公開日 2016/09/08 13:01
ソニー、フラグシップヘッドホン「MDR-Z1R」。20万円前後
「Signature」シリーズ
ソニーは、ヘッドホン「MDR-Z1R」を10月29日に発売する。価格はオープンだが、20万円前後での販売が予想される。
MDR-Z7の上位に位置する、同社リスニングヘッドホンのフラグシップモデル。密閉型ヘッドホンとなる。IFA 2016で発表された製品が、国内でも正式発表された格好。IFA会場での開発者インタビューはこちら。
本機はウォークマン最上位機「NW-WM1Z」(関連ニュース)、据置型ヘッドホンアンプ「TA-ZH1ES」(関連ニュース)とともに、“Signatureシリーズ”として展開する。Signatureシリーズというシリーズ名には、妥協のないクオリティの証に、エンジニアたちがサインした、という意味合いを込めた。
また本機は、コンデンサーマイク「C-38」や「C-800G」、モニターヘッドホン「MDR-CD900ST」などのプロ向け音響機器を長年にわたって生産しているソニー・太陽(株)で組立。熟練の作業者が手作業で一つ一つ丁寧に組み立て、シリアルナンバーを刻印して出荷するという。
本機の音作りのねらいは、アーティストが思い描いた音を忠実に再現するだけでなく、音楽を聴いている空間の「空気感」を表現すること。コンサートホールの反響音なども含めた、空間の奥行きや拡がりまでを再現することを目指した。
その「空気感」を表現するための要素として、超低域から120kHzの高域までの再生、微少音までしっかりと表現する高ダイナミックレンジ、さらには後述する平面波サウンドを実現することを目標とした。
なお本機のインピーダンスは64Ω(1kHz)で、最大入力は2500mW。質量は約385gとなる。
■70mmの大口径ドライバーユニットを搭載
ドライバーは「70mm HD 大口径ドライバーユニット」。口径を70mmと大型化することで、音の波面を平面に近くし、これによって自然な響きを実現した。
ドーム部には薄膜のマグネシウムを採用し、CCAWボイスコイルの振動を効率よく伝達。これが120kHz再生の実現に大きく寄与したという。
またエッジ部にはアルミニウムコートLCPを採用し、ドームとエッジで異なる内部損失の素材を使うことで、色づけのないクリアな音を目指した。
さらに注目したいのはグリル部で、フィボナッチ数列を参考にした曲線のグリルパターンを施して開口を均等化。高剛性材料の採用によって桟を限りなく細くすることで、空気の伝搬を阻害しない、なめらかな小粋特性を実現したという。なおフィボナッチ数列は自然界で多く見られるもので、たとえば、ひまわりの種のらせん状の配列はフィボナッチ数とされる。
マグネットも大型で、φ70mmのものを搭載している。磁力も高く、最大エネルギー積は400kJ/m3。さらに磁束ロスを最小限に抑える高効率の磁気回路も開発した。
■共鳴を抑えた「レゾナンスフリーハウジング」
本機は密閉型ヘッドホンだが、通常の密閉型ヘッドホンで問題になるのがハウジングの共鳴である。本機はこの問題に対処すべく、ハウジング全面に、通気性のある「音響レジスター」を搭載して、通気度を最適にコントロール。これにより共鳴を限りなく除去し、ハイレゾに含まれる微少音を再現する。
なおこの音響レジスターの素材には、山形県の最上地方の雪解けの地下水で漉いたパルプを使用するというこだわりよう。温度が変わらない地下水を使用することで、安定した品質を実現できるという。
ハウジング形状も工夫し、曲率を変化させた平面のない形状を採用。これも共鳴抑制に寄与しているという。
同社では、これらのハウジングフレーム、音響レジスター、ハウジングプロテクターなどを総称して「レゾナンスフリーハウジング」と呼んでいる。
■装着性にもこだわり。快適なリスニングを実現
装着性にも徹底的にこだわった。ヘッドバンド部には、高級メガネのフレームなどにも使われるβチタンを採用。これは一般的なステンレスに比べて比重が6割と軽量で、かつ弾力性が高い素材だ。
