• ブランド
    特設サイト
公開日 2015/03/25 11:49

“画と音が良いタブレット”「Xperia Z4 Tablet」開発者インタビュー

<山本敦のAV進化論 第48回>MWCで発表された新モデルの背景
山本 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ソニーモバイルがMWC 2015の会場にて、10.1型Androidタブレットの新フラグシップ「Xperia Z4 Tablet」を発表した。ソニーブランドで同サイズのタブレットがアップデートされるのは「Xperia Z2 Tablet」以来一年ぶりとなる。詳細については、既にPhile-webのニュースでお伝えした通りだが、今回はソニーモバイルから本機のディスプレイに関わる高画質化、本体の薄型・軽量化、さらにはバッテリー関連の技術開発に関わった担当者へのインタビューをお届けするとともに、“対iPadへの勝算”を考察してみたい。

インタビューに対応いただいたのは、ソニーモバイルコミュニケーションズの斉藤裕一郎氏、ファン・ジェレミー氏、泉 宏志氏の3名だ。

インタビューに対応していただいた、ソニーモバイルコミュニケーションズ(株)のDevelopment Tokyo Product Program Office Program Office R&D Project Officeシニアプロダクトマネージャーの斉藤裕一郎氏(中央)、Development Tokyo ハードウェア部門 デバイスデザイン部 Display/TP課 ファン・ジェレミー氏(左)、Development Tokyo ハードウェア部門 Advanced Design部 System課 Senior System Engineerの泉宏志氏(右)

■缶ジュース1本分に迫る超軽量タブレット

まずは本体の薄型・軽量化について斉藤氏に訊ねた。ニュースでもご紹介した通り、新しい「Xperia Z4 Tablet」(以下:Z4 Tablet)は6.1mmの薄型設計とし、前機種のZ2 Tabletで実現した6.4mmという記録を更新した。画面サイズは本機よりも少し小さいが、ライバルとなるであろう「iPad Air 2」に並ぶ薄さだ。

左側Z2 Tabletと右が新しいZ4 Tablet。同じ画面サイズながら、フレームを狭くして本体サイズのコンパクト化を図った

ディスプレイを縁取るベゼルはZ2との比較で30%も峡額化した。写真を比較して見てもらえば差がよくわかると思うが、本体を横画面に構えた際の長手方向のベゼル幅が24mmから17mmに狭くなっている。手に取って眺めてみても、ずいぶんとすっきりとした印象を受けた。

ベゼルの幅は奥のZ2 Tabletと比べて、手前のZ4 Tabletは30%の峡額化を実現している

斉藤氏は「特に本体の軽量設計にはこだわった」とコメントに力を込める。Z2 TabletのWi-Fiモデルは426gだったが、Z4 Tabletでは389gへと一段と軽くなった。「iPad Air 2」が発表された当時、筆者は10インチ台のタブレットがこれほど薄くなる意味があるのだろうかと訝しんだが、実機に触れたとたん物欲を刺激された記憶がある。Z4 Tabletの場合も、380g台に突入した軽量化のインパクトは確かに大きなものがあるし、手に取ってみると、これなら普段持ち歩くのに負担が少ないだろうと納得させられてしまう。

数々の取り組みにより本体の薄さは6.1mmを達成

これだけ本体を軽量・コンパクトにできたことについて、斉藤氏は「設計、電気、メカ、ディスプレイ、システムの全要素について、開発陣が一丸となって実現した成果です」とチームの健闘を強調する。

Z2 Tabletに比べて、ディスプレイとタッチパネルモジュールを合わせて約20gの軽量化が図られている。他にもバッテリーが約12g、メカニクス等の部分であと約5gを詰めて、トータルで37gの改善を実現した計算だ。

「薄くした分、強度が損なわれているのではないかと心配されることもありますが、Xperiaシリーズは強度も万全です」と斉藤氏が話すとおり、強度面にも磨きをかけた。斉藤氏の説明は以下のように続く。

「2013年発売のXperia Tablet Zは、メインフレームに基板やバッテリー、カメラなどのモジュールを取り付け、表側にガラスタッチパネルモジュールを、背面にもガラスパネルを装着する“3レイヤー構造”でした。バックパネルに0.6mm厚のFRP(繊維強化プラスチック)を使って、強力な粘着材料で固定していましたが、この構造をもっと強化できないかと考えました」。

「そこでZ2 Tabletから、ユニボディ設計の“バスタブタイプ”のフレームに変更して強度アップを図り、Z4 Tabletでも同じメカニクスのメンバーが設計を担当しています。Z2 Tabletの時点で既に、もうやり残しがないほど強化したのですが、今回はよりいっそうの見直しをかけて“約20%”の効率化を実現しています」(斉藤氏)。

Xperia Tablet Zと比べて、Z2 Tabletの本体厚みは6.9mmから6.4mmに薄型化されている。その背景にはユニボディ構造のフレームを採用したことが大きく効いているが、そのマテリアル自体は同じFRPを使っている。ところがZ4 Tabletではさらに成型時に強度を上げ、0.5mmの薄さをキープしたまま硬くつくることで本体の軽量化に結びつけた。

マテリアルに金属ではなくFRPを使う理由については、本体の軽量化にとって重要なファクターになるからだ。メタルフレームのボディを採用する「iPad Air 2」は、Wi-Fiモデルが約437gであることに比べると、マテリアルがもたらす効果が大きいことがみえてくる。一枚板のFRPは手で折り曲げられる柔軟性も持っている。タブレットのボディに成形した後はもちろん折れ曲がることはないのだが、その柔軟性をプラスに働かせることで本体強度を高め、さらにZ2 Tabletから技術的に上を目指してブラッシュアップをかけた製品が今回のZ4 Tabletというわけだ。

■バッテリー容量は変わっていないのに長寿命化を実現

Z4 Tabletは、Z2 Tabletと同容量である6,000mAhのバッテリーを搭載しているのに、バッテリーライフが前機種よりも伸びている点は見逃せない。例えば動画連続再生時間はZ2 Tabletの約13時間から、Z4 Tabletでは4時間伸びて約17時間に到達している。これはバッテリーのセルや基板レイアウトを1から見直し、モジュールの小型化を押し進めることによって駆動時の消費電力を削減したからなのだという。

次ページ“史上最高画質”のディスプレイ実現の背景

1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 楽天ブラックフライデーでJBLの超人気サウンドバー「BAR 1000/800」が激安!プロも驚く革新的モデルはどんな音を鳴らす?
2 評論家が厳選!マランツ「MODEL M1」でPolk Audio/KEF/TAD/Harbethのスピーカーを鳴らす
3 ビクター新ワイヤレスヘッドホン「HA-S99N」速攻レビュー! 評論家が「もう驚きでしかない」と高評価した魅力とは?
4 ボーズ、McIntosh Groupを買収。マッキントッシュ、ソナス・ファベールが傘下に
5 レグザが100型クラス大画面4Kテレビを拡充する理由とは? 目黒蓮の特別コメントも
6 パナソニック「2023年度 優秀ご販売店様謝恩会」を開催。21店が栄誉に輝く
7 山之内 正氏によるエソテリック×アキュフェーズ×マランツ比較試聴会、「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2024」で開催
8 オーディオファイル待望の物量投入型プリメインアンプ!デノン「PMA-3000NE」をクオリティチェック
9 B&Wの音は “信頼に値する重要な指標”。音元出版の新試聴室に「802 D4」が導入されたワケ
10 新開発ユニットを巧みに操る懐深いサウンド。ELAC「Debut 3.0」フロア型/ブックシェルフ型を聴く
11/22 10:41 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX