フラグシップ“S3000”と異なる個性をレポート
【レビュー】ヤマハ新Hi-Fi「CD-S2100」「A-S2100」を大橋伸太郎が徹底解剖
■ヤマハの新Hi-Fiコンポーネント“S2100”シリーズを大橋伸太郎が徹底チェック!
昨年秋に登場したSACD/CDプレーヤー「CD-S3000」とプリメインアンプ「A-S3000」のコンビは、2chピュアオーディオのヤマハの技術力と鋭い感性を遺憾なく知らしめる傑作だった。
CD-S3000はESS SABRE DACの最上位「ES9018」のポテンシャルに限りなく寄り添い始めて開花させた製品といっていい。一方のA-S3000は、CD-S3000の研ぎ澄まされた刃のうかつに触れたら切れそうな出力を「何も足さない、引かない」一点の曇りもない文字通りのニュートラルサウンドで受け止めハイレゾ時代の音を実感させた。パッケージメディアからPCからのUSB入力まで心地よい「厳しさ」を感じさせる清々しい音質は2014年に登場したオーディオ機器中の白眉といってよく、筆者に最も強い印象を残した。事実、量産開始後すぐにCD-S3000を購入、視聴室のプレイバックリファレンスとして現在稼働中である。
それから半年が経過し、ヤマハからSACD/プレーヤーとプリメインアンプの早くも新製品が発表された。「CD-S2100」と「A-S2100」である。S3000コンビの衝撃覚めやらぬ内に早くも登場した新世代の第二弾。興味深いではないか。試聴の機会を得たので早速紹介しよう。
■フラグシップ“S3000”シリーズとの比較
両機は2007年発売の「CD-S2000」と「A-S2000」の後継という位置付けである。しかし両機のデザインはS3000系と共通でありつつ、どちらもややコンパクト。SACDプレーヤーのCD-S3000とCD-S2100を比べてみると、CD-S3000が全高142mmに対しCD-S2100は137mmである。
外観だけではない。構成と内容は限りなくS3000に近い。サイズ差が生まれた理由に、CD-S3000が新規にシャーシを起こしたのに対し、CD-S2100はCD-S2000のシャーシを流用していることが挙げられる。
また、CD-S3000では文鎮を介してCDメカユニットをシャーシに固定したのに対し、CD-S2100は同じメカを1.6mm厚のアンカープレート上にマウントする手法を取っている。CD-S3000ではデジタルノイズの飛び込みを避けるためにアナログ系電源部をケースに入れて固定したが、CD-S2100はこの部分を省略。CD-S3000ではアナログ/デジタル用共にトロイダルトランスを使用したが、CD-S2100の場合、デジタル系にEIトランスを採用した。構成部品と組み上げで全高が抑えられたわけである。後述するが、これが両機の音質の方向性の違いと対照を生み出している。
CD-S3000との違いについてもう少し触れておくと、搭載DACが、CD-S3000の場合ESS SABLE DACの最上位「ES9018」を採用するのに対し、CD-S2100は次位の「ES9016」になる。ただしDAC基板は同一で、USB入力で最大DSD 5.6MHz、PCM 192kHz/24bitのハイレゾファイル再生が可能だ。DSDの伝送にはASIO2.3またはDoP方式を採用する。
プリメインアンプA-S2100も、シャーシはA-S2000のそれを流用している。しかし、全高はS2000(137mm)から20mm増しの157mmである。ちなみにA-S3000は180mm。A-S3000がトロイダルトランスを使用するのに対し、A-S2100はA-S2000と同じ大型EI型を採用した。共通部分が多いのにA-S2100がA-S2000から大型化した理由は、主に放熱対策とPEAK/VU切替え式メーター搭載のため前面パネルに面積が必要だったためである。A-S3000はブロックケミコンの脚をネジ止めしていたが、A-S2100ではこの部分を省略。しかし、ローインピーダンス設計という点はA-S3000と共通で、内部配線は全てネジ留め結線とし、大電流が流れる箇所は太い銅線を使用。グランドを落とす箇所に銅プレートを介する工夫を凝らしている。
逆にA-S3000との共通部分を見ていくと、全段ディスクリート構成バランス伝送で、増幅に±同一極性のMOS FET素子(サンケン製)を採用したフローティング&バランス構成としている。JRC製電子ボリュームや、ヘッドホン&MCフォノイコライザーを搭載する部分もA-S3000に準じる。真鍮製削り出しスピーカーターミナルはA-S3000のそれと形状は同じだが一回り小さい。PEAK/VU切替え式パワーメーターはA-S3000とサイズメーカー共に異なる。
