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公開日 2015/02/12 15:05

ソニー、ランニングログと音楽再生が合体した耳かけ式デバイス「Smart B-Trainer」

音楽でトレーニングできる。ウォークマンの技術投入
ファイル・ウェブ編集部
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ソニーは、ランニングログデバイスに音楽再生機能を一体化した“スポーツウェア”「Smart B-Trainer(SSE-BTR1)」を3月7日に発売する。価格はオープンだが、27,000円前後での実売が予想される。カラーはブルー/ブラック/ピンク/ホワイトの4色をラインナップする。

Smart B-Trainer。耳に装着するタイプのランニング端末で、ソニーのウォークマンWシリーズのような形状をしているネックバンドタイプ

本機は、ランニング中に走ったコースを記録したり、脈拍数を計測したりできるランナー向けのスマートウェア。耳に装着するタイプでネックバンド型イヤホンの形状をしており、ハウジングにあたる部分にGPSセンサーや脈拍センサーを搭載する。さらに16GBのストレージも内蔵しており、そこに音楽ファイルを保存してランニング中に再生して聴くことができる。今年1月開催の「2015 International CES」で公開されていたモデルの国内投入が正式決定した格好だ(関連ニュース)。

カラーはブルー/ブラック/ピンク/ホワイトの4色

ランニングログの計測と音楽再生の両方を1つのデバイスで行えるという、オールインワンタイプのランニングデバイスであることが大きな特徴。ランニング中にコーチの音声アドバイスが流れたり、ランナーの脈拍数をもとに再生音楽を自動で切り替える「心拍トレーニング」などの連携機能も搭載しており、ソニーでは「1台で楽しく効率的なトレーニングをサポートする」とアピールしている。

本製品用にはiOS/Android向けの専用アプリ「Smart B-Trainer for Running」が用意されており、実際のランニングシーンではこのアプリと組み合わせて使用する。アプリ内には、ランナー各人に合わせた複数のトレーニングメニューが用意されている。

iOS/Android向けに専用アプリを用意。このアプリと組み合わせて使用する

アプリからは、走った距離と心拍数などのログを見やすいグラフで確認できる

■基本の使用方法

使用する際の基本手順としては、まずスマートフォンでアプリを起動し、Smart B-Trainer本体とBluetoothペアリングする。Bluetooth規格はver4.0で、NFCペアリングに対応している。次に、アプリ内に用意されたトレーニングメニューの中から自分の目的に合ったプランを選ぶと、そのプランがBluetooth経由でSmart B-Trainer本体に設定される。

あとは、Smart B-Trainerを耳に装着してランニングを開始する。全てSmart B-Trainer本体で動作するので、スマホを持って走る必要はない。ランニング中は、一定時間ごとに脈拍数やペースなどの情報を知らせてくれる。メニューによっては、アドバイスを音声で流してくれたり、脈拍数にあわせて音楽を自動で選んで再生したりしてくれる。なお、右側筐体の側面にある電源ボタンを押せば、任意のタイミングでリアルタイムの測定ログの音声アナウンスが聞ける。

右側筐体に備える電源ボタン(INFOボタン)を押せば、脈拍数などのリアルタイムログについて音声アナウンスが聞ける

ランニング終了後は計測したログをBluetooth経由でアプリに転送し、走ったコースや脈拍数の変移などのデータを確認することができる。

以下に、Smart B-Trainer本体とアプリ、それぞれの仕様詳細を見ていこう。

■「Smart B-Trainer」本体の仕様

Smart B-Trainer本体は、ソニーがウォークマン「Wシリーズ」で培った音楽再生技術を搭載しているとのことで、形状もWシリーズと近いものになっている。質量約43gの軽量性を確保し、ネックバンド部は柔らかい素材を使用したインサート成形とするなど、装着性の向上を図っている。

本体内側。各種センサーを搭載している

ハウジングにあたる部分に、脈拍センサー、GPSセンサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、電子コンパス、気圧センサーなどを搭載する。これらにより、脈拍計測をもとにした心拍数や、消費カロリー、走った距離や時間、スピード、ペース、ピッチ、歩数、ストライド、走行ルート、高度などの幅広いデータを取得する。なお、脈拍センサーは右側の筐体に備えており、ここで計測する脈拍数のデータをわかりやすく「心拍数」と表現してトレーニングメニューを用意している。

