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公開日 2017/04/27 10:00

【レポート後編】AXPONAで見た、北米のPC/ネットワークオーディオ最新動向

北米市場の最注目オーディオショウ
島幸太郎(エミライ/OPPO Digital Japan)
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毎年春にアメリカのシカゴで開催されているオーディオショウ「AXPONA」。出展社は140以上を超え、メーカーが決意表明としてプロトタイプ機やコンセプトモデルを多く発表することも特徴だ。前編に引き続き、後編ではネットオーディオ関連を中心にレポートしたい。


■AXPONAの主役はファイル再生。再生方法は?

AXPONAで印象的だったのは、もはや誰もがファイル再生のデモをしている、という事実だ。大半のハイエンドオーディオブランドのブースはPC、またはネットワークトランスポートからのデモが中心で、USB-DACがデジタルハブの役割をはたしているシステムがとても多かった。

CDリッピング音源かハイレゾ音源かはさておき、AXPONAではとにかくファイル再生でデモするのが当たり前になっている。再生トラブルがあったときにバックアップとしてディスクプレーヤーがある、といった具合だ。

こちらはTIDALのブース。Aurenderのネットワークトランスポート群がデモに用いられている

比率でいうと、全体の9割以上がファイル再生のデモ。そのうち6割がPCを使ったUSB接続、3割がネットワークオーディオ、1割がWi-Fi接続でのワイヤレス再生というのがざっくりとした印象だ。こうした状況には様々な背景事情があるだろうが、主たる要因はTIDALやSpotifyといったストリーミングサービスの圧倒的な人気を前に、もう海外オーディオメーカーの大半はハイエンドからエントリーに至るまでディスクドライブを搭載した製品を開発する予定がない、ということだろう。

今回、PCレス再生システムの展示で目立っていたのはAurenderで、多くのブースで同社製トランスポートが使われていた。これは音質面の評価に加えて、NASなどの設置によりデモシステムが複雑化するのを嫌う出展社が多いということや、同社製コントローラーアプリが海外で高い評価を得ているということもあるようだ。


■スタンドアローンのミュージック・プレーヤーの覇権は「JRiver」に

では、一方のPC経由でのファイル再生についてはどうだろうか。USB-DACがデジタル・オーディオの中心的製品となって以来、基本的にはPCからUSB接続した再生システムが念頭にある。そこで職業柄気になるのが、どの再生ソフトウェアが使われているのか、である。

今回数多くのブースを回ってみて印象深かったのは、もはや北米市場では「JRiver」で決着がついているということだ。例えばFoobar2000を使っているブースは筆者が把握している限り1つもなかった。昨年大いに話題となった「Roon」ももちろん使われているが、今回は少数のブースで利用されるにとどまっていた印象だ。

再生環境として圧倒的な人気を誇る「JRiver」(写真はMrSpeakersブース)。筆者は正直なところ画面に表示される情報が多すぎて見づらいように思うのだが……

JRiverは映像も含めたマルチメディア再生が可能で、USBオーディオの黎明期から開発が続いている息の長いソフトウェアだ。細かな設定ができ、DSD再生におけるDoPへの対応も早かった。しかし日本ではインターフェースがややごちゃごちゃしているためか、あまり使われていない印象がある。

AXPONAでは、JRiverがインストールされているPCは目立たないところに設置して、ネットワーク経由でリモート操作するという展示方法を取っているところが多いのが印象的であった。ショウにおいては、お客様に背を向けてPCの操作をするというのはやはり「かっこ悪い」ので敬遠されるのは仕方がないこと。JRiverが純正のリモートコントロールソフトウェアを提供していることの強みがシェア拡大に寄与しているという側面もあるだろう。


次ページついに来たハイレートDSDの波

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