公開日 2017/03/17 16:28
MQA非対応プレーヤーでも再生可能なハイレゾCD「MQA-CD」
第一弾は『A.Piazzolla by Strings and Oboe』
ハイレゾ形式のひとつであるMQAフォーマットで音源を収録しながら、通常のCDプレーヤーでも再生できる「MQA-CD」が発表された。その第一弾作品として、OTTAVA Recordsから『A.Piazzolla by Strings and Oboe』が本日3月17日に発売された。価格は2,500円(税抜)。
MQAフォーマットでマスタリングされた音源をCDに収録しつつ、MQA非対応機器で再生した場合でも、通常のCDフォーマットである44.1kHz/16bitで作品を楽しむことができるというもの。MQA対応機器の場合は自動的にデコードされ、本作品の場合はサンプリングレート176.4kHz/24bitで再生される。
基本特性はCDDA規格に準拠。またMQAエンコードのメリットとして、過渡特性(時間軸の再生精度)の良い再生音質が得られるという。
前述のようにMQAデコード対応DACなどをCDプレーヤーと接続することで、ハイレゾ再生が可能。MQA-CD規格として、MQA 88kHz/172kHz/348kHzでの再生に対応している。なお、MQA-CDでのハイレゾ再生フォーマットは、CD 44kHzの整数倍となる。
MQA対応DACとの接続においては、CDプレーヤーの同軸・光デジタル端子から音楽データを出力。CDプレーヤーから受け取った44.1kHz/16ビットデータに折りたたまれたデータをもとに、DACがMQAハイレゾにデコードして再生する。
また通常のCDと同様に、一般的な音楽ソフト等でリッピングも可能。リッピングした音楽ファイルは、オンキヨーのDAPなどMQA対応機器での再生であればMQAのハイレゾ音質で、MQA非対応プレーヤーでは通常音質で再生される。
世界初のMQA-CD作品としてリリースされた今回の『A.Piazzolla by Strings and Oboe』は、過去に日本プロ音楽録音賞のサラウンド部門で優秀賞を二度受賞した経歴を持つUNAMASレーベルの“クラシック・シリーズ”に連なる作品。タンゴの巨匠Astor Piazzollaの名曲を、ストリングスとオーボエで斬新にアレンジしている。各音楽配信サービスでハイレゾ配信されていたものが、今回MQA-CDとしても発売された格好。
演奏には「UNAMAS Piazzolla Septet」として、田尻順(Vn1)、竹田詩織(Vn2/Lead Vn)、大角彩(Va)、荒木奏美(Ob)、西谷牧人(Vc1)、小畠幸法(Vc2)、北村一平(Cb)が参加。レコーディングは、ビビッドで生命感あふれる楽曲を再現するために、柱状拡散体(AGS)を全面に配置した日本音響エンジニアリングのサウンド・ラボにて実施したという。レコーディング機材にはRMEのMADIマイクプリアンプやMADIオーディオ・インターフェイスが用いられている。
MQAは、英メリディアン・オーディオ社が開発したハイレゾ音源向けの新フォーマット。音楽データを折り紙のように“折りたたむ”独自のエンコーディング手法を用いることで、音質はそのままに、ハイレゾ音源の容量を大幅に削減する。メリディアンのほか、オンキヨーやクリプトンなどからMQA対応製品が発売されており、テクニクス「SU-G30」もファームウェアアップデートでMQA対応を済ませている。
日本ではe-onkyo musicやKRIPTON HQMといったハイレゾ配信サービスがMQA音源を販売中。海外では音楽ストリーミングサービス「TIDAL」がMQAでの配信を行うなど普及が進みつつある。
今回のMQA-CDはまた、例えばプレス工場がMQA対応機器を導入するなどの新たな設備投資は必要なく、通常のCDとまったく同じようにプレスできる点も特徴。追加コストが基本的には発生しないため、MQA-CDであっても通常CDより高くなることはないという。
