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公開日 2016/05/07 17:27

<HIGH END>オルトフォン、カートリッジ “SPU”の最新モデル「SPU #1」

さまざまな意味を込めた「ナンバー1」
AUDIO DIVISION 浅田陽介
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ORTOFON(オルトフォン)は、Munich HIGH END 2016において、同社カートリッジの最新モデル「SPU #(ナンバー)1」を発表した。

オルトフォンが今回のMunich HIGH ENDで発表した新しいSPU「SPU #1」

1950年代後半に登場したSPUカートリッジは、創業95年を超えた同社にとってとりわけ大きな意味を持つカートリッジで、現在にいたるまでオーディオファイルのベンチマークとして君臨し続けている、オルトフォンのアイコン的モデルでもある。

かつてのオーディオ全盛期からのユーザーはもちろん、これからアナログオーディオをはじめようというユーザーにとってもSPUは憧れの対象となっており、その存在感は世界的に見ても極めて大きい。

SPU #1という名前には、そんなアナログオーディオで重要なポジションを担うオルトフォンの、さまざまな想いが込められている。

そのひとつが、「マイ・ファーストSPU」という意味。これはすでにレコードを楽しんでいるユーザーはもちろん、これからレコードを聴きはじめたいというユーザーにとっても「自分にとって初めてのSPU」として、SPUの名に恥じぬサウンドを実現するということ。SPU #1のサウンドを体験したユーザーが、その後もレコード再生に価値を見出して欲しいという意味が込められている。

それゆえに価格は丸針を採用した「SPU #1 S」が534ユーロ、楕円針を採用した「SPU #1 E」が595ユーロと、高騰するカートリッジ分野において、極めて手が届きやすい価格帯に抑えられている。

しかしながらSPU #1は「決してエントリーモデルではない」と、同社のカートリッジ開発者であるLeif Johannsen氏は語る。

オルトフォンでカートリッジ開発の責任者を務めるLeif Johannsen氏

「SPU #1は、私達の歴史を見ても大きな意味を持つカートリッジです。確かにマイ・ファーストSPUとしてお求めやすい価格帯であることには間違いありませんが、なによりも“とにかく音が良い”ということが絶対的な条件となります。リスナーの方がたとえどんな音楽を聴いても、その音楽の良さ、そしてSPUの良さをご体感いただけると思います」。

「例えば、SPUが登場した50年代にリリースされた、マイルス・デイビスなどのオールドジャズのドラムスやトランペットは、開発した私個人としても非常に魅力的なサウンドです。今回は丸針(Spherical)と楕円針(Eliptical)の2種類の針先形状をラインナップとして用意していますので、お好きな音の方を選んでいただけたらと思います。ただし、この針先形状による音の違いは非常に近接したものです」。

さて、SPU #1の最大の特徴はそのコストパフォーマンスだ。基本的な構造としては、SPUの原型としていまなお生産される「SPU Classic」をベースとしており、針圧等の基本的なスペックもそれに準拠。アルミカンチレバーとダイヤモンド針といったベーシックな構造も踏襲している。

SPU #1の内部。基本的な部分はSPU Classicをベースとしているが、カンチレバーや針先の接合などにオルトフォンのノウハウによる新しいアプローチを盛り込んだ

最大の違いは、これらカンチレバーと針先の接合方法にあるそうだが、この部分は企業秘密とのことで残念ながら非公開。とはいえ、そうしたオルトフォン独自のノウハウがあったからこそ、手の届きやすい価格帯でありながらSPUらしいサウンドを実現できたことは間違いないだろう。

SPU #1のシェルをネジ止めしたところ。価格を抑えてもデンマーク国内でていねいに製造されているなど、品質管理も徹底されている

SPU #1のケースは、同社のSPUシリーズに共通して採用されているものと同じもの

いま世界的に盛り上がるレコード再生だが、オルトフォンが本拠を置くデンマークにおいても、これは例外ではないそうだ。ふたたびレコードで音楽を楽しみたいと考えるユーザーが増えつつある現代において、SPU #1が持つ意味は非常に大きい。日本でももちろん発売が予定されているとのことだ。


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