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公開日 2015/02/04 16:47
ソニー、'14年3Qテレビ事業は増収増益 − 通期業績見通しを上方修正
モバイル分野は'15年度末までに人員削減
ソニーは、2014年度第3四半期の連結業績について見通し数値を発表。報道関係者向けに説明会を開催し、同社代表執行役CFOの吉田憲一郎氏、執行役 EVPの神部司郎氏、VP、経営企画管理部 シニアゼネラルマネージャーの武田和彦氏らが出席した。
第3四半期の売上高および営業収入は前年同期比6.1%増の2兆5,588億円で、営業利益は同比894億円増の1,783億円、四半期純利益は同比627億円増の890億円としている。
■3Qの好調ぶりを受け通期業績見通しを上方修正
同社ではこれらの結果を踏まえ、2014年度の通期業績見通しを昨年10月に発表した数値から上方修正。売上高および営業収入は、昨年10月度の見通し比2.6%増の8兆円、営業利益については、昨年10月時点では営業赤字を見込んでいたが、今回予想では一転して、200億円の営業黒字を見込む。当期純損益は昨年10月時点で2,300億円の赤字を見込んでいたが、これについても600億円改善する1,700億円の損失に修正した。
なお今回の公表数値が「見通し」とされているのは、既に発表されている通り、ソニーの連結子会社であるソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)が第三者からのサイバー攻撃を受けたことでネットワーク・ITシステムに障害が生じ、SPEにおける該当期間の決算業務を本日までに完了させられなかったため。なお同社では、サイバー攻撃が通期連結業績に当たる影響は軽微なものと見込んでいる。
上記のような理由から、連結および映画分野について、サイバー攻撃が業績に与える影響見込みを含めた現時点での「見通し」として情報開示された。なお、サイバー攻撃の影響を受けていない映画分野以外の各セグメント業績は、2014年度第3四半期の実績を開示している。正式な数値は2015年3月31日までに公表する予定とのこと。
売上高および営業収入の増収については、主に為替の好影響や、スマートフォンの販売台数が増加したモバイル・コミュニケーション分野の大幅増収、イメージセンサーが好調なデバイス分野の大幅増収、PS4が好調なゲーム&ネットワークサービス分野の大幅増収によるものと同社では分析。一方で、映画製作およびテレビ番組制作が減収となった映画分野の売上高は、大幅に減少する見込みとしている。
前年比894億円増と大幅増収した営業利益については、主にデバイス分野、ホームエンタテインメント&サウンド分野、ゲーム&ネットワークサービス分野、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野の大幅な損益改善によるものとコメントしている。
■「テレビ事業の通期黒字化の確度は高まった」
セグメント別では、まず液晶テレビ事業が含まれるホームエンタテインメント&サウンド分野で、売上高が前年同期比2.3%増加の4,133億円、営業利益は同比189億円増の253億円となった。
オーディオ・ビデオは減収となった一方で、為替の好影響やテレビの大幅増収により分野全体で増収、コスト削減の影響で増益したという。
テレビ事業単体では、販売台数が増加したことによって売上高が前年比10.1%増の2,806億円、さらにコスト削減などによって、前年同期50億円の損失に対し今年は93億円の黒字を計上した。
テレビは特に北米と欧州が好調で、この理由について吉田氏は、「販売現場での積極的な活動が主な理由」と説明。武田氏が補足し、「特に北米では、もっとも重要なパートナーであるベストバイで、ショップフロントの改善を行った」のだという。さらに武田氏は、「テレビ事業全体として、分社化したことにより意識が高まり、固定費の削減も進んだ。また4Kの売上げが5倍になるなど、高付加価値製品へのシフトも進んでいる」と分析した。