脈拍センサーは右側の筐体に装備。ここで脈拍計測して心拍数のログに反映させる

右側筐体に再生/一時停止ボタンを装備


こちらは左側筐体。STARTボタンや曲送り/戻しボタンを備える

Bluetoot接続ボタンも左側筐体に備えている
本体には16GBのストレージを内蔵しており、ここにランニング中の計測データを保持する形になる。ログ計測に必要な容量の目安は、大体30〜40分程度のランニングで1MBほどとのこと。なお、計測データはランニング終了後にスマホとBluetooth接続すると、自動でアプリ側に転送される。転送時間は1〜2分ほどで、その後は本体ストレージ内にはデータは残らない。Bluetooth接続したスマホを所持したままランニングした場合は、リアルタイムでスマホのアプリに計測データが移行する。

また、同ストレージに音楽ファイルを保存して、ランニング中に音楽再生することができる。音楽再生機能の詳細については後述する。そのほか、マイクも備えており、ランニング中に音声メモをとることもできる。

そのほか、筐体はIPX5/8相当の防水性能も備えており、水中で使用することも可能。なお、水中では各センサー機能は使用できないため、音楽再生のみ行う形となる。

付属イヤーピースは、通常のシリコンチップと防水用チップをそれぞれ4サイズずつ付属している。そのほか、充電用のクレードルも同梱している。

左の黒い方が防水仕様の特別なチップ。右の白い方が普通のシリコンチップ


専用キャリングケース(左)や、バンド分の長さを調節できるアクセサリー(右)なども同梱する
■音楽再生機能 − 再生音楽で心拍をコントロールする「心拍トレーニング」

上述の通り、本体内のストレージに音楽ファイルを保存して、走りながら再生して楽しむことができる。予め30種類の音楽ファイルをプリインストールするほか、ユーザーが手持ちの音楽ファイルを転送することも可能。本体への音楽転送は、ウォークマンのようにPCと本体をUSB接続して、Media Goなどの転送ソフトを使用することで行える。SDカードなど外部記録メディアの挿入は行えない。

対応する音楽ファイルフォーマットは、MP3/WMA/ATRAC/リニアPCM/ACC。ハイレゾ再生には非対応。イヤホン出力部の周波数特性は20Hz〜20kHzで、高音質化技術「9mm EXヘッドホン」も採用している。

なお、内蔵ストレージに保存した楽曲ファイルのほか、Bluetooth接続したスマホやポータブルDAPなどの音楽も再生できる。対応プロファイルはA2DP/AVRCP/HFP/HSP/SPP、再生コーデックはSBC/AACをサポートする。マルチペアリングには非対応。

ただ、内蔵ストレージとスマホ内の楽曲ファイルそれぞれを混在させて順番に再生することは不可能で、1回のランニングメニューにつき内蔵ストレージまたはBluetooth接続したスマホ、どちらか片方のデバイスからの音楽再生になる。

再生モードは、「トレーニングモード」と「ミュージックモード」の2種類を用意している。大きな特徴は「トレーニングモード」で、心拍数にあわせて再生音楽を自動で切り替える「心拍トレーニング」が行える。これは、テンポの早い楽曲を聴くと自然に走るスピードが上がり、結果として心拍が追い付いていくという人間の習性を利用したもの。これによってランナーの走るスピードをコントロールし、ランニング中の心拍数を適度に調整する。「心拍に合う音楽を再生する」のではなく「再生する音楽を変えることで心拍をコントロールする」のがポイントとなる。

例えば、選択したトレーニングメニューに対してランナーの心拍数が遅い場合は、もう少しピッチを上げるためにテンポの早い曲に切り替えてランニングのスピードを上げる。逆に、心拍数が早い場合はテンポの遅い曲に切り替えることで、走るスピードを下げて心拍を落ち着ける。「走る速度に適したテンポの楽曲が1つも無い」ということにならないよう、30曲をプリインストールしているとのことで、ソニーでは「音楽をたくさん入れてランニングを楽しんでほしい」と訴求している。なお、もしプリイン曲も含めて全ての楽曲データを本体から削除した状態でトレーニングモードでランニングした場合は、ピッチに合わせた手拍子音が鳴るとのこと。

楽曲のテンポ速度については、ソニーの12音解析によって抽出する。なお、手持ちの楽曲を転送するときにMedia Goを使用した場合は、予めMedia Go側で12音解析した状態のデータを転送する形になるので、本体の負荷を低減できることもあり、ソニーとしては転送ソフトにMedia Goの使用を推奨している。

もうひとつの「ミュージックモード」は、心拍数と連動せず普通に音楽再生を行うモード。音楽フォルダを順番に再生していくノーマルモードと、シャッフル再生するシャッフルモードがある。本体側面に備えたボタンで曲送りなどの操作が行える。

なお、本機はウォークマンで培った音声技術を投入してはいるが、製品自体は“WALKMAN”ブランドのものではない。ソニーの製品カテゴリーの中でも“スマートスポーツギア”という新しいジャンルの製品として取り扱われる。なおランニングをしないときは、本機を普通のBluetoothイヤホンとして使用できる。

■バッテリー駆動時間

本体にはリチウムイオン電池を内蔵しており、充電時間は約1.5時間。電池持続時間は使用シーンによって以下の通り異なる。

充電用のクレードル

クレードルに本体を接続したところ。これでUSB充電およびPCからの音楽転送が行える

トレーニングメニューの動作中はGPSオン時:約3時間(Bluetoothオン)/約4.5時間(Bluetoothオフ)、GPSオン(スタミナモード)時:約3.5時間(Bluetoothオン)/約5.5時間(Bluetoothオフ)、GPSオフ時:約4時間(Bluetoothオン)/約6時間(Bluetoothオフ)。

音楽再生のみの場合はGPSオン時:約3.5時間(Bluetoothオン)/約5時間(Bluetoothオフ)、GPSオフ時:約6時間(Bluetoothオン)/約13.5時間(Bluetoothオフ)。

■専用アプリ「Smart B-Trainer for Running」と組み合わせて使う

上述の通り、Smart B-Trainerは、ランニングメニューなどの設定を専用アプリ Smart B-Trainer for Runningから行う。本アプリの対応デバイスは、iOS 7以降を搭載するiPhone、Android 4.1以降を搭載するカメラ搭載スマートフォン。タブレット最適化は行っていないため、iOS/Android版ともスマホでの動作しか確認されていない。

アプリにはユーザー各人の目的にあわせたランニングメニューを用意しており、「ベーシックメニュー」と「プレミアムトレーニングメニュー」の大きく2種類を用意している。

アプリのトレーニングメニュー

走る時間の設定などが行える

「ベーシックメニュー」は、ランニング時間や距離などの目標値を手動で設定することが可能。また「効率的に脂肪燃焼」「持久力アップ」など、上述の心拍数を活用したトレーニングが行える内容を揃えている。なおメニューの設定にあたっては、自分の脈拍を普通に手首で計測して、その数字を手動で入力する必要がある。

「プレミアムトレーニングメニュー」は、ナイキのランニングアドバイザーである金哲彦氏が監修したメニューで、目的とする走力別のメニューに沿って段階的なトレーニングが行える。「リアルタイム音声フィードバック」機能に対応しており、ランニング中に金氏の肉声による音声アドバイスが聞ける。また、アシックスが開発したランニングトレーニングプログラム「MY ASICS」と連携できる機能も今春に提供開始予定としている。

プレミアムトレーニングメニュー。ナイキのランニングアドバイザーである金哲彦氏が監修したプランで走ることができる

ランニング後には、アプリ内にログが追加される。「履歴」を見ると、これまでのランニングの累積記録が表示され、データの概要、変化グラフ、ラップタイム、再生した楽曲リストなどを確認できる。どの場所でどの楽曲が再生されたかなどもわかるようになっている。「プレミアムトレーニングメニュー」の場合、アプリのログをみると金氏のポイントアドバイスも見られる。

