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公開日 2015/10/15 18:53
V-Lowマルチメディア放送、『i-dio』として'16年3月開始。ハイレゾやDTS Headphone:Xでの放送も
チューナー内蔵のSIMフリースマホも登場
地上アナログ放送停波で空いた周波数帯域を使って行われる「V-lowマルチメディア放送」が、2016年3月から「i-dio(アイディオ)」という名称でサービスインすることが発表された。それに先行し、2015年内には同サービス対応のSIMフリースマートフォン「i-dio Phone」が発売される。
■福岡/大阪/東京のからサービスインしエリアを順次拡大
本件は、V-Low マルチメディア放送の事業全般を推進するホールディング会社であるBIC(株)、ハード事業者となる(株)VIP、関東・甲信越広域圏のソフト事業者となる東京マルチメディア放送(株)のBICグループ3社が発表したもの。
「i-dio」という名称は、「放送メディアが持つ、普遍的なidentity」「通信メディアが持つ、革新的なidea」の二つの要素を併せ持った通信と放送の融合メディアであるということにちなんでのもの。「これからの未来に“ちょうどいい”新時代のコミュニケーション・プラットフォーム」としてのアイデンティティを込めたという。
マルチメディア放送は周波数帯域によって、主に地域向けラジオ放送を想定した「V-Lowマルチメディア放送」と、全国向けテレビ放送を想定した「V-Highマルチメディア放送」に分けられる。後者の“V-High”がすでにサービスインしている「NOTTV」で、今回の「i-dio」は前者の“V-Low”でのサービスとなる。
まずは2016年3月より、福岡、大阪、東京の3都市でサービスイン。2016年度上期に名古屋・静岡・広島・兵庫・福島でサービスを開始し、2016年度下期には関東・九州へ放送エリアの拡大を予定している。2019年度には世帯カバー率78.3%を目指すとしている。
対応端末として、i-dioのほか、地上デジタルテレビ、FMラジオにも対応した3波対応のAndroid SIMフリースマートフォン「i-dio Phone」(コヴィア製)が年内に登場する予定。
またi-dioの放送波をWi-Fiに変換することで、従来のスマホでもi-dioを受信することができるWi-Fiチューナーを放送開始にあわせて配布予定。加えて、災害情報発信システム「V-Alert」を導入する自治体向けには、加賀ハイテックが発売する防災ラジオ「MeoSound VL1」を提供する。さらに、スマホに直接接続するタイプのi-dioチューナーユニット、i-dio対応のカーナビゲーションシステム、機器埋め込み型のi-dio受信モジュールも、各社により開発が進行中だという。
■現時点で2社がコンテンツ参画表明。ハイレゾやDTS Headphone:Xでの放送も
放送設備を用意するハード事業者と、コンテンツを用意するソフト事業者が分離した制度整備がなされていることも特徴で、上記の(株)VIPがハード事業を担当。その放送設備を借り受けて基幹放送業務を行うソフト事業者が全国7ブロックの各地域ごとに6社存在し、東京マルチメディア放送はそのうちのひとつ。
そして、そのソフト事業者には様々な企業・団体が“コンテンツ・プロバイダー”としてコンテンツを提供可能。こうした制度設計により、様々な企業が本サービスに参画しやすいようにした。「これまで新規参入のハードルの高かった放送分野における、オープンイノベーション・プラットフォームを目指す」としている。
そのコンテンツ・プロバイダーには、現時点で「アマネク・テレマティクスデザイン」と「TOKYO SMARTCAST」の2社が参入を表明。
特に、TOKYO SMARTCASTでは“地上波最高音質”を実現するとしており、AAC形式/320kbpsで放送を行うほか、2017年にはハイレゾ級音質である96kHz音源にも対応予定。さらに、デジタル放送として国内初の「DTS Headphone:X」技術を組み合わせ、高品質な放送を提供するという。