この結果を受けて、吉田氏は「2014年度通期のテレビ事業の営業黒字の確度は高まった」とコメント。その上で吉田氏は直近の四半期ごとの営業損益のグラフを見せ、「昨年度は4Qに166億円の営業赤字を計上した。このため今年度も同程度の赤字が出る可能性があり、決して楽観視はしていない」と述べた。武田氏も「第4四半期はブレークポイントを超える売上げが出ないという構造的な問題がある。ドル高、ユーロ安など為替も動いているので、リスクをしっかりと読み込ませている。引き続き数は追わず、高付加価値化を進めてミックスの改善を行う。構造の改善にも取り組んで行く」と補足した。
なお、他の国内メーカーはテレビ事業のリストラを進めており、工場を削減する動きがある。ソニーとして工場を維持するのか、ファブレスになるかと記者から問われた吉田氏は、「ソニーもすでに製造拠点を削減し、マレーシア1カ所が主力工場となっている。そこで生産を続けるのがいまの考えだが、環境は変わるので、事業環境に応じて柔軟に対応していきたい」と答えた。
なお、分野全体に含まれる構造改革費用は製品カテゴリーには配賦されておらず、テレビの営業損益には含まれていない。
■モバイル分野では追加リストラを実施
モバイル・コミュニケーション分野は、スマートフォンの販売台数が増加したことや製品ミックスの改善、為替の好影響などにより、売上高が前年同期比28.7%増の4,290億円、営業損益が同比29億円増の93億円となった。
なお同分野では、2017年度には売上高9,000〜1兆1,000億円、営業利益率3〜5%規模を目指して取り組むとしており、2014年9月に発表した人員削減等による構造改革に加えて新たな構造改革の計画を策定している。これにより、2015年末までに合計で2,100人の人員削減を見込む。
これらを含むモバイル・コミュニケーション分野の構造改革費用としては、2014年度および2015年度合計で約300億円を見込んでおり、その他の費用合理化等を含めて2016年度以降の経費削減効果は2014年度比で年間900億円以上を想定しているとのこと。
■PS4の販売台数が予想を上回る
ゲーム&ネットワークサービス分野については、売上高は前年同期比16.8%増の5,315億円、営業利益は同122.8%増の276億円となった。PS4の販売台数、ネットワーク売上高がそれぞれ予想を上回った。また為替の好影響も寄与した。
この結果を受け、通期売上高についても900億円上方修正した。発表会では、PSNの会員数が6,400万人を超え、「サービス基盤が着実になった」と強調した。
■デジカメは販売台数大幅減も営業利益はほぼ倍増
デジタルカメラ事業を展開するイメージング・プロダクツ&ソリューション分野は、デジカメの販売台数は大幅に減少したものの、主に為替の好影響により、売上げは前年同期比1.5%増の2,010億円となった。また営業利益についても、販売費や一般管理費を削減したほか、為替の好影響もあり、前年同期比で90%増の230億円と、大幅な増益となった。
■イメージセンサーが好調、生産能力を増強
各分野別の業績で、好調ぶりが際立ったのがデバイス分野。特にイメージセンサーの好調ぶりが目立っている。売上高は2,929億円と前年同期比38.6%増、営業利益は545億円となった。外部顧客に対する売上高も前年同期比47.2%増となった。
ソニーではこのイメージセンサーをさらに強化すべく、積層型CMOSイメージセンサーの生産能力を増強。長崎、熊本、山形の3拠点に約1,050億円を投資し、総生産能力を2016年6月末には約8万枚/月に拡大させる。
またイメージセンサーの用途拡大も広げる。「技術的な優位性をグローバルで確保している。最大の用途はモバイルだが、用途を広げるのは重大なチャレンジだ。医療もある」(吉田CFO)。神部氏も「これまでは画像の画質を向上させることをやってきたが、アプリケーションを広げるうえで、センシング領域に可能性があるだろうと、BtoBへ進出することを決めた。ユニークで差異化できることをやっていこうということだ」と補足した。
なお同社は、2月18日に経営方針説明会を開催。平井CEOが今後3カ年の経営見通しを説明する予定だ。
以下、説明会で行われた質疑応答を紹介する。
Q:業績改善が顕著になっているが、どういう変化が社内に起こっていると考えているか。
A:一昨年の12月から平井が進めてきた、構造改革をやり切るという姿勢が効果を発揮し始めたと考えている。今回の業績にも3割くらい寄与している。
