公開日 2018/11/11 09:00
ヘッドホンに何が起きたらこうなった? カッコ良すぎるガジェットの作者に話を聞いた
普通の感性から生まれる普通じゃない作品
先日、カッコよさにステータスを全振りしたらヘッドホンってこうなるのか、というニュースをお伝えした(これが本当にヘッドホン? 近未来的ガジェットが超カッコいい)。
「すごい」と語彙力をなくした感想しか出てこない、これらの作品はどういった発想から生まれるのだろうか? 造形作家・池内 啓人(いけうち・ひろと)さんに話を聞いた。
ーー本日はよろしくお願いします。先日ご紹介させていただいたニュースは、ヘッドホンファンの方からもとても反響が大きかったので、ぜひさらにお話をお伺いしたくお邪魔しました。
池内さん:ありがとうございます! 僕の方にも直接反応を返してくださる方もいて、とても嬉しかったです。
ーー失礼ながら勝手に池内さんのことを、時代を先取りしすぎたすごく変わった人なのでは、と想像していたのですが、とても物腰やわらかでフランクな方でいまホッとしています。早速ですが、池内さんがこうしたヘッドホン作品に取り組むようになったキッカケはなんだったのでしょうか?
池内さん:最初は、普通のジオラマを作っていたんです。美術大学に在籍して情報デザインを勉強していたんですが、その間ずっと部室で模型を作っていました。それで大学の卒業制作のときに、4年間遊んだ模型と授業で使ったパソコンを合わせてみようと考えたんです。それ以降、模型を使ったジオラマを作るようになりました。
池内さん:そこから、同じように模型を使ってなにかできないかと思い始めました。それで、『ToHeart』のマルチだったり、そういうロボットの女の子が出てくる作品を観ていたんですが、そういう女の子ってみんな、衛星で通信したりできるような、大きな耳がついているじゃないですか。それをジオラマと同じように、模型を使って再現できるんじゃないかと考えたのがキッカケですね。
ーー30〜40代のロボット少女の基準として、マルチは大きなウエイトを占めていますから、とても共感ができます。でも、それを実行に移すのがすごいですね。
池内さん:2018年になったいま、技術は想像以上に進化していますが、なかでもヘッドホンにBluetooth機能がついたのが、僕はすごく革新的だと思ったんです。これなら、例えばセリオ(『ToHeart』のキャラクター)が衛星通信でデータを取得するような、昔の人がイメージしたものを再現できるんじゃないかと思い、ちょうどよいモデルがあったので制作に取り掛かりました。
ーー最初のモデルはいわゆる耳掛け式イヤホンがベースとなっているんですね。ハウジングのパーツはどのように取り付けられているんですか?
池内さん:最近はネジなどを使って頑丈にしていますが、この頃は模型用の接着剤を使っています。パーツは『SDガンダム』のネオ・ジオングなどから持ってきました。模型を他のものに見立てる、ということも、昔から面白いなと思っていたんです。日本人が百鬼夜行を思い描いたように、作品に見立ての文脈を入れられたらと考えています。
ーーいまはヘッドホンをメインに作品に用いられているのでしょうか?
池内さん:ヘッドホンだけではなく、身につけるもの全般ですね。ジオラマは1/35だったりのスケールで作っていましたが、ヘッドホンでは1/1のサイズになることで、現実との接点ができるようになったんですね。それをキッカケに、1/1のものを作ることにシフトしていきました。ヘッドホンはモチーフにしやすいということもあって、使うことが多いです。
ーー制作物のスケールが実物大になることで、どういった変化がありましたか?
池内さん:僕は基本的に、 “ありもの” を組み合わせて作っていますが、 “ありもの” を集めてきて、イメージ通りに作って、色を塗る、という流れは一緒ですね。ただ、模型ではスミ入れをするとカッコよくなりますけど、1/1では違和感が出ます。それはそもそも一般的な工業製品にスミが入っていないからで、そういったサイズが大きくなったから生じた変更点はあります。
ーー現実世界で不自然なものは、やっぱり不自然になるわけですね。ただ池内さんの作品からはサイバーパンクだったりSFだったりといった現実とは乖離したような世界観が感じられるのですが、そのあたりの線引はどうなっているのでしょうか?