TOKYO SMARTCASTは、メインとなる「TS ONE」チャンネルに加えて企業やブランドのオリジナルchも用意して放送を行う予定。IoTセキュリティデータ、防災情報など、放送を活用してデータを機器に送るデータキャスト型でのビジネスモデルも検討しており、例えば放送波を通じてゲームアプリを配信するようなことも考えられるという。
「TS ONE」チャンネルでは、新人アーティスト発掘&応援番組「NEXTONE」、国内外の一流レコメンダーによる独自の選曲・プレイリストを発信する音楽番組「PREMIUM ONE」、世界中の音楽・ファッション・アート・ニュース・カルチャーを発信する「Rockwell Sirkus」などといった番組を放送予定。
加えて、例えば「夏フェス特集」といったような特集記事や、音楽のプレイリスト、ニュースや天気などの情報も放送とともに配信。エリア/ターゲット別にクーポンを配信したり、視聴するとポイントが貯まる制度の導入も検討しているという。「インタラクティブな展開をワンデバイスで可能にする」としており、放送中に配信された情報やクーポンから外部サービスに遷移して商品を購入したりといったことも想定している。
一方のアマネク・テレマティクスデザインは、「ドライバー・クルマに向けて、音声とデータを融合した新たなテレマティクスサービスを提供」すると説明。走行している場所の15分先の気象リスクを伝える放送や、商業施設のトピックやイベント情報を、近づくクルマに事前にしらせるサービスなどを展開予定だという。
■写真やテキストデータも放送波で配信。防災情報配信にも活用
V-Lowマルチメディア放送では、映像や音声データに限らず、静止画やテキストデータなど通信(いわゆるインターネット)で利用されているような様々なデジタルデータを、放送波を使って伝送可能。スマホやカーナビなどの端末を利用して移動しながらでも情報を入手できる「携帯性・移動性」、放送波を使うため輻輳なく不特定多数に情報を提供できる「一斉同放性」、映像、音響、データ等の様々な情
報を柔軟に組み合わられる「通信的=IP データキャスト(IPDC)」という3点が大きな特徴だ。
これまであった「“放送のコンテンツ”を“通信”の伝送路で配信する」ものとは反対に、「“通信に流れるあらゆるデータ”を“放送波を使って”ブロードキャストする」技術により、チューナーを内蔵したあらゆる事物が放送と繋がり、リアルタイム(繋ぎっぱなし)で、輻輳無く、プッシュ(送りたいものを)で、誰でも(ITリテラシー不要)情報を享受できる世界を実現する、としている。
そのため、従来のラジオのようなサービスだけでなく、上記のアマネク・テレマティクスデザインによるサービスも提供することが可能。例えば移動するユーザーに合わせて近隣の商業施設の割引クーポンを配信したり、店頭のデジタルサイネージの内容を変更するなどといったことを放送波を利用して行うこともできる。
また、i-dioでは、防災情報配信システム「V-Alert」も提供。従来のFM放送での一斉送信性、停電や通信システムダウン時にも情報発信が可能といった利点に加え、文字その他データの一斉配信、エリアコードによる局所的な情報の複数同時並行での配信、といったデジタルならではのメリットも活かして防災情報を発信していくという。
そして、J-Alert、L-Alert(公共情報コモンズ)や自治体システムと接続することで、自治体や公共機関からの緊急情報を瞬時に遅延なく一斉配信。i-dioにより配信された情報は、屋内の防災ラジオ、スマートフォン、タブレットや、車内のカーナビ等によって受信され、「これまでの防災行政無線などでは情報が届きにくかった家のなかや車のなかにも、より確実に緊急情報を伝達する」としている。
■「真の意味で放送と通信を融合させた世界で初めての挑戦」