また私見だが、PC事業からの撤退も、社内のマインドセットを変えるということを考えると、大きな出来事だった。
もうひとつ付け加えると、社内でアカウンタビリティーという言い方をしており、これも挙げられるかもしれない。我々は常に「外」と接している。平井が強調する「感動」も、我々が感動するのではなく、お客様に感じて頂くもの。株主価値も同じで、価値は株主の方に感じていただくもの。外部の方にどう感じていただけるか、という考え方が次第に浸透してきているのではないか(吉田氏)
Q:平井社長が公言している4,000億円の営業利益計画についてどう考えているか。
A:CEOが言ったことなので、現時点でそれを変えるようなことはない(吉田氏)
Q:役員報酬について。スマホ事業では来年度以降も構造改革が進む。経営責任として、役員報酬の削減は昨年9月以降に行ったのか。また今後やる予定はあるか。
A:来年度の役員報酬についてはまだ方針は固まっていない。代表執行役、執行役はボーナスを返上している。さらに追加でなにかやっていくかは、これから報酬委員会で検討していくこと(神部氏)
Q:構造改革の進捗と今後の課題について。進捗はどうか。またモバイル以外で構造改革で課題と考えていることはあるか。ガバナンスについてもどうか。
A:構造改革の進捗は、販売会社も本社も、ともに順調。計画通り進捗している。モバイル以外に何かあるかということでいうと、これまでの構造改革は止血のための緊急策だったが、今後は経営の基本としてのコストダウンは粛々と行っていきたいと考えている。ガバナンスについては「いまやっていることを説明できるか」ということが重要だと考えている(吉田氏)
Q:モバイル事業について。スマホの販売台数見通しが3,920万台へ引き下げられているが、アジア太平洋地域での不振について具体的に教えて欲しい。
A:3,920万台ということで、前へ戻った形になる。昨年11月のIRデーでも言ったとおり、数を追わず収益を重視した結果だ。東南アジアでは価格競争が激しくなった。欧州では為替が動いたので、数を追うか収益性を重視するかの判断を迫られたが、後者を取ったのが主な理由だ(吉田氏)
Q:センサーについて。美容業界になぜ参入したのか、どういう見通しを持っているのか。またクルマなどそのほかの分野についても、どう開拓するか改めて教えて欲しい。
A:技術的な優位性をグローバルで確保している。最大の用途はモバイルだが、用途を広げるのは重大なチャレンジだ。医療も可能性として考えられる(吉田氏)
これまでは画像の画質を向上させることをやってきたが、アプリケーションを広げるうえで、センシング領域に可能性があるだろうと、BtoBへ進出することを決めた。ユニークで差異化できることをやっていこうということだ(神部氏)
Q:サイバー攻撃について。ソニーほどの企業が防ぐことができないのか。
A:CFOとして、確定値として決算をお伝えできなかったことには責任を感じている。この分野について完全な対策はない。継続してサイバーアタックについて対処していきたい(吉田氏)
Q:サイバー攻撃の再発防止、新たな対策について教えて欲しい。
A:大変大きな課題だと重く受け止めている。どれだけやっても完璧ということはない(吉田氏)
Q:モバイルについて。構造改革が長期化するリスクはあるか。
A:モバイルについてはプランニングをほぼ終えたところ。15年度内にすべてやり切るという計画だ。だがこの分野が環境が大きく変わっているので、もし大きく変わったら追加でなにかを考えないといけない。経営は時間軸で進めるものであり、その中で何をやるか、追い続けることが必要だ(吉田氏)
Q:モバイルの構造改革を15年度にやり切るということだが、そのことによって17年度の目標は達成できると考えているか。
A:17年度の目標をクリアする大前提として、いま発表している構造改革をやり切る必要がある。その上でなにか必要かということを考えると、環境が変わっているので、追加としてやる必要があればやる。もう一つは商品の部分。我々の強みであるイメージング技術をいかに盛り込んでいって、差異化できるかということもポイントになってくる(吉田氏)
Q:モバイル事業の人員削減について、地域の強弱はあるのか。
A:現在話を進めているところだ。国によって行政と話を行う必要もあり、具体的には、現段階ではご勘弁頂きたい(吉田氏)
Q:販路による商品数の絞り込みは行うか。
