公開日 2015/12/22 12:39
“デジタル地上波最高音質放送”とは? 来春開始「i-dio」キーマンに訊く
<山本敦のAV進化論 第78回>TOKYO SMARTCAST 武内氏インタビュー
放送の新しいオープンプラットフォームとして期待される「V-Lowマルチメディア放送」が、2016年3月から「i-dio(アイディオ)」の名前を冠してスタートすることが発表された。
この新サービスでは、一体どんなコンテンツが、どの機器で楽しめるようになるのだろう。
今回はi-dioへのコンテンツプロバイダーとしていち早く名乗りを上げた、TOKYO SMARTCAST(株)を訪問。代表取締役社長の武内英人氏に、具体的なコンテンツの内容について語っていただいた。
■新たなデジタルメディア「i-dio」
はじめにi-dioの概略について簡単に触れておこう。2011年にテレビの地上アナログ放送が終了して、おもにNHKが利用していた「VHF-Low帯(99MHz〜108MHz)」の空いた周波数帯域を活用する新たなデジタルメディアが「V-Lowマルチメディア放送」だ。
一般にもっと親しみやすいコミュニケーションネームとして「i-dio」の呼び名が決まり、ローンチの時期や事業の運営構造、ならびにコンテンツや放送スケジュールに関するロードマップが明らかになった。詳しい内容についてはPhile-webの記者会見レポートも合わせて参照してほしい。
i-dio自体の放送スケジュールは2016年3月から「東京・大阪・福岡」を中心にサービスを開始し、全国世帯カバー率44.9%となる約2,300万世帯で聴取可能になる。2019年4月までに全国世帯カバー率78.3%以上への拡大を目指す。ユーザーはi-dioのチューナーを内蔵する機器などを手元に用意すれば、基本的にコンテンツは無料で利用できるようになる。
i-dioの特徴は、通信と放送のメリットを融合させた新しいコミュニケーションプラットフォームを目指している点にある。スマホやカーエンターテインメントシステムで移動しながら利用できる「携帯性・移動性」、不特定多数のユーザーへ同時に情報を提供できる「放送の一斉同報性」を備えながら、なおかつインタラクティブであり、ターゲットを絞り込んで情報を提供できるセグメント配信にも対応できる「通信的」な柔軟性を併せ持つ、というのがi-dioが掲げる構想だ。
放送のコンテンツを通信インフラで提供するサービスはこれまでにも存在していたが、その反対側からのアプローチにより、通信に流れる音声や映像を含むあらゆるデータを放送波を使って広範に提供する「IPDC(IPデータキャスト)」の技術を活用する、新たなコンテンツの創出に期待が集まっている。
i-dioのオープン性を語る上で、ハードとソフトが分離した制度整備が行われたことについても触れておかなければならない。「放送のオープンプラットフォーム」を実現するため、「ハード事業者」である(株)VIPがインフラ整備を担当し、その放送整備を借り受けて、東京マルチメディア放送(株)など6社の「ソフト事業者」が帯域管理などの基幹放送業務を行う。V-Low事業全体の推進活動はホールディング会社であるBIC(株)が主体となって行う。
このほかに「ソフト事業者」に対してi-dioのコンテンツを提供する「コンテンツプロバイダー(CP)」が全体における重要な役割を担う。それぞれの関係性は、ソフト事業者がCP各社に対してセグメントを貸し出し、CPは制作した番組をブロックごとのマルチメディア放送会社に対して送信委託するという仕組みだ。CPの立場から見れば、アンテナの設置や送出などインフラに関わる費用が賃貸という形をとることで軽減され、コンテンツ制作に集中できるようになる利点がある。
このi-dioのコンテンツプロバイダーとして現時点で参入を宣言しているのが、今回お話をうかがうTOKYO SMARTCASTと、ドライバー向けコンテンツを中心に手がける(株)アマネク・テレマティクスデザインの2社である。
TOKYO SMARTCASTは全国ネット、またはローカル放送の両方で利用できる2セグメントの放送帯域を確保している。うち1つのセグメントはフラグシップチャンネルとして、“デジタル地上波最高音質”を掲げる音楽番組を中心とした「TS ONE」の放送に割り当てられ、残る1セグメントは教育や流通などテーマに特化した、企業やブランドのオリジナルチャンネルの展開用途を想定している。
■“デジタル地上波最高音質での放送”とは?