池内さん:それは、僕も悩んでいるところなんです(笑)。もっと日常に馴染ませていきたいと考えているのですが、日常に馴染む、とはどういうことなのかが分からない。漠然と、「街を歩いていてもおかしくないようにしたい」という思いはあって、こちらなんかはすごく相性が良かった。
池内さん:身に着けているのを周りの人が見て、「おもちゃが付いている」という風に捉えられるのではなく、「あんなアイテムがあるんだ」と思ってもらえるようにするのが、1つの目標ですね。
「すごい」と語彙力をなくした感想しか出てこない、これらの作品はどういった発想から生まれるのだろうか? 造形作家・池内 啓人(いけうち・ひろと)さんに話を聞いた。
ーー本日はよろしくお願いします。先日ご紹介させていただいたニュースは、ヘッドホンファンの方からもとても反響が大きかったので、ぜひさらにお話をお伺いしたくお邪魔しました。
池内さん:ありがとうございます! 僕の方にも直接反応を返してくださる方もいて、とても嬉しかったです。
ーー失礼ながら勝手に池内さんのことを、時代を先取りしすぎたすごく変わった人なのでは、と想像していたのですが、とても物腰やわらかでフランクな方でいまホッとしています。早速ですが、池内さんがこうしたヘッドホン作品に取り組むようになったキッカケはなんだったのでしょうか?
池内さん:最初は、普通のジオラマを作っていたんです。美術大学に在籍して情報デザインを勉強していたんですが、その間ずっと部室で模型を作っていました。それで大学の卒業制作のときに、4年間遊んだ模型と授業で使ったパソコンを合わせてみようと考えたんです。それ以降、模型を使ったジオラマを作るようになりました。
池内さん:そこから、同じように模型を使ってなにかできないかと思い始めました。それで、『ToHeart』のマルチだったり、そういうロボットの女の子が出てくる作品を観ていたんですが、そういう女の子ってみんな、衛星で通信したりできるような、大きな耳がついているじゃないですか。それをジオラマと同じように、模型を使って再現できるんじゃないかと考えたのがキッカケですね。
ーー30〜40代のロボット少女の基準として、マルチは大きなウエイトを占めていますから、とても共感ができます。でも、それを実行に移すのがすごいですね。
池内さん:2018年になったいま、技術は想像以上に進化していますが、なかでもヘッドホンにBluetooth機能がついたのが、僕はすごく革新的だと思ったんです。これなら、例えばセリオ(『ToHeart』のキャラクター)が衛星通信でデータを取得するような、昔の人がイメージしたものを再現できるんじゃないかと思い、ちょうどよいモデルがあったので制作に取り掛かりました。
ーー最初のモデルはいわゆる耳掛け式イヤホンがベースとなっているんですね。ハウジングのパーツはどのように取り付けられているんですか?
池内さん:最近はネジなどを使って頑丈にしていますが、この頃は模型用の接着剤を使っています。パーツは『SDガンダム』のネオ・ジオングなどから持ってきました。模型を他のものに見立てる、ということも、昔から面白いなと思っていたんです。日本人が百鬼夜行を思い描いたように、作品に見立ての文脈を入れられたらと考えています。
ーーいまはヘッドホンをメインに作品に用いられているのでしょうか?
池内さん:ヘッドホンだけではなく、身につけるもの全般ですね。ジオラマは1/35だったりのスケールで作っていましたが、ヘッドホンでは1/1のサイズになることで、現実との接点ができるようになったんですね。それをキッカケに、1/1のものを作ることにシフトしていきました。ヘッドホンはモチーフにしやすいということもあって、使うことが多いです。
ーー制作物のスケールが実物大になることで、どういった変化がありましたか?
池内さん:僕は基本的に、 “ありもの” を組み合わせて作っていますが、 “ありもの” を集めてきて、イメージ通りに作って、色を塗る、という流れは一緒ですね。ただ、模型ではスミ入れをするとカッコよくなりますけど、1/1では違和感が出ます。それはそもそも一般的な工業製品にスミが入っていないからで、そういったサイズが大きくなったから生じた変更点はあります。
ーー現実世界で不自然なものは、やっぱり不自然になるわけですね。ただ池内さんの作品からはサイバーパンクだったりSFだったりといった現実とは乖離したような世界観が感じられるのですが、そのあたりの線引はどうなっているのでしょうか?
池内さん:それは、僕も悩んでいるところなんです(笑)。もっと日常に馴染ませていきたいと考えているのですが、日常に馴染む、とはどういうことなのかが分からない。漠然と、「街を歩いていてもおかしくないようにしたい」という思いはあって、こちらなんかはすごく相性が良かった。
池内さん:身に着けているのを周りの人が見て、「おもちゃが付いている」という風に捉えられるのではなく、「あんなアイテムがあるんだ」と思ってもらえるようにするのが、1つの目標ですね。
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