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公開日 2008/02/18 13:54
RWPPIが第5回目のJRT成果報告会を開催 − 相澤代表に聞く「ラウンドロビンテストの成果」
RWプロダクツプロモーションイニシアティブ(略称:RWPPI)は、記録型DVD会議(略称:RDVDC)と共同実施するジョイント・ラウンドロビンテスト(以下:JRT)の合同成果報告会をは15日、東京・目黒のパイオニア(株)本社で開催した。
JRTはRWPPIが主催するRRT(Round Robin Test)とRDVDCが主催するCWG(Compatible Working Group)の参加メンバーが組織の壁を取り払い、相互に乗り入れ可能な互換性検証の場を実現すべく、2003年9月にスタートした活動である。昨年をもってDVD-RAMの互換テストをほぼ終了したため、第5回目の開催となる今回の共同互換性検証試験は、RWPPIが中心となり、主にDVD-RW/-R製品の互換性検証を試験を進められてきた。テストにはDVD-RW/-R関連製品について、多分野に渡るメーカーが参加することにより、非常に高いマーケットカバー率を実現している。
2007年6月から実施されてきた「Stage7」のテストには、合計39社の企業が参加し、のべ265モデルについて365項目の試験が行われた。メインのテスト対象とされた記録型DVDは2倍速DVD-RW DL(2層)、16倍速DVD-R、8倍速DVD-R DL(2層)、および2倍速・4倍速8cm DVD-R DL(2層)など。今後本格的なビジネスの立ち上がりが期待されるDVDダウンロード規格のディスクもテストの後半から対象項目に加えられ、それぞれに対応した製品間での互換性が「フィジカルフォーマット」「ロジカルライター」「ロジカルレコーダー」「プレイバック・コンパチビリティ」の、RRTにおける4つのワーキンググループごとに試験が行われた。
会議の冒頭にはRWPPI代表の相澤宏紀氏が登壇し、挨拶を行った。相澤氏は「今のRWPPIにとっての最大の使命は、DVD-RW/-R関連製品を使われるユーザーにとって最も大事なことを参加各社がRRTの場で真剣に議論し、各々の商品へ的確にフィードバックしながら、ユーザーの方々の喜びにつなげていくことであると考えている」とし、“ラウンドロビンテスト”の重要性を改めて強調した。現在RRTでは、2倍速のDVD-RW DLやDVDダウンロードディスクなど、新規格の登場によりますます多様化する商品について、新しいフォーマットのディスクと既存のハードウェアとの互換性を確認するための試験に「マウントチェック」という項目を加えている。これは、最新フォーマットのディスクを未対応機器のドライブ・プレーヤーなどの機器に誤挿入したときに、“誤動作を発生させないか”をチェックするための試験項目である。相澤氏は「このように、ユーザーの利便性を第一に考えたキメの細かい互換性チェックを積極的に推し進めていくことがRRTの役目であり、このような活動を参加メンバーが一体となって実現できることが、RRT活動の真髄である」と語った。
発表会では、各団体がワーキンググループ単位で展開している互換性検証試験の成果に関する詳細が、それぞれの責任者から発表された。
フィジカルフォーマットWGのチェアマンを勤める日本ビクター(株)の藤木氏は「DVD-RW/-Rディスクと対応ライターの記録物理特性について、当WGではディスクメーカー18社・27モデル、及びライター(ドライブ)メーカー8社・12モデルを集め、合計245項目の試験を行った。いずれのテスト項目についても、参加メーカーの機器間で安定した記録品質が確保されている事が確認された」と語った。本年の6月からスタートするRRTの「Stage8」では、「12倍速対応のDVD-R DL、CSS対応のDVDダウンロードディスクも新たな試験項目に加え、精力的な試験を進めていきたい」と抱負を述べた。
続いてロジカルライターWGのチェアマンであるティアック(株)の篠原氏が成果報告を行った。同WGでは「DVD-RW/-R対応ドライブとライターに関して、8社・68モデル間にて合計57の確認項目の論理互換性試験を実施した。その結果、参加モデル間での記録・再生互換性を確認し、同時に参加メンバーの規格に関する共通理解を一層深めることができた。なお、DVDダウンロードディスクのブランクメディアに関する“マウントチェック”も参加メーカーの機器間で行ったが、ディスクやドライブに及ぼす影響は報告されなかった」と報告された。次期における同WGの活動目標について篠原氏は「DVD-RW DLディスクへの追記互換性についてもテストの幅を広げていきたい」とした。
代わって登壇したロジカルレコーダーWGチェアマンのパイオニア(株)川原氏は、同WGの成果について「DVD-RW/-R対応レコーダー、DVDカムコーダー、及びPCオーサリングソフトに関して、VRモード記録を中心に記録・再生・編集機能に渡って、9社・23モデル間で51項目のテストを行い、いずれも高い互換性が確認された。またDVD-RW DLディスクの“マウントチェック”も行ったが、良好な結果を得ることができた」と成果について説明した。
最後に登壇したプレイバック・コンパチビリティーWGチェアマンを勤める(株)ケンウッド篠木氏は「DVD-RW/DVD-R対応プレーヤー、ドライブ、及びPC再生ソフトウエアに関して、合計18社・135モデルにより12項目での再生互換性評価を行い、広範な環境下での再生互換が確認できた」と語った。また「DVDダウンロードディスクやDVD-RW DLディスクのブランクメディアで“マウントチェック”を実施したが、次世代のサービスやアプリケーションの開発に有益な互換性情報を得ることができた」と評価した。また同WGにおける次期の活動目標については「12倍速DVDR DL、DVDダウンロードディスクなど新しい規格製品に対応していきたい。また新しい規格製品と既存アプリケーション間の互換性についても、これまで以上に幅広く検証していく必要があると考えている」とし、意気込みを語った。
会議の最後に登壇したラウンドロビンテスト・ヘッドチェアマンのパイオニア(株)石井氏は「昨今は青色系のディスクメディアが注目を浴びつつあるが、ビジネスの主軸はまだ赤のメディアであり、ユーザーにとっても依然メインの記録媒体であることは確かだ。来期の“Stage8”においても、ぜひ積極的な活動を各ワーキンググループで展開してもらいたい」と語った。
■RWPPI代表・相澤宏紀氏インタビュー:「ユーザー目線に立ってやってきたラウンドロビンテストの成果」
今回は第5回JRT会場にて、RWPPI代表の相澤宏紀氏にこれまでのラウンドロビンテストの成果についてお話をうかがうことができた。
−RWPPIが主催するラウンドロビンテストについて、これまでの成果に関する評価と、今後の期待は。
相澤氏:現在はRWPPIの活動の軸を、フォーマットプロモーションから、DVD-RW/-R関連製品の互換性検証試験である「ラウンドロビンテスト」に移行しているが、これまでユーザーにとっての利便性を向上していくという意味において、その活動は多大な成果をあげてきたと実感している。今後青色記録のメディアが出てきても、ユーザーにとってメインになる記録媒体はしばらくの間はDVDであると考えている。昨今は記録型DVDについて、2層記録タイプのDVD-RWやダウンロードサービスへの対応をターゲットにしたDVDなど、新しい規格も続々と現れてきている。来期もRRTの活動が果たすべき役割は大きなものとなるだろうが、関連する商品の互換性確認について、さらに力を入れていきたい。
−今日のDVD-RW/-Rの普及率についてはどのように評価しているか。
相澤氏:RWPPIとしては、これまでにもDVD-RW/-R関連製品の普及拡大と、ユーザーにとっての利便性を高めるための品質向上に、大いに力を注いできた。現在ではDVD-RW/-R関連製品の普及率は非常に広範なものになったと感じている。殊にユーザーにとっての商品の「使いやすさ」については、例えばユーザーどうしで記録したディスクの交換を楽しむ際など、とても高い利便性を感じていただけるのではないかと自負している。それほどまでにフォーマットと商品が成長を実現できたのではないだろうか。