BICとエフエム東京の代表取締役社長を兼任する千代勝美氏は、「放送と通信の融合は、通信事業者が放送コンテンツを配信する、または放送事業者が通信のインフラを使うといったことにとどまっている。しかし我々はまったく逆で。放送の伝送路に通信のプロトコルを乗せ、両者の境界を技術的になくすことができる」とコメント。「真の意味で放送と通信を融合させて革新的なビジネスモデルを構築できる、世界で初めての挑戦だ」と述べる。
そして、従来のテレビやラジオよりも多くの事業者が参入しやすい点に触れ、「あらゆる機器に容易にV-Lowマルチメディア放送を組み込めるエコシステムを構築していく」とした。
発表会でサービス概要の説明にあたった、BIC常務取締役で東京マルチメディア放送 代表取締役の藤 勝之(とう かつゆき)氏は、i-dio Wi-Fiチューナーについて「2年前のCEATECにおいて『たくさんつくって無料配布キャンペーンをやる』と話していたものだ」と説明。現在は10万台の製造に入っているとのことで、3月に合わせてモニターキャンペーンを行っていくと述べた。
なお、ユーザーは対応端末さえ持っていれば基本的に無料でi-dioを利用できるとコメント。「(i-dioから外部サービスに遷移してからの)コンテンツを買うなどのきっかけとなるもの。そういうビジネスをしたい方々にコンテンツプロバイダーになってもらいたいとも思っている」と続けた。
また、ユーザー数をどのように拡大していくかについては、「現在、無料のシティーWi-Fiが広がっている。そこでの再送信からエクスペリエンスが広がっていくことになるのではないか」とした。
■福岡/大阪/東京のからサービスインしエリアを順次拡大
本件は、V-Low マルチメディア放送の事業全般を推進するホールディング会社であるBIC(株)、ハード事業者となる(株)VIP、関東・甲信越広域圏のソフト事業者となる東京マルチメディア放送(株)のBICグループ3社が発表したもの。
「i-dio」という名称は、「放送メディアが持つ、普遍的なidentity」「通信メディアが持つ、革新的なidea」の二つの要素を併せ持った通信と放送の融合メディアであるということにちなんでのもの。「これからの未来に“ちょうどいい”新時代のコミュニケーション・プラットフォーム」としてのアイデンティティを込めたという。
マルチメディア放送は周波数帯域によって、主に地域向けラジオ放送を想定した「V-Lowマルチメディア放送」と、全国向けテレビ放送を想定した「V-Highマルチメディア放送」に分けられる。後者の“V-High”がすでにサービスインしている「NOTTV」で、今回の「i-dio」は前者の“V-Low”でのサービスとなる。
まずは2016年3月より、福岡、大阪、東京の3都市でサービスイン。2016年度上期に名古屋・静岡・広島・兵庫・福島でサービスを開始し、2016年度下期には関東・九州へ放送エリアの拡大を予定している。2019年度には世帯カバー率78.3%を目指すとしている。
対応端末として、i-dioのほか、地上デジタルテレビ、FMラジオにも対応した3波対応のAndroid SIMフリースマートフォン「i-dio Phone」(コヴィア製)が年内に登場する予定。
またi-dioの放送波をWi-Fiに変換することで、従来のスマホでもi-dioを受信することができるWi-Fiチューナーを放送開始にあわせて配布予定。加えて、災害情報発信システム「V-Alert」を導入する自治体向けには、加賀ハイテックが発売する防災ラジオ「MeoSound VL1」を提供する。さらに、スマホに直接接続するタイプのi-dioチューナーユニット、i-dio対応のカーナビゲーションシステム、機器埋め込み型のi-dio受信モジュールも、各社により開発が進行中だという。
■現時点で2社がコンテンツ参画表明。ハイレゾやDTS Headphone:Xでの放送も
放送設備を用意するハード事業者と、コンテンツを用意するソフト事業者が分離した制度整備がなされていることも特徴で、上記の(株)VIPがハード事業を担当。その放送設備を借り受けて基幹放送業務を行うソフト事業者が全国7ブロックの各地域ごとに6社存在し、東京マルチメディア放送はそのうちのひとつ。
