• ブランド
    特設サイト
公開日 2020/05/16 07:00

デノンサウンドマネージャーが音作りの秘密を語る。「山内セレクション」レポート

オーディオユニオン御茶ノ水でのイベントをレポート
ファイルウェブ編集部
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
国内有数の老舗オーディオブランド・デノンにおいて、発売するオーディオ製品のサウンドを最終的に決定する重要な役職「サウンドマネージャー」。2015年からその職を務めているのが、山内慎一氏だ。

DENONの現サウンドマネージャー・山内慎一氏と、氏が手がけたフラグシップモデル“SX1 LIMITED”

音づくりのコンセプトを表すキーワード「Vivid & Spacious」を掲げ、すでに数々の製品に携わってきた山内氏。昨年には、その粋を集めたフラグシップモデル“SX1 LIMITED” が満を持して発売。これからの活躍にますます期待がかかっている。

そんな山内氏は、製品の試聴会でクラシックやジャズなど定番曲のみならず、一般的にオーディオ製品の試聴曲としてはあまり選ばれない、ハウスやアンビエントのようなジャンルをチョイスすることでも知られている。「メディアや評論家の方などから、オーディオでこんな曲を聴けるとは思わなかった、面白い、といったコメントをもらった」ことをきっかけに、デノン公式ブログにて年数回、オーディオ機器で聴いて欲しいと思った音源を紹介する記事「山内セレクション」を掲載中だ。

過日、その「山内セレクション」出張拡大版とでも言うべき試聴イベントが、オーディオユニオン御茶ノ水にて開催された。山内氏おすすめの楽曲を“SX1 LIMITED”で再生し、曲じたいの魅力や高級オーディオ機器で再生する際の聴きどころを解説しつつ、山内氏の音作りに対する哲学、“SX1 LIMITED”開発エピソードなど、デノンサウンドについてもより深く知ることができた約2時間に及ぶイベント。本稿ではそのレポートをお届けする。

イベントでは“SX1 LIMITED”と共に、B&Wのスピーカー「802D3(ローズナット)」、audioquestのスピーカケーブル「William Tell」といった山内氏厳選の機材が使われた

クラシックからハウスまで、バリエーション豊かな選曲で楽しませる

開会の挨拶もそこそこに、山内氏はさっそく1曲目をかけ始める。ハウスやジャズアレンジなどを数多く手掛けるスウェーデンのミュージシャン、ラスマス・フェイバーが昨年夏にリリースしたアルバムより「Good Morning June」だ。

Rasmus Faber『Two Left Feet』より「Good Morning June」

ピアノやマリンバなどのアコースティック楽器、ボーカルを織りまぜ、またメロディアスな要素を取り入れるラスマス・フェイバーの曲は「とても聴きやすく、センスが今の日本に合っているな、となんとなく思っています」という山内氏。中でも女性ボーカルをフィーチャーした「Good Morning June」の聴きどころは、「透明感というか、クリアな、クリーンな感じがオーディオ的にも心地よいところ」とのことだ。

続く2曲目は、ウィリアム・ジャクソン アンド マッケンジーが演奏するスコットランド民謡系の楽曲「A Fisherman’s Song For Attracting Seals」。こちらはハープ、ヴァイオリン、リュートといった個性豊かな編成から生まれる“色彩感”が聴きどころだという。

William Jackson & Mackenzie『Notes from a Hebridean Island』より「A Fisherman’s Song For Attracting Seals」

3曲目は電子音楽に戻り、ドイツのミュージシャン フレデリック・ロビンソンの「Colder」。「DJとしても活動している人で、曲調は電子音楽ではあるんですが、ダンサブルというより、ちょっとミニマル的というか現代風の味付けをしています。インタビューなど聞きますと、スティーブ・ライヒやフィリップ・グラスのような、現代音楽に影響を受けているそうです」(山内氏)

Frederic Robinson『FLEA WALTZ』より 「Colder」

4曲目はクラシックで、フランスで活躍した作曲家 ジャック・オッフェンバックのオペレッタ。クラシック、特にオーケストラでは、「オーディオ機器のいろんな性能が一気に見えてくる」と山内氏は解説する。

『オッフェンバック:オペラとオペレッタのアリア集』より「喜歌劇<雑誌のカーニヴァル> - 第2幕 Symphonie de l'avenir」

「空間的な性能、前後左右の奥行きから、打楽器、声もあったりとか、さらには歌い手が移動する様子が捉えられるかも含めて、オーディオのポテンシャルをとても楽しめると思います」

5曲目は、ロシアのスクリャービンが作曲した、54秒程度と非常に短いピアノソナタ。今年1月に引退を発表したピアニスト、ウラジーミル・アシュケナージの演奏だ。

「スクリャービンという作曲家は実は音楽院でラフマニノフと同級生で、ピアノの卒業試験ではラフマニノフに次いで2番だったそうです。それほど耳にすることのない作曲家だと思うのですが、玄人受けしそうというか、前衛的なちょっと変わった持ち味のある人だと思っています」

ジャンルも聴きどころも、オーディオ機器に求められる性能も異なる5曲を選出した山内氏。再生の合間には、昨年9月に市場に出て以来、“SX1 LIMITED” に寄せられた数々の反響の中から、特に“SX1 LIMITED”の特徴を端的に表している3つのポイントについて語った。

次ページデノンサウンドマネージャーが大切にする音作りのポイントとは?

1 2 3 4 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 ソニー、第2世代フラグシップ・ミラーレス一眼「α1 II」。画質、操作性を着実に強化
2 オーディオファイル待望の物量投入型プリメインアンプ!デノン「PMA-3000NE」をクオリティチェック
3 目黒蓮を“もっとそばに”感じられる特別イベント。「レグザミュージアム〜The 6 STORIES〜」11/21から原宿で開催
4 ボーズ、McIntosh Groupを買収。マッキントッシュ、ソナス・ファベールが傘下に
5 ビックカメラ.com、「2025年新春福箱」の抽選申し込み開始。全66種類、iPadやPS5も登場
6 覚えておくと絶対便利!iPhoneの「計測」アプリでできる、あんなことこんなこと
7 ビクター「HA-A6T」レビュー!5000円切り完全ワイヤレスイヤホンは「価格を上回るクオリティ」
8 高音質と機能性を両立する新たなスタンダード機!AVIOTのANC完全ワイヤレス「TE-V1R」レビュー
9 Meze Audioが打ち出す待望の入門モデル。開放型ヘッドホン「105 AER」&イヤホン「ALBA」の音質に迫る
10 新開発ユニットを巧みに操る懐深いサウンド。ELAC「Debut 3.0」フロア型/ブックシェルフ型を聴く
11/21 10:37 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX