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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第216回】声DAP×声ホン×声ソンで大スクランブルテストッ!A&norma SR15と声イヤホンを声優ソングで聴きまくる

公開日 2018/08/24 08:11 高橋 敦
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Westone「W80」
 実売19万0000円程度:BAマルチ型

低域2基+中域2基+高域4基のマルチドライバー構成の超ハイエンド機。それでいて前述の通り、シングルドライバー機にも負けず劣らずの全体のまとまり、調和を備えている。

調和といえば、メインボーカル・コーラス・楽器など、楽曲のすべての音を重ね合わせ、時にさらに踏み込んで溶け合わせるという表現も、このイヤホンの強い魅力。その和らいだ感触のため、曲調との合う合わないは正直少なからずあるのだが、「声」一点突破で見るならば、だいたい誰の声の魅力もしっかり引き出してくれる。そういう意味では「これぞ声ホン!」と言えるかも。

そして声DAP「SR15」の総評!

AK70系統のラインを受け継ぎつつ新鮮さも出したニューデザイン

斜めってるけれど持って使ってみると違和感はなかった


世代が進むにつれボリュームダイヤル周りのカットの工夫が進み、より回しやすくより誤動作しにくくなってきている

今回はシングルエンドで評価したがもちろん2.5mmバランス駆動にも対応

超ハイエンド機・実売36万円程度な「A&ultima SP1000」と比べると、こちらSR15(実売9万円程度)は、総合的なレベルはもちろんそれに及ぶものではない。聴いてすぐに分かる箇所を挙げるならば、例えばSP1000はシンバルを薄刃に鋭利に研ぎ上げてくれるが、同じ曲をSR15で聴くと、十分にはシャープだが研ぎ上げたというほど気持ちよい鋭さにまではしてくれない。

しかしそれは価格差、音質向上のために投入できる物量を考えれば当然。SR15の見事さは、そういう不利は素直に受け入れた上での音作りの見事さだ。

先ほど例に挙げた高域で言えば、超ハイエンド機のような美しい薄刃さは、もう音作りの工夫とかだけで手に入れられるものではない。ハイコストな設計やパーツという基礎があった上でのみ、あの音作りも可能になる。そういうものだ。その基礎もなしに音作りだけを真似しようとしても、「伸ばそうとしたけれど伸びきれてはいない」「鋭さはあるけれど綺麗な鋭さではない」のような、微妙な耳触りの高域になってしまいがち。

SR15はそこで無理をしていない。「この価格帯の基礎の上で、無理なく可能な範囲で綺麗に伸ばす」といったような音作りを感じさせる高域だ。

そして高域だけではなく、全体としての「無理の出ない範囲で綺麗にまとめる音作り」が結果として、楽器に対してボーカルが相対的に半歩前に出てくるものとしてくれている、そしてボーカル帯域を上質なものとしてくれているように思える。

「高域側でも低域側でも無理をしてないのでそこに余計な癖や主張がなく、歌の後ろで楽器が変な目立ち方をしにくい」
「高域側や低域側の強化に過剰なコストを投入せず、その分を基礎に投入したおかげか、その充実が特にボーカル帯域で顕著」
そういった印象や推測を引き出してくれる、そんな音を届けてくれるDAPだ。

実直かつ合理的にこの価格帯での最善手を打った、「結果的に声DAP」ということなのではないかと思う。なので声に強いDAPではあるが、それに特化しているのではなく、全体的にもハイレベルなのだ。

まあそれが意図されたものであったとしても、偶然の産物であったとしても、とにかく、SR15は声の表現にも特に優れた、ボーカルを魅力的に届けてくれるDAPだ。
「声DAP」に偽りなし!
その納得を最後の言葉とし――今回この記事の締め括りとしたい。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。



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