<山本敦のAV進化論 第59回>
“スマホでハイレゾ”の実力は? Xperia Z4など「ハイレゾ対応スマホ」2015年夏モデル一斉試聴
本機もS6 edgeと同じく、スマートフォンらしからぬ、音楽性に富んだエネルギッシュでディティールにも富んだサウンド。ロックやダンス系の音楽では太めながら、瞬発力のは鋭い軽やかなリズムが気持ち良い。オーケストラやロックのライブ音源では空間のワイドな広がり感と細密なディティールの再現性が味わえる。
ボーカル系の楽曲は歌い手の存在を間近に感じさせるほど、声の鮮度が高くリアル。丁寧に再現されるディティールのニュアンスに、思わず耳を傾けたくなる。AdaptSound機能を併用すれば、長時間リスイングにも聴き疲れすることなく、鮮明で力強いサウンドの旨みが味わえそうだ。
■KDDI×LGによるコラボ4代目「isai vivid/LGV32」
2013年にデビューしたKDDIとLGの共同開発によるオリジナルモデルも、本機がもう4世代目。名前の通り“鮮やかさ”をテーマに掲げる最新端末は、液晶バックライトを青色のLEDチップに黄色の蛍光体という組み合わせから、青色のLEDチップに赤・緑の蛍光体の組み合わせに変更したことで色再現の範囲を拡大した。ソニーもXperia Z2から採用する「Live Colour LED」に近い仕組みかもしれない。
画面サイズは5.5インチで、解像度は2560×1440画素のAH-IPS液晶を採用。カメラ機能も開放値F1.8という、とても明るいレンズを搭載。3軸光学式手ぶれ補正やマニュアル撮影機能も充実させた、写真表現力の高いスマホだ。
ハイレゾ音源はプリインされているプレーヤーアプリ「音楽」で再生。イヤホンジャックからWAV/FLAC形式の192kHz/24bit出力が可能だが、DSD再生やギャップレス再生には非対応。
音楽アプリは再生画面から詳細情報のメニューを選択すると楽曲のサンプリング周波数やビットレートまで詳しく表示できる。各種イコライザー機能はハイレゾ再生中は無効になる。
アプリのインターフェースも配色が鮮やか。USBからのハイレゾオーディオ出力は、やはりAndroid 5.0の仕様によるためか、接続するUSB-DACのパフォーマンスに合わせてアプコン処理がかかるようだ。
大画面なのに背面に緩やかな曲線を持たせたデザインにより高いホールド感を確保。持ちやすさの反面、通常は側面に配置されていることの多い電源ボタンやボリュームボタンが、従来の「LG Gシリーズ」と同様に本体背面にあるので、ボリュームのアップダウン操作などが直感的にできるようになるまで少し慣れが要る。SDカードは背面パネルを開けないとスロットにアクセスできないが、電池を付けたままでも着脱できるポジションにあるのでハンドリングはしやすい。
■isai vividの音質チェック
今回試聴したハイレゾスマホの中でも、とりわけサウンドのバランスが良く感じられた。マイケル・ジャクソンのボーカルはハイトーンが艶やかで、輪郭の彫りも深く、余韻が滑らかで心地よく耳に残る。S/Nが高く、バンドの音との分離、定位感も上々。低域がクリアで鋭く、演奏の緊張感を高めてくれる。シリーズ名の通り、“鮮やか”な音にチューニングされた鮮度の高い味付けに好感が持てた。