大事なことは、DVDにおいては書換え型のメディアがユーザーのライフスタイルに根付いたことではないだろうか。CDの時代には「追記型のCD-Rは成功したが、書換え型のCD-RWはだめだった」と評価する向きもあった。ところがDVDの場合には、レコーダーやドライブを使って映像や大容量のデータを書換えながら記録する「書換え文化」がきちんと確立されたことに、大きな意義を感じている。
−これほどまで大きな活動に発展してきたRWPPI、ラウンドロビンテストの参加メンバーに向けたコメントは。
相澤氏:それぞれの活動に参加し、ここまで支えてきてくれたメンバーにはあらためて感謝の気持ちを贈りたい。ハードとメディアの企業のみならず、ソフトやアプリケーション、パーツメーカーなど大きな意味での記録型DVDのシステムを構成するあらゆる分野の関連企業から参画を得て、活動の規模は大きく、そして密度の濃いものに成長することができた。また国内だけでなく、海外からも多くの企業に参加していただけたことで、ワールドワイドな活動に発展していくことができたことも何よりの収穫だ。
また参加メンバー間の仲間意識も強く、いつもユーザー目線を忘れることなく活動に取り組もうとする姿勢が参加メンバー間には確立されている。ラウンドロビンについては、製品を世に送り出したメーカーとしての責任を強く意識しながら、ユーザーのため、次の商品開発のベースとなるデータ取得のため、メンバー各自が非常にアグレッシブな姿勢で活動に参加しているのも心強く感じている。
「Stage7」からは“マウントチェック”という試験項目がRRTの各ワーキンググループにて取り組まれた。これは最新フォーマットのディスクを未対応機器のドライブに誤挿入したときに誤動作を発生させないかについて、チェックを行っていこうとする試験項目だ。最近はDVD-RW DLディスクやH.264方式によるDVDへのハイビジョン記録フォーマットなどが登場してきたため、バラエティに富んだDVDメディアをきちんと互換性検証していくことの重要性がますます高まってきているが、今後も使いやすいDVD製品をユーザーの立場に立ちながら提供していくためにも、“マウントチェック”は非常に有意義な取り組みだと感じている。このようにラウンドロビンテストの進化のために数々の努力を重ねてきたメンバーたちに改めて敬意を表したいと思う。
(Phile-web編集部)
JRTはRWPPIが主催するRRT(Round Robin Test)とRDVDCが主催するCWG(Compatible Working Group)の参加メンバーが組織の壁を取り払い、相互に乗り入れ可能な互換性検証の場を実現すべく、2003年9月にスタートした活動である。昨年をもってDVD-RAMの互換テストをほぼ終了したため、第5回目の開催となる今回の共同互換性検証試験は、RWPPIが中心となり、主にDVD-RW/-R製品の互換性検証を試験を進められてきた。テストにはDVD-RW/-R関連製品について、多分野に渡るメーカーが参加することにより、非常に高いマーケットカバー率を実現している。
2007年6月から実施されてきた「Stage7」のテストには、合計39社の企業が参加し、のべ265モデルについて365項目の試験が行われた。メインのテスト対象とされた記録型DVDは2倍速DVD-RW DL(2層)、16倍速DVD-R、8倍速DVD-R DL(2層)、および2倍速・4倍速8cm DVD-R DL(2層)など。今後本格的なビジネスの立ち上がりが期待されるDVDダウンロード規格のディスクもテストの後半から対象項目に加えられ、それぞれに対応した製品間での互換性が「フィジカルフォーマット」「ロジカルライター」「ロジカルレコーダー」「プレイバック・コンパチビリティ」の、RRTにおける4つのワーキンググループごとに試験が行われた。
発表会では、各団体がワーキンググループ単位で展開している互換性検証試験の成果に関する詳細が、それぞれの責任者から発表された。
