【特別企画】SPとCDプレーヤー各3機種でスクランブルテスト
ヤマハ新プリメインアンプ「A-S1100」を人気CDプレーヤー&スピーカーと組み合わせテスト
■前半:スピーカー編
▼B&W「CM5 S2」×A-S1100
最初に聴いたB&Wの「CM5 S2」は、新世代CMシリーズの中核というべき製品で、新開発のデュアルレイヤー・ドームトゥイーターと16.5cmウーファーを組み合わせたシンプルな2ウェイ構成が扱いやすい。「CM6 S2」や「CM10 S2」とは異なり、ノーチラスチューブをキャビネットに内蔵したオーソドックスな構造を採用する。
CMシリーズの他のスピーカーと同様、ギターやパーカッションの立ち上がりが俊敏で、音にスピードが乗っている。スピードの乗った音と紹介すると、鋭利で刺激的な音を連想しがちだが、CM5 S2の音調はそれとは正反対で、むしろ落ち着いた雰囲気をたたえている。
それが特に際立つのは女性ヴォーカルで、ジェニファー・ウォーンズの『パンサー』や、ムジカ・ヌーダの『アリア』を聴くと、声の低めの音域がゆったりとした広がりと柔らかい質感をたたえて美しい。パーカッションやギターの粒立ち感や鮮度の高さと中低域の柔らかい感触の組み合わせはとてもバランスが良く、ヴォーカル好きならピタリとはまりそうだ。
エソテリックがSACD化したジョン・コルトレーンの『ブルー・トレイン』は、シャープに拍を刻むドラムとタイトなピアノがサックスの実在感を際立たせ、臨場感の高さが半端ではない。当時の空気が生々しく伝わるのは、演奏に本来そなわる緊張感がリマスタリングで蘇ったためだろう。
ガーディナーが録音したバッハの『復活祭オラトリオ』はオーボエやフルートの音色にほどよい柔らかさがあり、合唱や独唱の響きときれいに溶け合う。声と木管楽器がぶつからず、柔らかく共鳴する美しさは、新しいCMシリーズに共通する美点の一つだ。A-S1100には、そうしたスピーカーの長所を自然に引き出す柔軟さがそなわっている。