HOME > ニュース > AV&ホームシアターニュース
公開日 2011/03/07 21:58
カシオ、新“EXILIM”の開発思想や将来展望を一部メディアに説明 − 「TR100」試作機なども披露
「EX-TR100」などを改めてアピール
カシオ計算機(株)は、“EXILIM”「EX-TR100」(関連ニュース)など同社製デジタルカメラについて、一部メディア向けの説明会を実施。商品開発における思想や戦略について説明した。
■一眼カメラは将来的に大幅な需要減に?
説明会では最初に同社QV事業部 商品企画部 次長の渋谷敦氏が登場。「最近では、高速連写をした中から最適な一枚をカメラが自動的に記録するような機能が一般的になってきているが、我々はそれ以外の部分を開発当初から意識していた」と、商品開発の立脚点の違いをコメント。
そして「HDRに絞って訴求した結果、『こういったものもあるのか』とお客様にも受け入れてもらえている」と言葉を続け、最近大きくPRしているHDRアート機能なども市場に好感されていると説明した。
また、渋谷氏は「我々は一眼レフ市場には参入しないと明言しているが、ミラーレス一眼の登場は『一眼カメラのコンパクトカメラ化』の第一歩かと思っている」とコメント。
「誤解を恐れずに言えば、将来はコンパクト機で一眼機と同じ画が撮れるようになって、ユーザーも『コンパクトデジカメで充分』と考えるような時代になるのではないか」と語るとともに、交換レンズを持ち歩く必要がないというメリットも挙げ、同社としても高性能コンパクト機の方向へベクトルを持って行く考えであることを示した。
そして画像エンジン「EXILIM ENGINE HS」などによる高感度化や、HDRによるダイナミックレンジの向上など、かつては光学でしか成し得なかった技術をデジタルで実現できるようになった点にも言及。「この部分でカシオはまだまだやれることがあると思っている。フィルムカメラではあり得なかったスタイルも提案できる」とコメントし、「真の『デジタル』なカメラを目指す」とした。
■TR100の発想の原点は「一眼カメラ・ビデオカメラ・ケータイによる三角形の外側に出る商品」
続いては、EX-TR100のデザインを担当した同社デザインセンター プロダクトデザイン部 第一デザイン室長の長山洋介氏が登壇。「最初の頃は複眼にするアイディアもあった」など裏話も交えながらデザイン面でのこだわりを語った。
長山氏は「開発陣からの要望を受けてからデザインをするという、通常の仕事ばかりを続けているだけでは、日頃から持っている思想などを表現しきれないため、実は当社では半期に一度、デザイナーが商品企画を提案している」と説明。普段は電卓を担当しているスタッフがデジカメに関わるなど、部署のカベを取り払った活動を行っており、EX-TR100もそこから誕生した商品であることを明かす。
そして「静止画と動画の垣根を壊せるものがないかという想いを持っていた」とコメント。「他社製品も含めて、過去にもカメラとビデオの融合を目指したような製品がいくつかあったが、大ヒットしたとは言えない。それはデザインに原因があるのではないか」と考えた結果、可変フレームデザインと呼ぶ独特の形状を採用するに至ったことを改めて説明した。
また、「動く静止画」が企画当初のキーワードだったことを明かし、「5秒か10秒ほどの動画を撮影してそこから静止画を切り出す」ことをデフォルトの状態にするスタイルが発想の原点だったと述べた。
さらに、長山氏はホワイトボードにその場で自ら絵を描き、現在は「一眼カメラ」「カムコーダー」「ケータイ」が“3大フォト”になっていると指摘。コンパクトカメラはこれらによって形成された三角形の中で翻弄されているような状況であるとし、「この三角形の外側に飛び出す商品を作りたかった」と語った。
■「HDRアート」や「ハイブリッドGPS」機能も改めてアピール
同社開発本部QV統括部 商品企画部 第二企画室の今村圭一氏は、「今はどんな機種でも一定のレベルの写真撮れるようになってきた」と現在のカメラ市場の状況へ言及。そうであるが故に「カメラはどれも同じようなもの」といったような考えを持ってしまい、「カメラに対して興味を失ってきているユーザーもそろそろ出てきているのではないかと仮説を立てた」と、「EX-ZR10」開発における立脚点を説明する。
そして、そうしたユーザーへ向けた機能が「HDRアート」であると説明。「本来、何かを表現したいから人間は写真を撮る。HDRアートでもう一度写真を楽しく感じてもらえるのではないかと思っている」と、同機能の魅力を改めてアピール。
また、同社のHDR機能ではピクセル単位で合成を行っていること、さらに撮影時には動体キャンセルも行って動く被写体も自然に撮影できるようにしている点を他社との差別化ポイントとして説明。そして「EXILIM ENGINE HS」による高速処理によってストレスなくHDR機能を使えるようにしている点も挙げた。
さらに「あるお客様からは『ただ写真を撮っただけでは気付かなかった部分に気付かせてくれるね』と評価して頂いた」と、実際に同機能が支持されていることも説明。「HDRアートだけでなく、こういった機能を今後も開発して、写真に飽きた人を楽しませたい」と語った。
そして今村氏に続いては、同社QV事業部 商品企画部 第二企画室の萩原一晃氏が登場。「EX-H20G」に搭載した「ハイブリッドGPS」機能などについて説明した。
同機能では、デジタルカメラで初めて自律測位を実現。3軸の加速度センサーと3軸の方位センサーを活用し、独自のアルゴリズムにより、GPS衛星からの信号が届かない屋内でも連続した位置情報を取得する。そして再び屋外に出た際にはGPS衛星から受信した正確な位置をもとに屋内での位置情報を補正。
萩原氏は、こうした機能を開発した背景について、ソーシャルゲームや画像共有サイトなどGeo tagを利用するようなサービスが普及してきていることを挙げながら「『位置情報は当然付いている』という時代がすぐそこに来ている」とコメント。カメラにとってもGPS機能がますます重要になるという考えを示す。
しかしその一方で、電波受信での消費電力が高いなど、従来のGPS機能の欠点も指摘。状況に応じた測位タイミングや電力制御によって省電力化も実現した同機能の特徴を改めてアピールした。
■一眼カメラは将来的に大幅な需要減に?
説明会では最初に同社QV事業部 商品企画部 次長の渋谷敦氏が登場。「最近では、高速連写をした中から最適な一枚をカメラが自動的に記録するような機能が一般的になってきているが、我々はそれ以外の部分を開発当初から意識していた」と、商品開発の立脚点の違いをコメント。
そして「HDRに絞って訴求した結果、『こういったものもあるのか』とお客様にも受け入れてもらえている」と言葉を続け、最近大きくPRしているHDRアート機能なども市場に好感されていると説明した。
また、渋谷氏は「我々は一眼レフ市場には参入しないと明言しているが、ミラーレス一眼の登場は『一眼カメラのコンパクトカメラ化』の第一歩かと思っている」とコメント。
「誤解を恐れずに言えば、将来はコンパクト機で一眼機と同じ画が撮れるようになって、ユーザーも『コンパクトデジカメで充分』と考えるような時代になるのではないか」と語るとともに、交換レンズを持ち歩く必要がないというメリットも挙げ、同社としても高性能コンパクト機の方向へベクトルを持って行く考えであることを示した。
そして画像エンジン「EXILIM ENGINE HS」などによる高感度化や、HDRによるダイナミックレンジの向上など、かつては光学でしか成し得なかった技術をデジタルで実現できるようになった点にも言及。「この部分でカシオはまだまだやれることがあると思っている。フィルムカメラではあり得なかったスタイルも提案できる」とコメントし、「真の『デジタル』なカメラを目指す」とした。
■TR100の発想の原点は「一眼カメラ・ビデオカメラ・ケータイによる三角形の外側に出る商品」