■RWPPI代表・相澤宏紀氏インタビュー:「ユーザー目線に立ってやってきたラウンドロビンテストの成果」
今回は第5回JRT会場にて、RWPPI代表の相澤宏紀氏にこれまでのラウンドロビンテストの成果についてお話をうかがうことができた。
相澤氏:現在はRWPPIの活動の軸を、フォーマットプロモーションから、DVD-RW/-R関連製品の互換性検証試験である「ラウンドロビンテスト」に移行しているが、これまでユーザーにとっての利便性を向上していくという意味において、その活動は多大な成果をあげてきたと実感している。今後青色記録のメディアが出てきても、ユーザーにとってメインになる記録媒体はしばらくの間はDVDであると考えている。昨今は記録型DVDについて、2層記録タイプのDVD-RWやダウンロードサービスへの対応をターゲットにしたDVDなど、新しい規格も続々と現れてきている。来期もRRTの活動が果たすべき役割は大きなものとなるだろうが、関連する商品の互換性確認について、さらに力を入れていきたい。
−今日のDVD-RW/-Rの普及率についてはどのように評価しているか。
相澤氏:RWPPIとしては、これまでにもDVD-RW/-R関連製品の普及拡大と、ユーザーにとっての利便性を高めるための品質向上に、大いに力を注いできた。現在ではDVD-RW/-R関連製品の普及率は非常に広範なものになったと感じている。殊にユーザーにとっての商品の「使いやすさ」については、例えばユーザーどうしで記録したディスクの交換を楽しむ際など、とても高い利便性を感じていただけるのではないかと自負している。それほどまでにフォーマットと商品が成長を実現できたのではないだろうか。
大事なことは、DVDにおいては書換え型のメディアがユーザーのライフスタイルに根付いたことではないだろうか。CDの時代には「追記型のCD-Rは成功したが、書換え型のCD-RWはだめだった」と評価する向きもあった。ところがDVDの場合には、レコーダーやドライブを使って映像や大容量のデータを書換えながら記録する「書換え文化」がきちんと確立されたことに、大きな意義を感じている。
−これほどまで大きな活動に発展してきたRWPPI、ラウンドロビンテストの参加メンバーに向けたコメントは。
相澤氏:それぞれの活動に参加し、ここまで支えてきてくれたメンバーにはあらためて感謝の気持ちを贈りたい。ハードとメディアの企業のみならず、ソフトやアプリケーション、パーツメーカーなど大きな意味での記録型DVDのシステムを構成するあらゆる分野の関連企業から参画を得て、活動の規模は大きく、そして密度の濃いものに成長することができた。また国内だけでなく、海外からも多くの企業に参加していただけたことで、ワールドワイドな活動に発展していくことができたことも何よりの収穫だ。
また参加メンバー間の仲間意識も強く、いつもユーザー目線を忘れることなく活動に取り組もうとする姿勢が参加メンバー間には確立されている。ラウンドロビンについては、製品を世に送り出したメーカーとしての責任を強く意識しながら、ユーザーのため、次の商品開発のベースとなるデータ取得のため、メンバー各自が非常にアグレッシブな姿勢で活動に参加しているのも心強く感じている。
「Stage7」からは“マウントチェック”という試験項目がRRTの各ワーキンググループにて取り組まれた。これは最新フォーマットのディスクを未対応機器のドライブに誤挿入したときに誤動作を発生させないかについて、チェックを行っていこうとする試験項目だ。最近はDVD-RW DLディスクやH.264方式によるDVDへのハイビジョン記録フォーマットなどが登場してきたため、バラエティに富んだDVDメディアをきちんと互換性検証していくことの重要性がますます高まってきているが、今後も使いやすいDVD製品をユーザーの立場に立ちながら提供していくためにも、“マウントチェック”は非常に有意義な取り組みだと感じている。このようにラウンドロビンテストの進化のために数々の努力を重ねてきたメンバーたちに改めて敬意を表したいと思う。
(Phile-web編集部)