筋肉質でタイトにまとまっている。解像感や全体のフォーカスの鋭さではXperia Z4の方に軍配が上がものの、元気の良い中低域のアタックやエネルギー感で選ぶならA4もありだ。

女性ボーカルの声は輪郭が柔らかくふっくらと描かれ、余韻に自然な暖かみがある。生楽器の柔らかな音の稜線が独特の味わいとリアリティを生んでいる。ジャズのウッドベースは音の芯がしなやかで、ハコ鳴りの音像をどっしりと描く。ミロシュ・カルダグリッチのクラシックギターは弦の艶やかな質感と、空間にふんわりと広がる優しい余韻が楽しめた。

オーケストラは重心が低く、高域の艶も柔らかい。Xperia Z4に比べるとディティールの描き込みが足りなく感じられる部分もあるが、ロックやダンスミュージックの力強いビートを味わいたいならA4もおすすめだ。


■WQHD高精細ディスプレイ搭載の「ARROWS NX/F-04G」

富士通製のARROWS NXは昨年の秋冬モデルに引き続くハイレゾ対応を実現。最新モデルではヘッドホンジャックからの192kHz/24bit出力など順当進化を遂げている。