A:これはしっかりやっていく(吉田氏)
Q:モバイル事業で商品力強化という話があったが、格安スマホなど低価格帯モデルについて参入する考えはあるか。
A:MVNOについては、ソニーグループの企業であるソネットとソニーモバイルがセットで行うもので、一般的な格安スマホではない(神部氏)
第3四半期の売上高および営業収入は前年同期比6.1%増の2兆5,588億円で、営業利益は同比894億円増の1,783億円、四半期純利益は同比627億円増の890億円としている。
■3Qの好調ぶりを受け通期業績見通しを上方修正
同社ではこれらの結果を踏まえ、2014年度の通期業績見通しを昨年10月に発表した数値から上方修正。売上高および営業収入は、昨年10月度の見通し比2.6%増の8兆円、営業利益については、昨年10月時点では営業赤字を見込んでいたが、今回予想では一転して、200億円の営業黒字を見込む。当期純損益は昨年10月時点で2,300億円の赤字を見込んでいたが、これについても600億円改善する1,700億円の損失に修正した。
なお今回の公表数値が「見通し」とされているのは、既に発表されている通り、ソニーの連結子会社であるソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)が第三者からのサイバー攻撃を受けたことでネットワーク・ITシステムに障害が生じ、SPEにおける該当期間の決算業務を本日までに完了させられなかったため。なお同社では、サイバー攻撃が通期連結業績に当たる影響は軽微なものと見込んでいる。
上記のような理由から、連結および映画分野について、サイバー攻撃が業績に与える影響見込みを含めた現時点での「見通し」として情報開示された。なお、サイバー攻撃の影響を受けていない映画分野以外の各セグメント業績は、2014年度第3四半期の実績を開示している。正式な数値は2015年3月31日までに公表する予定とのこと。
売上高および営業収入の増収については、主に為替の好影響や、スマートフォンの販売台数が増加したモバイル・コミュニケーション分野の大幅増収、イメージセンサーが好調なデバイス分野の大幅増収、PS4が好調なゲーム&ネットワークサービス分野の大幅増収によるものと同社では分析。一方で、映画製作およびテレビ番組制作が減収となった映画分野の売上高は、大幅に減少する見込みとしている。
前年比894億円増と大幅増収した営業利益については、主にデバイス分野、ホームエンタテインメント&サウンド分野、ゲーム&ネットワークサービス分野、イメージング・プロダクツ&ソリューション分野の大幅な損益改善によるものとコメントしている。
■「テレビ事業の通期黒字化の確度は高まった」
セグメント別では、まず液晶テレビ事業が含まれるホームエンタテインメント&サウンド分野で、売上高が前年同期比2.3%増加の4,133億円、営業利益は同比189億円増の253億円となった。
オーディオ・ビデオは減収となった一方で、為替の好影響やテレビの大幅増収により分野全体で増収、コスト削減の影響で増益したという。
テレビ事業単体では、販売台数が増加したことによって売上高が前年比10.1%増の2,806億円、さらにコスト削減などによって、前年同期50億円の損失に対し今年は93億円の黒字を計上した。
テレビは特に北米と欧州が好調で、この理由について吉田氏は、「販売現場での積極的な活動が主な理由」と説明。武田氏が補足し、「特に北米では、もっとも重要なパートナーであるベストバイで、ショップフロントの改善を行った」のだという。さらに武田氏は、「テレビ事業全体として、分社化したことにより意識が高まり、固定費の削減も進んだ。また4Kの売上げが5倍になるなど、高付加価値製品へのシフトも進んでいる」と分析した。
この結果を受けて、吉田氏は「2014年度通期のテレビ事業の営業黒字の確度は高まった」とコメント。その上で吉田氏は直近の四半期ごとの営業損益のグラフを見せ、「昨年度は4Qに166億円の営業赤字を計上した。このため今年度も同程度の赤字が出る可能性があり、決して楽観視はしていない」と述べた。武田氏も「第4四半期はブレークポイントを超える売上げが出ないという構造的な問題がある。ドル高、ユーロ安など為替も動いているので、リスクをしっかりと読み込ませている。引き続き数は追わず、高付加価値化を進めてミックスの改善を行う。構造の改善にも取り組んで行く」と補足した。