さて、では「TS ONE」チャンネルにはどんなコンテンツが並ぶことになるのか、武内氏に詳細をうかがってみた。
この新サービスでは、一体どんなコンテンツが、どの機器で楽しめるようになるのだろう。
今回はi-dioへのコンテンツプロバイダーとしていち早く名乗りを上げた、TOKYO SMARTCAST(株)を訪問。代表取締役社長の武内英人氏に、具体的なコンテンツの内容について語っていただいた。
■新たなデジタルメディア「i-dio」
はじめにi-dioの概略について簡単に触れておこう。2011年にテレビの地上アナログ放送が終了して、おもにNHKが利用していた「VHF-Low帯(99MHz〜108MHz)」の空いた周波数帯域を活用する新たなデジタルメディアが「V-Lowマルチメディア放送」だ。
一般にもっと親しみやすいコミュニケーションネームとして「i-dio」の呼び名が決まり、ローンチの時期や事業の運営構造、ならびにコンテンツや放送スケジュールに関するロードマップが明らかになった。詳しい内容についてはPhile-webの記者会見レポートも合わせて参照してほしい。
i-dio自体の放送スケジュールは2016年3月から「東京・大阪・福岡」を中心にサービスを開始し、全国世帯カバー率44.9%となる約2,300万世帯で聴取可能になる。2019年4月までに全国世帯カバー率78.3%以上への拡大を目指す。ユーザーはi-dioのチューナーを内蔵する機器などを手元に用意すれば、基本的にコンテンツは無料で利用できるようになる。
i-dioの特徴は、通信と放送のメリットを融合させた新しいコミュニケーションプラットフォームを目指している点にある。スマホやカーエンターテインメントシステムで移動しながら利用できる「携帯性・移動性」、不特定多数のユーザーへ同時に情報を提供できる「放送の一斉同報性」を備えながら、なおかつインタラクティブであり、ターゲットを絞り込んで情報を提供できるセグメント配信にも対応できる「通信的」な柔軟性を併せ持つ、というのがi-dioが掲げる構想だ。
放送のコンテンツを通信インフラで提供するサービスはこれまでにも存在していたが、その反対側からのアプローチにより、通信に流れる音声や映像を含むあらゆるデータを放送波を使って広範に提供する「IPDC(IPデータキャスト)」の技術を活用する、新たなコンテンツの創出に期待が集まっている。
i-dioのオープン性を語る上で、ハードとソフトが分離した制度整備が行われたことについても触れておかなければならない。「放送のオープンプラットフォーム」を実現するため、「ハード事業者」である(株)VIPがインフラ整備を担当し、その放送整備を借り受けて、東京マルチメディア放送(株)など6社の「ソフト事業者」が帯域管理などの基幹放送業務を行う。V-Low事業全体の推進活動はホールディング会社であるBIC(株)が主体となって行う。
このほかに「ソフト事業者」に対してi-dioのコンテンツを提供する「コンテンツプロバイダー(CP)」が全体における重要な役割を担う。それぞれの関係性は、ソフト事業者がCP各社に対してセグメントを貸し出し、CPは制作した番組をブロックごとのマルチメディア放送会社に対して送信委託するという仕組みだ。CPの立場から見れば、アンテナの設置や送出などインフラに関わる費用が賃貸という形をとることで軽減され、コンテンツ制作に集中できるようになる利点がある。
このi-dioのコンテンツプロバイダーとして現時点で参入を宣言しているのが、今回お話をうかがうTOKYO SMARTCASTと、ドライバー向けコンテンツを中心に手がける(株)アマネク・テレマティクスデザインの2社である。
TOKYO SMARTCASTは全国ネット、またはローカル放送の両方で利用できる2セグメントの放送帯域を確保している。うち1つのセグメントはフラグシップチャンネルとして、“デジタル地上波最高音質”を掲げる音楽番組を中心とした「TS ONE」の放送に割り当てられ、残る1セグメントは教育や流通などテーマに特化した、企業やブランドのオリジナルチャンネルの展開用途を想定している。
■“デジタル地上波最高音質での放送”とは?
さて、では「TS ONE」チャンネルにはどんなコンテンツが並ぶことになるのか、武内氏に詳細をうかがってみた。
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