• ブランド
    特設サイト
公開日 2009/01/15 19:07

ワンセグよりも高音質!北米で始まるモバイル用デジタルTV放送に注目!

会田肇のCES2009レポート
会田肇
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
日本にはモバイル向けに用意された地上デジタル放送として、ワンセグがある。しかし、地上デジタル放送の全帯域を13セグメントに分け、そのうちの1セグメントをモバイルに用意して対応したワンセグは、もともとは対象を携帯電話などの小さい画面での視聴を想定していたために映像クオリティは決して高いとは言えない。


ケンウッドのブースで紹介されていた『ATSC M/H』の展示。モバイルDTVの推進を進めるATSCで決定が下りれば、今年9月にも放送がスタートできる段階にあるという
一方でアメリカでは、より高画質で見られるモバイル用デジタル放送として、『ATSC M/H』方式による放送がこの秋にも開始する方向で動き出しているという。先日の8日にはオバマ新政権が、2月17日に予定していた地デジ放送への全面切り替えを延期する要請書を提出したというニュースが流れたが、この『ATSC M/H』はそれとはまったく別の流れで動いているという。その方式はどんなものなのか、JVC・ケンウッド・ホールディングスの新事業開発センター第三部部長の鈴木章一氏に話を伺った。

これまでにもアメリカでは自動車や携帯電話向けモバイルTV放送用としていくつかの方式が検討されてきた。その中には日本のワンセグが採用する「ISDB-T」方式、ヨーロッパやアジア各国が採用する「DVB-T」方式などがあり、現在、準備が進められている「ATSC M/H」は米国の家電メーカーであるゼニス社が提案していたものをベースに開発されたもの。現在は買収によって韓国LGがこの権利を取得しているが、「ATSC M/H」は現放送システムをそのまま流用できるということで、放送局側の圧倒的支持を獲得。さらに最初は別方式を提案していたGM系のデルファイ、フォード系のビステオンがこの方式に賛同したことで、「ATSC M/H」の優位性は確実になったという。日本メーカーでは、ケンウッドがこの方式を早くから手掛けており、韓国サムソンも早い段階での方針転換を図ったようである。そのため、手続きさえ順調に進めばこの9月にも放送がスタートできそうというところまできているのだという。




LGブースで見つけた『ATSC M/H』対応試作モバイル端末。DVDプレーヤーや携帯電話などにも搭載し、その実現する日が近いことを示していた
「ATSC M/H」の特徴としてはモバイル放送としてはかなり画質が良いと言うことだ。帯域幅として6MHz程度もあり、チャンネル数は各局ごとに映像が6ch、音声が2ch、データ放送用として1chの計9chが利用できる。しかも30フレーム/秒で視聴できるため、日本のワンセグのようなカクカクとした動きもない。また、ビットレートもモバイル放送全体で4Mbpsを使い、安定受信のためのトレーニング信号を乗せても1.5Mbpsは確保できる。416kbpsしかないワンセグと比べれば、はるかに画質は良いことになる。


『ATSC M/H』の試験放送波をリアルタイム映像で見ると、30フレーム/秒の動きはさすがにスムーズで、通常のTVと何ら変わりのない動きを見ることができた
特にモバイルとして重要な高速走行時の安定性でも理論上は300km/h付近まで可能のようで、この点でも200km/hを限度としているワンセグを上回る。鈴木氏によれば「自社実験ではかなりの高速域でも問題なく受信できたことを確認している」という。また、放送は現在のところ有料化の方式が決まっていないことから無料で提供されるのは確実。地上デジタル放送の動きが気になるが、デジタル放送は車載用にとってはメリットは大きく、この放送に対する期待の声はかなり大きいという。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 「オーディオのオンキヨー」復活へ。新スピーカーとセパレートシステムを年明けのCESで発表
2 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.10】音のプロが選ぶベストバイは?
3 CD再生とファイル再生の架け橋に!Shanlingからリッピング機能付きトランスポート「CR60」が登場
4 今こそ「ミニコンポ」が面白い! デノン/マランツ/B&Wの令和ライフにマッチする厳選5モデルレビュー
5 水月雨、『崩壊:スターレイル』とのコラボ完全ワイヤレス。ダイナミック+環状平面駆動の同軸ドライバー搭載
6 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
7 モニターオーディオ「GOLDシリーズ」レビュー。ユニット大幅刷新の第6世代機は「ハイスピードで焦点の明確な音調」
8 AVIOT、『らんま1/2』コラボ完全ワイヤレスイヤホン。完全新録ボイス240種類以上搭載
9 Nothing、スマホ/イヤホンが最大30%オフ価格になるウィンターキャンペーン。先着順で靴下もらえる
10 要注目の新興ブランド、ラトビア「アレタイ」スピーカー試聴レビュー!広大な空間描写力が魅力
12/20 10:05 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX