[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第150回】田村ゆかりさんに捧ぐ!ラジオ「いたずら黒うさぎ」歴代OP/ED曲をオーディオ目線で語る
▼candy smile(シングル「恋せよ女の子」より)
2005年04月16日から2005年10月01日のOP曲。こちらはまだコナミメディアエンタテインメントからの発売だが、販売元はキングレコードとなっている。
この時期のフリートークでは、
「高〜〜〜〜いビルにごはん食べに行ったの。高級っぽいホテルなんだけど、お店の店員さんが、何とメイド服じゃなくて着物を着てるんですよ!『みっしー』に連れてってもらったんだけど」
といった話題があり、このときにはもうゆかりさんのことを気にかけてくれていたのだなと知ることができる。
さて曲としては、ここまでの流れから一転して勢い溢れる、これぞOP!という感じの曲だ。頭っからバンドでのキメが入り、その勢いのまま最後まで突っ切る。
ミックスのポイントは主要パート主要パーツがセンター寄りの定位にまとめられていること。バスドラムとスネア、ベース、あともちろんメインボーカルはセンターが定位置なのでそれは当然だ。しかし他の曲ではというか一般的にはもう少し明確に左か右に寄せられていることの多いギター、そして広がりを演出することの多いゆかりんコーラスも、この曲では真ん中に寄せられている。この定位はバンドが一体となっての勢いを強める狙いではないかと思われ、そして実際そのような効果を感じることができる。
となると再生する側としても、「配置が重なっている楽器もしっかり分離して届ける解像感の高い再生システムで」みたいな一般論に則る必要はないだろう。ミックスの定位は重なっていてもパートごとにフレーズの音域や譜割、動きの細かさやタイミング、を明確に振り分けて分離させてあるアレンジだったりら、その分離をしっかり再生することを狙うのがよいだろう。しかしこの曲は多くの場面で全パートがユニゾンに近いという、明らかに一体感で一点突破なアレンジだ。
ならばそれを再生するオーディオシステムも、一体感と勢いさえ感じられれば問題ない。解像感とかクリアさのあるシステムで聴いてもそもそもの音に一体感があるのでそれが損なわれることはないが、逆に言えば再生側で分離とかを強めようとしても無益だし無駄だ。
オーディオ側で意識した方がよさそうなポイントとしては、ベースのアタックのクリアさやキレだろうか。特にサビでラインを動かさずルート音だけでドライブさせていく場面では、同じ音程の音が連続して弾かれ続ける。そこでその一音一音の粒立ちがはっきりしてくれないと、そのドライブ感が届きにくくなるかもしれない。一音ごとに音程に動きがあるフレーズに対する場合よりも、その点はシビアに考えておくべきだろう。
次ページ次は「candy smile」と共に「恋せよ女の子」に収録された「君をつれて」
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