なお、他の国内メーカーはテレビ事業のリストラを進めており、工場を削減する動きがある。ソニーとして工場を維持するのか、ファブレスになるかと記者から問われた吉田氏は、「ソニーもすでに製造拠点を削減し、マレーシア1カ所が主力工場となっている。そこで生産を続けるのがいまの考えだが、環境は変わるので、事業環境に応じて柔軟に対応していきたい」と答えた。
なお、分野全体に含まれる構造改革費用は製品カテゴリーには配賦されておらず、テレビの営業損益には含まれていない。
■モバイル分野では追加リストラを実施
モバイル・コミュニケーション分野は、スマートフォンの販売台数が増加したことや製品ミックスの改善、為替の好影響などにより、売上高が前年同期比28.7%増の4,290億円、営業損益が同比29億円増の93億円となった。
なお同分野では、2017年度には売上高9,000〜1兆1,000億円、営業利益率3〜5%規模を目指して取り組むとしており、2014年9月に発表した人員削減等による構造改革に加えて新たな構造改革の計画を策定している。これにより、2015年末までに合計で2,100人の人員削減を見込む。
これらを含むモバイル・コミュニケーション分野の構造改革費用としては、2014年度および2015年度合計で約300億円を見込んでおり、その他の費用合理化等を含めて2016年度以降の経費削減効果は2014年度比で年間900億円以上を想定しているとのこと。
■PS4の販売台数が予想を上回る
ゲーム&ネットワークサービス分野については、売上高は前年同期比16.8%増の5,315億円、営業利益は同122.8%増の276億円となった。PS4の販売台数、ネットワーク売上高がそれぞれ予想を上回った。また為替の好影響も寄与した。
この結果を受け、通期売上高についても900億円上方修正した。発表会では、PSNの会員数が6,400万人を超え、「サービス基盤が着実になった」と強調した。
■デジカメは販売台数大幅減も営業利益はほぼ倍増
デジタルカメラ事業を展開するイメージング・プロダクツ&ソリューション分野は、デジカメの販売台数は大幅に減少したものの、主に為替の好影響により、売上げは前年同期比1.5%増の2,010億円となった。また営業利益についても、販売費や一般管理費を削減したほか、為替の好影響もあり、前年同期比で90%増の230億円と、大幅な増益となった。
■イメージセンサーが好調、生産能力を増強
各分野別の業績で、好調ぶりが際立ったのがデバイス分野。特にイメージセンサーの好調ぶりが目立っている。売上高は2,929億円と前年同期比38.6%増、営業利益は545億円となった。外部顧客に対する売上高も前年同期比47.2%増となった。
ソニーではこのイメージセンサーをさらに強化すべく、積層型CMOSイメージセンサーの生産能力を増強。長崎、熊本、山形の3拠点に約1,050億円を投資し、総生産能力を2016年6月末には約8万枚/月に拡大させる。
またイメージセンサーの用途拡大も広げる。「技術的な優位性をグローバルで確保している。最大の用途はモバイルだが、用途を広げるのは重大なチャレンジだ。医療もある」(吉田CFO)。神部氏も「これまでは画像の画質を向上させることをやってきたが、アプリケーションを広げるうえで、センシング領域に可能性があるだろうと、BtoBへ進出することを決めた。ユニークで差異化できることをやっていこうということだ」と補足した。
なお同社は、2月18日に経営方針説明会を開催。平井CEOが今後3カ年の経営見通しを説明する予定だ。
以下、説明会で行われた質疑応答を紹介する。
Q:業績改善が顕著になっているが、どういう変化が社内に起こっていると考えているか。
A:一昨年の12月から平井が進めてきた、構造改革をやり切るという姿勢が効果を発揮し始めたと考えている。今回の業績にも3割くらい寄与している。
また私見だが、PC事業からの撤退も、社内のマインドセットを変えるということを考えると、大きな出来事だった。
もうひとつ付け加えると、社内でアカウンタビリティーという言い方をしており、これも挙げられるかもしれない。我々は常に「外」と接している。平井が強調する「感動」も、我々が感動するのではなく、お客様に感じて頂くもの。株主価値も同じで、価値は株主の方に感じていただくもの。外部の方にどう感じていただけるか、という考え方が次第に浸透してきているのではないか(吉田氏)