昨年秋に登場したSACD/CDプレーヤー「CD-S3000」とプリメインアンプ「A-S3000」のコンビは、2chピュアオーディオのヤマハの技術力と鋭い感性を遺憾なく知らしめる傑作だった。
CD-S3000はESS SABRE DACの最上位「ES9018」のポテンシャルに限りなく寄り添い始めて開花させた製品といっていい。一方のA-S3000は、CD-S3000の研ぎ澄まされた刃のうかつに触れたら切れそうな出力を「何も足さない、引かない」一点の曇りもない文字通りのニュートラルサウンドで受け止めハイレゾ時代の音を実感させた。パッケージメディアからPCからのUSB入力まで心地よい「厳しさ」を感じさせる清々しい音質は2014年に登場したオーディオ機器中の白眉といってよく、筆者に最も強い印象を残した。事実、量産開始後すぐにCD-S3000を購入、視聴室のプレイバックリファレンスとして現在稼働中である。
それから半年が経過し、ヤマハからSACD/プレーヤーとプリメインアンプの早くも新製品が発表された。「CD-S2100」と「A-S2100」である。S3000コンビの衝撃覚めやらぬ内に早くも登場した新世代の第二弾。興味深いではないか。試聴の機会を得たので早速紹介しよう。
■フラグシップ“S3000”シリーズとの比較
両機は2007年発売の「CD-S2000」と「A-S2000」の後継という位置付けである。しかし両機のデザインはS3000系と共通でありつつ、どちらもややコンパクト。SACDプレーヤーのCD-S3000とCD-S2100を比べてみると、CD-S3000が全高142mmに対しCD-S2100は137mmである。
外観だけではない。構成と内容は限りなくS3000に近い。サイズ差が生まれた理由に、CD-S3000が新規にシャーシを起こしたのに対し、CD-S2100はCD-S2000のシャーシを流用していることが挙げられる。
また、CD-S3000では文鎮を介してCDメカユニットをシャーシに固定したのに対し、CD-S2100は同じメカを1.6mm厚のアンカープレート上にマウントする手法を取っている。CD-S3000ではデジタルノイズの飛び込みを避けるためにアナログ系電源部をケースに入れて固定したが、CD-S2100はこの部分を省略。CD-S3000ではアナログ/デジタル用共にトロイダルトランスを使用したが、CD-S2100の場合、デジタル系にEIトランスを採用した。構成部品と組み上げで全高が抑えられたわけである。後述するが、これが両機の音質の方向性の違いと対照を生み出している。
CD-S3000との違いについてもう少し触れておくと、搭載DACが、CD-S3000の場合ESS SABLE DACの最上位「ES9018」を採用するのに対し、CD-S2100は次位の「ES9016」になる。ただしDAC基板は同一で、USB入力で最大DSD 5.6MHz、PCM 192kHz/24bitのハイレゾファイル再生が可能だ。DSDの伝送にはASIO2.3またはDoP方式を採用する。
プリメインアンプA-S2100も、シャーシはA-S2000のそれを流用している。しかし、全高はS2000(137mm)から20mm増しの157mmである。ちなみにA-S3000は180mm。A-S3000がトロイダルトランスを使用するのに対し、A-S2100はA-S2000と同じ大型EI型を採用した。共通部分が多いのにA-S2100がA-S2000から大型化した理由は、主に放熱対策とPEAK/VU切替え式メーター搭載のため前面パネルに面積が必要だったためである。A-S3000はブロックケミコンの脚をネジ止めしていたが、A-S2100ではこの部分を省略。しかし、ローインピーダンス設計という点はA-S3000と共通で、内部配線は全てネジ留め結線とし、大電流が流れる箇所は太い銅線を使用。グランドを落とす箇所に銅プレートを介する工夫を凝らしている。
逆にA-S3000との共通部分を見ていくと、全段ディスクリート構成バランス伝送で、増幅に±同一極性のMOS FET素子(サンケン製)を採用したフローティング&バランス構成としている。JRC製電子ボリュームや、ヘッドホン&MCフォノイコライザーを搭載する部分もA-S3000に準じる。真鍮製削り出しスピーカーターミナルはA-S3000のそれと形状は同じだが一回り小さい。PEAK/VU切替え式パワーメーターはA-S3000とサイズメーカー共に異なる。