【特別企画】SPとCDプレーヤー各3機種でスクランブルテスト
ヤマハ新プリメインアンプ「A-S1100」を人気CDプレーヤー&スピーカーと組み合わせテスト
■後半:CDプレーヤー編
後半はCDプレーヤー3機種を掛け合わせ、A-S1100が各モデルの個性をどう引き出すか、聴き比べる。スピーカーはKEFのR300に固定している。
▼デノン「DCD-1650RE」×A-S1100
最初に聴いたデノンの「DCD-1650RE」は、世代を重ねたロングセラーだけにシリーズを通して根強いファンが多い。読者のなかにも愛用している人がたくさんいるのではないだろうか。完成度の高いビット拡張技術「Advanced AL32 Processing」を積んでおり、微細情報の再現性を高めていることがポイントだ。
ディスクごとの音の特徴を際立たせるプレーヤーというのが第一印象だ。ウォームなタッチの録音はヴォーカルもベースもゆったりとした感触が前面に出る一方、ハードな要素のあるアルバムをかけると、歯切れの良さや粒立ち感が際立つという具合。A-S1100自体、ソースコンポーネントの音の違いを忠実に伝えているのだが、ここではそれ以上にプレーヤーの支配力の強さを実感させられた。
ムジカ・ヌーダのシンプルなデュオは声にぬくもりと潤いが加わり、子音にも尖った感触はない。その一方でジェニファー・ウォーンズの曲はパーカッションの粒子が細かく、いかにも粒立ちの鮮明なサウンドという印象。ヴォーカルは一歩前に出て鮮明な音像が定位し、ブレのない安定感に好感を持つ。
コルトレーンのSACDは鋭さや粒立ちよりも密度の高さと芯の強さが際立ち、1950年代後半のアナログ録音らしい温度感をたたえている。特にサックスは力強く、前に出てくるイメージ。ベースも音圧感が強く、ピアノの左手も重量感がある。
クラシックの得意分野はオーケストラと声楽作品だろう。ガーディナーが振ったバッハの復活祭オラトリオは、合唱の柔らかい質感とピリオド楽器の俊敏な立ち上がりが両立し、長めの残響のなかで自然に溶け合う。A-S1100は特に中高域で余韻の透明感が高いためか、弦楽器の動きは克明で鮮度が高い。
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