Q:平井社長が公言している4,000億円の営業利益計画についてどう考えているか。
A:CEOが言ったことなので、現時点でそれを変えるようなことはない(吉田氏)
Q:役員報酬について。スマホ事業では来年度以降も構造改革が進む。経営責任として、役員報酬の削減は昨年9月以降に行ったのか。また今後やる予定はあるか。
A:来年度の役員報酬についてはまだ方針は固まっていない。代表執行役、執行役はボーナスを返上している。さらに追加でなにかやっていくかは、これから報酬委員会で検討していくこと(神部氏)
Q:構造改革の進捗と今後の課題について。進捗はどうか。またモバイル以外で構造改革で課題と考えていることはあるか。ガバナンスについてもどうか。
A:構造改革の進捗は、販売会社も本社も、ともに順調。計画通り進捗している。モバイル以外に何かあるかということでいうと、これまでの構造改革は止血のための緊急策だったが、今後は経営の基本としてのコストダウンは粛々と行っていきたいと考えている。ガバナンスについては「いまやっていることを説明できるか」ということが重要だと考えている(吉田氏)
Q:モバイル事業について。スマホの販売台数見通しが3,920万台へ引き下げられているが、アジア太平洋地域での不振について具体的に教えて欲しい。
A:3,920万台ということで、前へ戻った形になる。昨年11月のIRデーでも言ったとおり、数を追わず収益を重視した結果だ。東南アジアでは価格競争が激しくなった。欧州では為替が動いたので、数を追うか収益性を重視するかの判断を迫られたが、後者を取ったのが主な理由だ(吉田氏)
Q:センサーについて。美容業界になぜ参入したのか、どういう見通しを持っているのか。またクルマなどそのほかの分野についても、どう開拓するか改めて教えて欲しい。
A:技術的な優位性をグローバルで確保している。最大の用途はモバイルだが、用途を広げるのは重大なチャレンジだ。医療も可能性として考えられる(吉田氏)
これまでは画像の画質を向上させることをやってきたが、アプリケーションを広げるうえで、センシング領域に可能性があるだろうと、BtoBへ進出することを決めた。ユニークで差異化できることをやっていこうということだ(神部氏)
Q:サイバー攻撃について。ソニーほどの企業が防ぐことができないのか。
A:CFOとして、確定値として決算をお伝えできなかったことには責任を感じている。この分野について完全な対策はない。継続してサイバーアタックについて対処していきたい(吉田氏)
Q:サイバー攻撃の再発防止、新たな対策について教えて欲しい。
A:大変大きな課題だと重く受け止めている。どれだけやっても完璧ということはない(吉田氏)
Q:モバイルについて。構造改革が長期化するリスクはあるか。
A:モバイルについてはプランニングをほぼ終えたところ。15年度内にすべてやり切るという計画だ。だがこの分野が環境が大きく変わっているので、もし大きく変わったら追加でなにかを考えないといけない。経営は時間軸で進めるものであり、その中で何をやるか、追い続けることが必要だ(吉田氏)
Q:モバイルの構造改革を15年度にやり切るということだが、そのことによって17年度の目標は達成できると考えているか。
A:17年度の目標をクリアする大前提として、いま発表している構造改革をやり切る必要がある。その上でなにか必要かということを考えると、環境が変わっているので、追加としてやる必要があればやる。もう一つは商品の部分。我々の強みであるイメージング技術をいかに盛り込んでいって、差異化できるかということもポイントになってくる(吉田氏)
Q:モバイル事業の人員削減について、地域の強弱はあるのか。
A:現在話を進めているところだ。国によって行政と話を行う必要もあり、具体的には、現段階ではご勘弁頂きたい(吉田氏)
Q:販路による商品数の絞り込みは行うか。
A:これはしっかりやっていく(吉田氏)
Q:モバイル事業で商品力強化という話があったが、格安スマホなど低価格帯モデルについて参入する考えはあるか。
A:MVNOについては、ソニーグループの企業であるソネットとソニーモバイルがセットで行うもので、一般的な格安スマホではない(神部氏)