なお、今回の作品に続くMQA-CD第2弾については「現在、まさに各所への働きかけを始めたばかり」(MQA社 鈴木弘明氏)とのことで、現時点では未定。
本日都内で、MQA-CDの発表会が開催され、MQAフォーマットの開発者であるボブ・スチュワート氏らが登壇。MQAフォーマット、およびMQA-CDの特徴を説明した。
スチュワート氏は「神経工学では、人間の聴覚は周波数より時間にシビアであることが分かっており、MQAはこの考え方を採り入れている」とコメント。「サンプリングレートを上げれば音質も上がるが、それによる音質向上の幅は(サンプリングレートの上がり幅と)比例するほどの大きさではない」とし、一般的なハイレゾとMQAとの考え方の違いを説明した。
こうした考えに基づいているため、MQAは“Temporal Blur”(直訳では“時差ボケ”。通訳を務めたMQA社の鈴木弘明氏は“音質のボケ”と表現)が他のオーディオフォーマットに比べて少ないと説明。この“音質のボケ”を除去する工程があるため、MQAフォーマットではCDクオリティの44.1kHz/16bitであっても、他フォーマットに比べて音質に有利に働くのだという。
UNAMASレーベルを主宰するミック沢口氏は「MQAは(ハイレゾではない)44.1kHzにもコーディングできることを知り、『じゃあ(配信だけでなく)CDにも収録できるのでは?』となった」と、今回のMQA-CD誕生の背景を紹介。
そして「CDの器にハイレゾが入る。言ってみればこれは“オールドボトル・ニューワイン”だ」と表現。「実際に聴いてみても『え、CDからこんな音が出るんだ!?』と非常に感激した」と、音質の完成度にも満足していると語る。
また「これまでCDの改善は材料やプレス工程が主で、音楽そのものは44.1kHz/16bitで何も変わってこなかった」とコメント。「今回、音楽そのものをハイレゾでCDから取り出せる」と、MQA-CD誕生の意義をアピールした。
加えて「一般的にハイレゾを始めようとした場合、パソコンやネットワーク、再生ソフトなど、かなり勉強が必要だ。しかし、MQA-CDでは何も考えずどんなCDプレーヤーでも再生できる」とメリットを改めて説明。「そしてもしMQA対応機器を通しての再生ならハイレゾとなって、手軽に良い音を楽しめる」と利便性もアピールした。
MQAフォーマットでマスタリングされた音源をCDに収録しつつ、MQA非対応機器で再生した場合でも、通常のCDフォーマットである44.1kHz/16bitで作品を楽しむことができるというもの。MQA対応機器の場合は自動的にデコードされ、本作品の場合はサンプリングレート176.4kHz/24bitで再生される。
基本特性はCDDA規格に準拠。またMQAエンコードのメリットとして、過渡特性(時間軸の再生精度)の良い再生音質が得られるという。
前述のようにMQAデコード対応DACなどをCDプレーヤーと接続することで、ハイレゾ再生が可能。MQA-CD規格として、MQA 88kHz/172kHz/348kHzでの再生に対応している。なお、MQA-CDでのハイレゾ再生フォーマットは、CD 44kHzの整数倍となる。
MQA対応DACとの接続においては、CDプレーヤーの同軸・光デジタル端子から音楽データを出力。CDプレーヤーから受け取った44.1kHz/16ビットデータに折りたたまれたデータをもとに、DACがMQAハイレゾにデコードして再生する。
また通常のCDと同様に、一般的な音楽ソフト等でリッピングも可能。リッピングした音楽ファイルは、オンキヨーのDAPなどMQA対応機器での再生であればMQAのハイレゾ音質で、MQA非対応プレーヤーでは通常音質で再生される。
世界初のMQA-CD作品としてリリースされた今回の『A.Piazzolla by Strings and Oboe』は、過去に日本プロ音楽録音賞のサラウンド部門で優秀賞を二度受賞した経歴を持つUNAMASレーベルの“クラシック・シリーズ”に連なる作品。タンゴの巨匠Astor Piazzollaの名曲を、ストリングスとオーボエで斬新にアレンジしている。各音楽配信サービスでハイレゾ配信されていたものが、今回MQA-CDとしても発売された格好。