ヘッドバンドカバーの外側には、耐久性に優れた牛革を採用。内側には柔らかく厚みのあるクッションを採用するなどの工夫も施し、頭部に快適にフィットするようにした。
イヤーパッド部は、頭部の凹凸にフィットする形状に立体縫製。内部は厚みのある低反発ウレタンフォームを使用し、圧力を均等に分散させる快適な装着感を実現した。またイヤーパッドが内側に倒れ込む「エンフォールディングストラクチャー」を採用し、これも快適な装着性と高い機密性に寄与しているとのこと。
なおイヤーパッド部の表面素材は、日本でなめし加工を施した、産地限定の羊皮。肌触りが柔らかく天然素材ならではの透湿性があり、かつ耐久性にも優れているという。
ヘッドホンの骨格となるハンガーとスライダーには、アルミ合金を採用。アルミ合金を採用したのは、薄肉で高い剛性が得られるためという。表面には高度を2倍に高めた特殊なアルマイト処理を施し、傷が付きにくくした。
本機にはハードケースも付属する。開発者が「本体と同じくらい気合いを入れて作った」というもので、堅牢性や、専用ケーブルも一緒に保管できる使いやすさを実現するのはもちろん、背面の蝶番が外側に露出しないようにするなど、美しさにもこだわった。
またケーブルは、φ3.5mmのステレオミニプラグのケーブル(約3m)と、L型φ4.4mmプラグ採用のバランス接続ケーブル(約1.2m)の2種類を同梱。φ3.5mmケーブルは銀コートOFC線、φ4.4mmケーブルは銀コートOIFC線と導体が異なる。
さらに別売りヘッドホン用ケーブルとして、φ4.4mmのシングルバランスケーブル「MUC-B20SB1」も同日の10月29日に発売する。価格はオープンだが26,000円前後での販売が予想される。
▼IFAで開発者が自ら構造を解説した動画はこちら
MDR-Z7の上位に位置する、同社リスニングヘッドホンのフラグシップモデル。密閉型ヘッドホンとなる。IFA 2016で発表された製品が、国内でも正式発表された格好。IFA会場での開発者インタビューはこちら。
本機はウォークマン最上位機「NW-WM1Z」(関連ニュース)、据置型ヘッドホンアンプ「TA-ZH1ES」(関連ニュース)とともに、“Signatureシリーズ”として展開する。Signatureシリーズというシリーズ名には、妥協のないクオリティの証に、エンジニアたちがサインした、という意味合いを込めた。
また本機は、コンデンサーマイク「C-38」や「C-800G」、モニターヘッドホン「MDR-CD900ST」などのプロ向け音響機器を長年にわたって生産しているソニー・太陽(株)で組立。熟練の作業者が手作業で一つ一つ丁寧に組み立て、シリアルナンバーを刻印して出荷するという。
本機の音作りのねらいは、アーティストが思い描いた音を忠実に再現するだけでなく、音楽を聴いている空間の「空気感」を表現すること。コンサートホールの反響音なども含めた、空間の奥行きや拡がりまでを再現することを目指した。
その「空気感」を表現するための要素として、超低域から120kHzの高域までの再生、微少音までしっかりと表現する高ダイナミックレンジ、さらには後述する平面波サウンドを実現することを目標とした。
なお本機のインピーダンスは64Ω(1kHz)で、最大入力は2500mW。質量は約385gとなる。
■70mmの大口径ドライバーユニットを搭載
ドライバーは「70mm HD 大口径ドライバーユニット」。口径を70mmと大型化することで、音の波面を平面に近くし、これによって自然な響きを実現した。
ドーム部には薄膜のマグネシウムを採用し、CCAWボイスコイルの振動を効率よく伝達。これが120kHz再生の実現に大きく寄与したという。
またエッジ部にはアルミニウムコートLCPを採用し、ドームとエッジで異なる内部損失の素材を使うことで、色づけのないクリアな音を目指した。