続いては、EX-TR100のデザインを担当した同社デザインセンター プロダクトデザイン部 第一デザイン室長の長山洋介氏が登壇。「最初の頃は複眼にするアイディアもあった」など裏話も交えながらデザイン面でのこだわりを語った。
長山氏は「開発陣からの要望を受けてからデザインをするという、通常の仕事ばかりを続けているだけでは、日頃から持っている思想などを表現しきれないため、実は当社では半期に一度、デザイナーが商品企画を提案している」と説明。普段は電卓を担当しているスタッフがデジカメに関わるなど、部署のカベを取り払った活動を行っており、EX-TR100もそこから誕生した商品であることを明かす。
そして「静止画と動画の垣根を壊せるものがないかという想いを持っていた」とコメント。「他社製品も含めて、過去にもカメラとビデオの融合を目指したような製品がいくつかあったが、大ヒットしたとは言えない。それはデザインに原因があるのではないか」と考えた結果、可変フレームデザインと呼ぶ独特の形状を採用するに至ったことを改めて説明した。
また、「動く静止画」が企画当初のキーワードだったことを明かし、「5秒か10秒ほどの動画を撮影してそこから静止画を切り出す」ことをデフォルトの状態にするスタイルが発想の原点だったと述べた。
さらに、長山氏はホワイトボードにその場で自ら絵を描き、現在は「一眼カメラ」「カムコーダー」「ケータイ」が“3大フォト”になっていると指摘。コンパクトカメラはこれらによって形成された三角形の中で翻弄されているような状況であるとし、「この三角形の外側に飛び出す商品を作りたかった」と語った。
■「HDRアート」や「ハイブリッドGPS」機能も改めてアピール
同社開発本部QV統括部 商品企画部 第二企画室の今村圭一氏は、「今はどんな機種でも一定のレベルの写真撮れるようになってきた」と現在のカメラ市場の状況へ言及。そうであるが故に「カメラはどれも同じようなもの」といったような考えを持ってしまい、「カメラに対して興味を失ってきているユーザーもそろそろ出てきているのではないかと仮説を立てた」と、「EX-ZR10」開発における立脚点を説明する。
そして、そうしたユーザーへ向けた機能が「HDRアート」であると説明。「本来、何かを表現したいから人間は写真を撮る。HDRアートでもう一度写真を楽しく感じてもらえるのではないかと思っている」と、同機能の魅力を改めてアピール。
また、同社のHDR機能ではピクセル単位で合成を行っていること、さらに撮影時には動体キャンセルも行って動く被写体も自然に撮影できるようにしている点を他社との差別化ポイントとして説明。そして「EXILIM ENGINE HS」による高速処理によってストレスなくHDR機能を使えるようにしている点も挙げた。
さらに「あるお客様からは『ただ写真を撮っただけでは気付かなかった部分に気付かせてくれるね』と評価して頂いた」と、実際に同機能が支持されていることも説明。「HDRアートだけでなく、こういった機能を今後も開発して、写真に飽きた人を楽しませたい」と語った。
そして今村氏に続いては、同社QV事業部 商品企画部 第二企画室の萩原一晃氏が登場。「EX-H20G」に搭載した「ハイブリッドGPS」機能などについて説明した。
同機能では、デジタルカメラで初めて自律測位を実現。3軸の加速度センサーと3軸の方位センサーを活用し、独自のアルゴリズムにより、GPS衛星からの信号が届かない屋内でも連続した位置情報を取得する。そして再び屋外に出た際にはGPS衛星から受信した正確な位置をもとに屋内での位置情報を補正。
萩原氏は、こうした機能を開発した背景について、ソーシャルゲームや画像共有サイトなどGeo tagを利用するようなサービスが普及してきていることを挙げながら「『位置情報は当然付いている』という時代がすぐそこに来ている」とコメント。カメラにとってもGPS機能がますます重要になるという考えを示す。
しかしその一方で、電波受信での消費電力が高いなど、従来のGPS機能の欠点も指摘。状況に応じた測位タイミングや電力制御によって省電力化も実現した同機能の特徴を改めてアピールした。