公開日 2018/05/14 11:02
Shure開発者インタビュー。「KSE1200」で“コンデンサー型イヤホン” の魅力を広めたい
SEシリーズの新パッケージ/新ケーブルの詳細も
先日開催された「春のヘッドフォン祭2018」にて、コンデンサー型イヤホンシステムの新モデル「KSE1200」などこの春の新製品を披露したShure(関連記事)。その発表会や出展ブースへの参加のため、同社シニア・カテゴリー・ディレクターのマット・エングストローム氏とシニア・プロダクト・マネージャーのショーン・サリバン氏、シニアスペシャリストのトーマス・バンクス氏が来日。そのタイミングでのインタビューが実現した。
注目の「KSE1200」から、定番「SE」シリーズの新パッケージや新ケーブルについて、そしてShureのMMCX端子の秘密?など、今回も興味深い話が盛りだくさんで、イヤーモニター分野を代表するブランドの製品開発における考え方も垣間見える内容となった。Shureファンもそうでもない方も、ぜひ目を通してみてほしい。
■ユーザーの選択肢を増やすべく、アンプ部をシンプル化した「KSE1200」
ーー コンデンサー型イヤホンシステムのラインナップに、これまでの「KSE1500」に加えて「KSE1200」を投入しましたね。KSE1500は実売36万円ほどですが、KSE1200の実売予想は19万8000円程度だとか。
Shure: イヤホン部分は全く同じもので、アンプ部分からUSB入力対応DACを外して、アナログ入力専用にしました。よりシンプルな構成とすることで価格を引き下げたのです。我々はコンデンサー型システムでこそ実現できるサウンドに強い自信を持っており、その素晴らしさをより多くの方に体験してほしいと願っています。そのための新製品がKSE1200です。
ーー USBデジタル入力は主にはスマートフォンとの接続を想定したものですよね?その省略に踏み切れたのには、スマートフォンではなくハイクオリティなアナログ出力を備えるDAPと組み合わせ、アナログ入力でKSEシステムを使っている、あるいは使いたいというユーザーからの声もあったのでしょうか?
Shure: KSE1500はプロジェクト開始から発売までに8年もかかっています。その中で製品化に向けた具体的な開発に取り掛かるため、仕様を固めないといけなくなった時期というのが、今から数年前でした。その時点ではハイクオリティなDAPがこれほど発展し、普及するとまでは予想できなかったんです。ですからその時点ではスマートフォンとの接続に用いるUSB入力は必須スペックでした。
ーー しかしその後のわずか数年で状況が大きく変わった、と。
Shure: ええ。実際にKSE1500を購入いただいた方の中にも、ハイエンドDAPの側に搭載されたDACを生かしたいので、KSE1500とはアナログで接続しているというユーザーも少なくありませんでした。早い時期に仕様を固めたために、KSE1500のDACがスペック的には96kHz/24bitまでの対応だったことも影響したかと思います。
ーー とはいえ自信を持って送り出したKSE1500ですし、引き続きそれをより強力にプッシュするという選択肢もあったのでは?
Shure: 我々としては、このシステムの主役はコンデンサー型の「イヤホン」の部分で、アンプユニットはそれをドライブするためのサポート役と考えているんです。ですのでその主役のコンデンサー型イヤホンをより多くの方にお届けするために、アンプユニットにバリエーションを持たせることへの抵抗はありません。最初に話しましたように、イヤホン部分はKSE1500もKSE1200もまったく同じものですからね。
ーー そのアンプユニットですが、DACを省略したことに付随して、まずコンパクトにもなりましたし、バッテリー駆動時間も10時間から12時間へと少し伸びましたね。
Shure: バッテリーのサイズは変わっていないのですが、アナログ入力専用に全体を最適化したことで駆動時間も伸びました。分かりやすいところでは、ディスプレイが不要になったことで消費電力が低減されています。
ーー アンプ回路自体に変更はないのですか?
Shure: 厳密に言えば少しの違いはあります。例えばKSE1500はボリューム回路自体はアナログですが、その制御部分はデジタルでした。ダイヤルを操作するとディスプレイにボリュームの数字が表示されますよね?デジタルで段階的に制御しているのです。対してKSE1200は、アナログのボリューム回路をアナログのダイヤルで無段階に操作する形です。
ーー 入力信号の強さに合わせて感度を調整する、パッドの設定は少し簡略化されましたね。
Shure: KSE1500では20dBの設定も用意していたところを、オフか10dBの二択に変更しました。コンシューマー向けポータブルオーディオで使う限りは、それで十分に対応できると考えています。
注目の「KSE1200」から、定番「SE」シリーズの新パッケージや新ケーブルについて、そしてShureのMMCX端子の秘密?など、今回も興味深い話が盛りだくさんで、イヤーモニター分野を代表するブランドの製品開発における考え方も垣間見える内容となった。Shureファンもそうでもない方も、ぜひ目を通してみてほしい。
■ユーザーの選択肢を増やすべく、アンプ部をシンプル化した「KSE1200」
ーー コンデンサー型イヤホンシステムのラインナップに、これまでの「KSE1500」に加えて「KSE1200」を投入しましたね。KSE1500は実売36万円ほどですが、KSE1200の実売予想は19万8000円程度だとか。
Shure: イヤホン部分は全く同じもので、アンプ部分からUSB入力対応DACを外して、アナログ入力専用にしました。よりシンプルな構成とすることで価格を引き下げたのです。我々はコンデンサー型システムでこそ実現できるサウンドに強い自信を持っており、その素晴らしさをより多くの方に体験してほしいと願っています。そのための新製品がKSE1200です。
ーー USBデジタル入力は主にはスマートフォンとの接続を想定したものですよね?その省略に踏み切れたのには、スマートフォンではなくハイクオリティなアナログ出力を備えるDAPと組み合わせ、アナログ入力でKSEシステムを使っている、あるいは使いたいというユーザーからの声もあったのでしょうか?
Shure: KSE1500はプロジェクト開始から発売までに8年もかかっています。その中で製品化に向けた具体的な開発に取り掛かるため、仕様を固めないといけなくなった時期というのが、今から数年前でした。その時点ではハイクオリティなDAPがこれほど発展し、普及するとまでは予想できなかったんです。ですからその時点ではスマートフォンとの接続に用いるUSB入力は必須スペックでした。
ーー しかしその後のわずか数年で状況が大きく変わった、と。
Shure: ええ。実際にKSE1500を購入いただいた方の中にも、ハイエンドDAPの側に搭載されたDACを生かしたいので、KSE1500とはアナログで接続しているというユーザーも少なくありませんでした。早い時期に仕様を固めたために、KSE1500のDACがスペック的には96kHz/24bitまでの対応だったことも影響したかと思います。
ーー とはいえ自信を持って送り出したKSE1500ですし、引き続きそれをより強力にプッシュするという選択肢もあったのでは?
Shure: 我々としては、このシステムの主役はコンデンサー型の「イヤホン」の部分で、アンプユニットはそれをドライブするためのサポート役と考えているんです。ですのでその主役のコンデンサー型イヤホンをより多くの方にお届けするために、アンプユニットにバリエーションを持たせることへの抵抗はありません。最初に話しましたように、イヤホン部分はKSE1500もKSE1200もまったく同じものですからね。
ーー そのアンプユニットですが、DACを省略したことに付随して、まずコンパクトにもなりましたし、バッテリー駆動時間も10時間から12時間へと少し伸びましたね。
Shure: バッテリーのサイズは変わっていないのですが、アナログ入力専用に全体を最適化したことで駆動時間も伸びました。分かりやすいところでは、ディスプレイが不要になったことで消費電力が低減されています。
ーー アンプ回路自体に変更はないのですか?
Shure: 厳密に言えば少しの違いはあります。例えばKSE1500はボリューム回路自体はアナログですが、その制御部分はデジタルでした。ダイヤルを操作するとディスプレイにボリュームの数字が表示されますよね?デジタルで段階的に制御しているのです。対してKSE1200は、アナログのボリューム回路をアナログのダイヤルで無段階に操作する形です。
ーー 入力信号の強さに合わせて感度を調整する、パッドの設定は少し簡略化されましたね。
Shure: KSE1500では20dBの設定も用意していたところを、オフか10dBの二択に変更しました。コンシューマー向けポータブルオーディオで使う限りは、それで十分に対応できると考えています。
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