さらに注目したいのはグリル部で、フィボナッチ数列を参考にした曲線のグリルパターンを施して開口を均等化。高剛性材料の採用によって桟を限りなく細くすることで、空気の伝搬を阻害しない、なめらかな小粋特性を実現したという。なおフィボナッチ数列は自然界で多く見られるもので、たとえば、ひまわりの種のらせん状の配列はフィボナッチ数とされる。
マグネットも大型で、φ70mmのものを搭載している。磁力も高く、最大エネルギー積は400kJ/m3。さらに磁束ロスを最小限に抑える高効率の磁気回路も開発した。
■共鳴を抑えた「レゾナンスフリーハウジング」
本機は密閉型ヘッドホンだが、通常の密閉型ヘッドホンで問題になるのがハウジングの共鳴である。本機はこの問題に対処すべく、ハウジング全面に、通気性のある「音響レジスター」を搭載して、通気度を最適にコントロール。これにより共鳴を限りなく除去し、ハイレゾに含まれる微少音を再現する。
なおこの音響レジスターの素材には、山形県の最上地方の雪解けの地下水で漉いたパルプを使用するというこだわりよう。温度が変わらない地下水を使用することで、安定した品質を実現できるという。
ハウジング形状も工夫し、曲率を変化させた平面のない形状を採用。これも共鳴抑制に寄与しているという。
同社では、これらのハウジングフレーム、音響レジスター、ハウジングプロテクターなどを総称して「レゾナンスフリーハウジング」と呼んでいる。
■装着性にもこだわり。快適なリスニングを実現
装着性にも徹底的にこだわった。ヘッドバンド部には、高級メガネのフレームなどにも使われるβチタンを採用。これは一般的なステンレスに比べて比重が6割と軽量で、かつ弾力性が高い素材だ。
ヘッドバンドカバーの外側には、耐久性に優れた牛革を採用。内側には柔らかく厚みのあるクッションを採用するなどの工夫も施し、頭部に快適にフィットするようにした。
イヤーパッド部は、頭部の凹凸にフィットする形状に立体縫製。内部は厚みのある低反発ウレタンフォームを使用し、圧力を均等に分散させる快適な装着感を実現した。またイヤーパッドが内側に倒れ込む「エンフォールディングストラクチャー」を採用し、これも快適な装着性と高い機密性に寄与しているとのこと。
なおイヤーパッド部の表面素材は、日本でなめし加工を施した、産地限定の羊皮。肌触りが柔らかく天然素材ならではの透湿性があり、かつ耐久性にも優れているという。
ヘッドホンの骨格となるハンガーとスライダーには、アルミ合金を採用。アルミ合金を採用したのは、薄肉で高い剛性が得られるためという。表面には高度を2倍に高めた特殊なアルマイト処理を施し、傷が付きにくくした。
本機にはハードケースも付属する。開発者が「本体と同じくらい気合いを入れて作った」というもので、堅牢性や、専用ケーブルも一緒に保管できる使いやすさを実現するのはもちろん、背面の蝶番が外側に露出しないようにするなど、美しさにもこだわった。
またケーブルは、φ3.5mmのステレオミニプラグのケーブル(約3m)と、L型φ4.4mmプラグ採用のバランス接続ケーブル(約1.2m)の2種類を同梱。φ3.5mmケーブルは銀コートOFC線、φ4.4mmケーブルは銀コートOIFC線と導体が異なる。
さらに別売りヘッドホン用ケーブルとして、φ4.4mmのシングルバランスケーブル「MUC-B20SB1」も同日の10月29日に発売する。価格はオープンだが26,000円前後での販売が予想される。
▼IFAで開発者が自ら構造を解説した動画はこちら
関連リンク
- ジャンルヘッドホン(単体)
- ブランドSONY
- 型番MDR-Z1R
- 発売日2016年10月29日
- 価格¥OPEN(予想実売価格200,000円前後)
【SPEC】●型式:密閉・ダイナミック型 ●ドライバー:70mm・ドーム型(CCAW ボイスコイル) ●感度:100dB/mW ●再生周波数帯域:4Hz〜120kHz ●インピーダンス:64Ω(@1kHz) ●最大入力:2,500mW ●ケーブル長:ヘッドホンケーブル…約3m、バランス接続ヘッドホンケーブル…約1.2m ●プラグ:ヘッドホンケーブル…3.5mmステレオミニ、バランス接続ヘッドホンケーブル…6.3mm標準 ●質量:約385g(ケーブル含まず)