公開日 2020/02/29 07:00
世界的チェリスト&作曲家、溝口 肇が体験した「Dutch & Dutch」スピーカーの魅力とは?
新作『WORDLESS』についてもインタビュー
「世界の車窓から」のテーマ曲で誰もが知る作曲家・チェリストである溝口 肇。PHILEWEB読者なら、PCM384kHz、DSD11.2MHzなどのハイレゾ録音・配信に非常に早い時期から取り組んできたことでも馴染み深い音楽家であるだろう。事務所にスタジオを構え、ご自身でミックス/マスタリングを手がけるとともに、リビングにはヴィンテージ系のオーディオシステムをしつらえて音楽をこよなく愛す。今回そんな溝口さんを訪ね、ハイレゾ配信中の新作『WORDLESS』についてインタビュー、さらにリビングに現代最新型のスピーカーDutch & Dutch 8cを持ち込ませてもらい、お聴きいただいた。
「曲を作るようになったのは、機械いじりが好きだったから」
作曲家、チェリストである溝口 肇さんの自宅兼事務所に、本誌取材チームがお伺いすると、溝口さんが愛猫とともに、笑顔で迎えてくれた。内装や家具も上質な、創作しやすい環境が整えられたお住まいである。
この日は、溝口作品を制作している自宅スタジオを見学させていただくとともに、リビングにDutch & Dutchの最新スピーカーを持ち込ませていただき、プロフェッショナルな耳で試聴いただくことになっていた。
まず、スタジオを見学させていただく。真ん中のキーボードとコンピューターを囲むようにプロ機器が設置された、マニアックな香りが立ち込める一室である。最新の機器とDAW(音楽制作ソフト)に、ヴィンテージ機器を介在させたシステム構成である。イコライザーとコンプレッサーはマンレイの真空管式、マイクアンプは、60年前のニーヴのもので、内部を信頼のおける技師に改良してもらっているという(しかもただ通すだけ、という使い方)。
ニーヴはそのほか、コンプレッサー、リヴァーブ、DAC、サミングアンプなどでも使っている。電源とケーブルはアコースティック・リヴァイブ製。マスタリングでは、位相調整、サブソニックフィルター、ハイカットフィルター、左右バランス調整などをモニターコントローラーを介して行う。それらの使いこなしは40年前より「独学」で身につけてきたという。
もともと機械好きで、宅録を……いや、宅録という言葉さえまだ存在しなかった時代から、コツコツと自宅で録音していたそうだ。4chのマルチレコーダーカセットによる多重録音から始め、NECの98、Macintosh SEなどを使って音楽制作の道へ。「曲を作ったのは、機械いじりが好きだったから」と言う。
溝口さんのこうした音へのこだわり方は、作品を通してオーディオファンへ伝わっていった。1988年にレコーディングエンジニア・オノセイゲン氏と意気投合しニューヨークで一発録りした作品『Best Wishes』は、伝説のレファレンスとなっている。
2013年から、エンジニアに鈴木智雄氏を迎え、『Cello Bouquet』『Piano plays Hajime Mizoguchi』『Almost Bach』などを384kHz、あるいは5.6MHzで収録し、溝口さん自身のレーベル「グレース」を立ち上げてリリースを開始した。さらに2017年には、内沼映二氏によるDSD11.2MHz録音で、『Musik Book』を完成させた。
2019年の最新作『WORDLESS』は、再びオノセイゲン氏と組んで、DSD11.2MHzで録音されたものだ(配信フォーマットはPCM)。
溝口さん自身は演奏者であるので、録音の作業はレコーディングエンジニアに任せる。ミックスとマスタリング以降の作業を溝口さん自身で担うスタイルをとる。
なお、楽器は1723年のアレキサンドロ ガリアノ(「アンジェラ」と呼んでいる)である。
勇ましくも甘美でふくよかなチェロの響きが溝口作品の大きな魅力で評価も高いが、本人いわく「満足できた音作りはこれまでにない」という。「明るく、通りの良い音を目指していますが、反省ばかりで次に臨む日々です」という。
「曲を作るようになったのは、機械いじりが好きだったから」
作曲家、チェリストである溝口 肇さんの自宅兼事務所に、本誌取材チームがお伺いすると、溝口さんが愛猫とともに、笑顔で迎えてくれた。内装や家具も上質な、創作しやすい環境が整えられたお住まいである。
この日は、溝口作品を制作している自宅スタジオを見学させていただくとともに、リビングにDutch & Dutchの最新スピーカーを持ち込ませていただき、プロフェッショナルな耳で試聴いただくことになっていた。
まず、スタジオを見学させていただく。真ん中のキーボードとコンピューターを囲むようにプロ機器が設置された、マニアックな香りが立ち込める一室である。最新の機器とDAW(音楽制作ソフト)に、ヴィンテージ機器を介在させたシステム構成である。イコライザーとコンプレッサーはマンレイの真空管式、マイクアンプは、60年前のニーヴのもので、内部を信頼のおける技師に改良してもらっているという(しかもただ通すだけ、という使い方)。
ニーヴはそのほか、コンプレッサー、リヴァーブ、DAC、サミングアンプなどでも使っている。電源とケーブルはアコースティック・リヴァイブ製。マスタリングでは、位相調整、サブソニックフィルター、ハイカットフィルター、左右バランス調整などをモニターコントローラーを介して行う。それらの使いこなしは40年前より「独学」で身につけてきたという。
もともと機械好きで、宅録を……いや、宅録という言葉さえまだ存在しなかった時代から、コツコツと自宅で録音していたそうだ。4chのマルチレコーダーカセットによる多重録音から始め、NECの98、Macintosh SEなどを使って音楽制作の道へ。「曲を作ったのは、機械いじりが好きだったから」と言う。
溝口さんのこうした音へのこだわり方は、作品を通してオーディオファンへ伝わっていった。1988年にレコーディングエンジニア・オノセイゲン氏と意気投合しニューヨークで一発録りした作品『Best Wishes』は、伝説のレファレンスとなっている。
2013年から、エンジニアに鈴木智雄氏を迎え、『Cello Bouquet』『Piano plays Hajime Mizoguchi』『Almost Bach』などを384kHz、あるいは5.6MHzで収録し、溝口さん自身のレーベル「グレース」を立ち上げてリリースを開始した。さらに2017年には、内沼映二氏によるDSD11.2MHz録音で、『Musik Book』を完成させた。
2019年の最新作『WORDLESS』は、再びオノセイゲン氏と組んで、DSD11.2MHzで録音されたものだ(配信フォーマットはPCM)。
溝口さん自身は演奏者であるので、録音の作業はレコーディングエンジニアに任せる。ミックスとマスタリング以降の作業を溝口さん自身で担うスタイルをとる。
なお、楽器は1723年のアレキサンドロ ガリアノ(「アンジェラ」と呼んでいる)である。
勇ましくも甘美でふくよかなチェロの響きが溝口作品の大きな魅力で評価も高いが、本人いわく「満足できた音作りはこれまでにない」という。「明るく、通りの良い音を目指していますが、反省ばかりで次に臨む日々です」という。
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