演奏には「UNAMAS Piazzolla Septet」として、田尻順(Vn1)、竹田詩織(Vn2/Lead Vn)、大角彩(Va)、荒木奏美(Ob)、西谷牧人(Vc1)、小畠幸法(Vc2)、北村一平(Cb)が参加。レコーディングは、ビビッドで生命感あふれる楽曲を再現するために、柱状拡散体(AGS)を全面に配置した日本音響エンジニアリングのサウンド・ラボにて実施したという。レコーディング機材にはRMEのMADIマイクプリアンプやMADIオーディオ・インターフェイスが用いられている。
MQAは、英メリディアン・オーディオ社が開発したハイレゾ音源向けの新フォーマット。音楽データを折り紙のように“折りたたむ”独自のエンコーディング手法を用いることで、音質はそのままに、ハイレゾ音源の容量を大幅に削減する。メリディアンのほか、オンキヨーやクリプトンなどからMQA対応製品が発売されており、テクニクス「SU-G30」もファームウェアアップデートでMQA対応を済ませている。
日本ではe-onkyo musicやKRIPTON HQMといったハイレゾ配信サービスがMQA音源を販売中。海外では音楽ストリーミングサービス「TIDAL」がMQAでの配信を行うなど普及が進みつつある。
今回のMQA-CDはまた、例えばプレス工場がMQA対応機器を導入するなどの新たな設備投資は必要なく、通常のCDとまったく同じようにプレスできる点も特徴。追加コストが基本的には発生しないため、MQA-CDであっても通常CDより高くなることはないという。
なお、今回の作品に続くMQA-CD第2弾については「現在、まさに各所への働きかけを始めたばかり」(MQA社 鈴木弘明氏)とのことで、現時点では未定。
本日都内で、MQA-CDの発表会が開催され、MQAフォーマットの開発者であるボブ・スチュワート氏らが登壇。MQAフォーマット、およびMQA-CDの特徴を説明した。
スチュワート氏は「神経工学では、人間の聴覚は周波数より時間にシビアであることが分かっており、MQAはこの考え方を採り入れている」とコメント。「サンプリングレートを上げれば音質も上がるが、それによる音質向上の幅は(サンプリングレートの上がり幅と)比例するほどの大きさではない」とし、一般的なハイレゾとMQAとの考え方の違いを説明した。
こうした考えに基づいているため、MQAは“Temporal Blur”(直訳では“時差ボケ”。通訳を務めたMQA社の鈴木弘明氏は“音質のボケ”と表現)が他のオーディオフォーマットに比べて少ないと説明。この“音質のボケ”を除去する工程があるため、MQAフォーマットではCDクオリティの44.1kHz/16bitであっても、他フォーマットに比べて音質に有利に働くのだという。
UNAMASレーベルを主宰するミック沢口氏は「MQAは(ハイレゾではない)44.1kHzにもコーディングできることを知り、『じゃあ(配信だけでなく)CDにも収録できるのでは?』となった」と、今回のMQA-CD誕生の背景を紹介。
そして「CDの器にハイレゾが入る。言ってみればこれは“オールドボトル・ニューワイン”だ」と表現。「実際に聴いてみても『え、CDからこんな音が出るんだ!?』と非常に感激した」と、音質の完成度にも満足していると語る。
また「これまでCDの改善は材料やプレス工程が主で、音楽そのものは44.1kHz/16bitで何も変わってこなかった」とコメント。「今回、音楽そのものをハイレゾでCDから取り出せる」と、MQA-CD誕生の意義をアピールした。
加えて「一般的にハイレゾを始めようとした場合、パソコンやネットワーク、再生ソフトなど、かなり勉強が必要だ。しかし、MQA-CDでは何も考えずどんなCDプレーヤーでも再生できる」とメリットを改めて説明。「そしてもしMQA対応機器を通しての再生ならハイレゾとなって、手軽に良い音を楽しめる」と利便性もアピールした。