ランニングログの履歴。日付別に走った距離が表示される

履歴一覧から該当するログデータを選択すると、ログの概要が確認できる


1kmごとのタイムを表示

走った場所ごとに再生された音楽が表示できる
なお、Smart B-Trainer本体がなくても、本アプリ単体で使用することも可能。その場合、脈拍は計測できないなど、使用できる機能が限定される。単純な距離案内機能などは使用できるが、センサーと連携する機能は非対応で、「プレミアムトレーニングメニュー」は使用不可能。3月7日の提供開始時点では、Android版のみアプリ単体での使用に対応し、iOS版は単体使用には対応しないとのこと。

■Smart B-Trainer国内投入の狙い − ランニング新規需要開拓

ソニーは本日、このSmart B-Trainerに関する製品発表会を開催した。発表会では、ソニーマーケティング(株)プロダクツマーケティング モバイルエンタテインメントプロダクツマーケティング部 植松孝文氏が登壇し、Smart B-Trainer国内投入の狙いについて語った。

Smart B-Trainerを手にする植松氏

発表会では、実際にSmart B-Trainerを装着して走るデモも

植松氏はまず、国内のランニング人口の推計を説明。2008〜2013年の5年間で、国内ランニング人口は300万人台から600万人台へ約2倍に増加しているという。内訳をみると、ランニング歴1年以下のランナーが20%程度を占める市場とのこと。

国内のランニング人口は2008年から成長が続いている

さらにランニングをする目的を調査したところ、「健康維持のため」「体力をつけるため」「ダイエットのため」という3つの大きな要素があり、「気分転換」「目標達成」といったライトな楽しみ方もあることがわかったという。

多くの人がランニングを行う目的は「健康維持のため」「体力をつけるため」「ダイエットのため」など

植松氏は「ソニーが培ってきたオーディオの技術と、最新のセンシングやソフトウェアの技術を融合させることにより、ランニングシーンに新しい体験を提供していく」と、Smart B-Trainer投入の背景を説明。このように伸長しているランニングデバイス市場に向け、既に顕在化しているニーズに対して「ランニング中に音楽を楽しむ」「ランニングログの取得」といった効果的な機能によるアプローチを行っていく。

ソニーでは、ランニング市場における既存ニーズへの対応はもちろん、新しい価値提案によって新規需要の開拓も狙う

さらに、ランニングデバイスとしての新しい価値を提供することで、大きく2つの新規需要の開拓も狙う。1つは、“トレーニングをどうやって行うか課題を持っている層”で、ここに対しては「目的に応じたトレーニングプランの提供」「ランニングコーチのアドバイス」といったSmart B-Trainerのサポート機能で対応。もう1つは、“より効率的に楽しくランニングを行う顧客の創造”を目指しており、上述の「心拍トレーニング」など音楽を絡めた楽しめる機能を提供することでアピールする。

特にこの「心拍トレーニング」に関しては「ソニーのオーディオ技術を活かした機能であり、他社製品には無い独自のものだと思うので、積極的に訴求していきたい」と語った。

なお、スマートウォッチなどソニーの他機器やサービスとの連携についても、現時点では具体的な予定はないが、積極的に検討していくとしている。サービスの拡大も図っていくとのことで、有料のランニングプランの販売なども構想中とのこと。

なお、植松氏自身もSmart B-Trainerを使って週に3回ランニングをしているとのことで「目標は12kg減なのですが、いま8kg減まできました。Smart B-Trainerの発売日である3月7日までには、あと4kg痩せられるように頑張りたいと思っています」と会場の笑いを誘った。

会場では、実際にルームランナーを使用したデモンストレーションも実施された。Smart B-Trainerを装着してルームランナーを走ったモデルの女性は「音楽にあわせて走ることができるので、とても走りやすいです」とコメントしていた。

ルームランナーを使用したデモンストレーションを実施

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製品スペックを見る
  • ジャンルその他
  • ブランドSONY
  • 型番SSE-BTR1
  • 発売日2015年3月7日
  • 価格¥OPEN(予想実売価格27,000円前後)
【SPEC】●メモリー容量:16GB ●再生可能ファイル:MP3,WMA,ATRAC,リニアPCM,AAC ●周波数特性:20〜20,000Hz ●充電時間:約1.5時間 ●連続駆動時間:トレーニングメニュー動作中…最大 約6時間、音楽再生のみ…最大 約13.5時間
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