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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第150回】田村ゆかりさんに捧ぐ!ラジオ「いたずら黒うさぎ」歴代OP/ED曲をオーディオ目線で語る

公開日 2016/03/25 10:45 高橋 敦
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▼空の向こう側に(シングル「夢見月のアリス」より)

2004年04月03日から2004年09月25日のED曲。この時期のEDパートでは「番組特製うちわ」の当選者が発表されていたが、予算的な問題で特製、というか、ゆかりさん&スタッフの皆様のほぼ手作りという実に貴重な品だったという。

空の向こう側に(シングル「夢見月のアリス」より)

さてこの曲は、後ほど紹介するもう一曲もそうなのだが、ゆかりさんの曲の中でも独特の雰囲気を持っていて、個人的には妙に気に入る、というか気になる曲だ。曲も歌い方も抑揚や勢いを抑え気味にして淡々と進み、しかしそれだからこそ切ない。

そしてここまでに紹介してきた曲の中では初めて、一般的なバンドサウンドの登場だ。ドラムスとベース、ギターのベーシックなトリオが土台で、そこにシンセやアコースティックギター、ゆかりんコーラスが重ねられている。そのいずれも、前述のように抑揚を抑えた、大きな動きや複雑な動きはあえてしないアプローチだ。

オーディオ的な観点から見てもそのサウンドは、ここまでの中でいちばんシンプル。中低域のタイトさや空間性の豊かさは、もちろんこの曲でも欲しいは欲しいが、前述の二曲ほどに欲しいわけではない。ではそんなこの曲で特に欲しい要素は何かというと、中高域、というかずばりボーカルとギターのクリアさ。

例えば最初のサビ。音場中央にゆかりさんのボーカルがあることはもちろん、同じ中央の奥ではギターも印象的なバッキングを行っている。ここでこのふたつが嫌な混じり方をしてしまってはもったいない。それぞれを明瞭に感じたい。

そのサビに続いてはAメロに戻るが、頭のAメロとは違い、左サイドに動きのあるギターが追加され、ボーカルの主メロの下にハーモニーが置かれている。そしてそのAから次のBに移るとハーモニーは主メロの上に置かれる。それによって歌がぱっと開放的に響き、場面転換がより鮮やかになっているわけだ。そのためにこのハーモニーもぜひ綺麗に重ねたい。

・・・というようなところを際立たせたいので、ボーカルやギターのクリアな再現性が特に欲しい曲なのだ。そこに強みのあるオーディオシステムで聴きたい。

なおこちらの曲は作曲と編曲のみならず歌詞まですべて、田村ゆかりさんの音楽活動に欠かせない人物の一人、太田雅友さんによるもの。この後に紹介していく曲も含めて、ゆかりさんの代表曲の多くで作曲と編曲を担当している方だ。その太田さん、この時期には作詞までも手がけていた。

次ページどんどんいくぞ、「candy smile」

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