そして、そのソフト事業者には様々な企業・団体が“コンテンツ・プロバイダー”としてコンテンツを提供可能。こうした制度設計により、様々な企業が本サービスに参画しやすいようにした。「これまで新規参入のハードルの高かった放送分野における、オープンイノベーション・プラットフォームを目指す」としている。
そのコンテンツ・プロバイダーには、現時点で「アマネク・テレマティクスデザイン」と「TOKYO SMARTCAST」の2社が参入を表明。
特に、TOKYO SMARTCASTでは“地上波最高音質”を実現するとしており、AAC形式/320kbpsで放送を行うほか、2017年にはハイレゾ級音質である96kHz音源にも対応予定。さらに、デジタル放送として国内初の「DTS Headphone:X」技術を組み合わせ、高品質な放送を提供するという。
TOKYO SMARTCASTは、メインとなる「TS ONE」チャンネルに加えて企業やブランドのオリジナルchも用意して放送を行う予定。IoTセキュリティデータ、防災情報など、放送を活用してデータを機器に送るデータキャスト型でのビジネスモデルも検討しており、例えば放送波を通じてゲームアプリを配信するようなことも考えられるという。
「TS ONE」チャンネルでは、新人アーティスト発掘&応援番組「NEXTONE」、国内外の一流レコメンダーによる独自の選曲・プレイリストを発信する音楽番組「PREMIUM ONE」、世界中の音楽・ファッション・アート・ニュース・カルチャーを発信する「Rockwell Sirkus」などといった番組を放送予定。
加えて、例えば「夏フェス特集」といったような特集記事や、音楽のプレイリスト、ニュースや天気などの情報も放送とともに配信。エリア/ターゲット別にクーポンを配信したり、視聴するとポイントが貯まる制度の導入も検討しているという。「インタラクティブな展開をワンデバイスで可能にする」としており、放送中に配信された情報やクーポンから外部サービスに遷移して商品を購入したりといったことも想定している。
一方のアマネク・テレマティクスデザインは、「ドライバー・クルマに向けて、音声とデータを融合した新たなテレマティクスサービスを提供」すると説明。走行している場所の15分先の気象リスクを伝える放送や、商業施設のトピックやイベント情報を、近づくクルマに事前にしらせるサービスなどを展開予定だという。
■写真やテキストデータも放送波で配信。防災情報配信にも活用
V-Lowマルチメディア放送では、映像や音声データに限らず、静止画やテキストデータなど通信(いわゆるインターネット)で利用されているような様々なデジタルデータを、放送波を使って伝送可能。スマホやカーナビなどの端末を利用して移動しながらでも情報を入手できる「携帯性・移動性」、放送波を使うため輻輳なく不特定多数に情報を提供できる「一斉同放性」、映像、音響、データ等の様々な情
報を柔軟に組み合わられる「通信的=IP データキャスト(IPDC)」という3点が大きな特徴だ。
これまであった「“放送のコンテンツ”を“通信”の伝送路で配信する」ものとは反対に、「“通信に流れるあらゆるデータ”を“放送波を使って”ブロードキャストする」技術により、チューナーを内蔵したあらゆる事物が放送と繋がり、リアルタイム(繋ぎっぱなし)で、輻輳無く、プッシュ(送りたいものを)で、誰でも(ITリテラシー不要)情報を享受できる世界を実現する、としている。
そのため、従来のラジオのようなサービスだけでなく、上記のアマネク・テレマティクスデザインによるサービスも提供することが可能。例えば移動するユーザーに合わせて近隣の商業施設の割引クーポンを配信したり、店頭のデジタルサイネージの内容を変更するなどといったことを放送波を利用して行うこともできる。
また、i-dioでは、防災情報配信システム「V-Alert」も提供。従来のFM放送での一斉送信性、停電や通信システムダウン時にも情報発信が可能といった利点に加え、文字その他データの一斉配信、エリアコードによる局所的な情報の複数同時並行での配信、といったデジタルならではのメリットも活かして防災情報を発信していくという。
そして、J-Alert、L-Alert(公共情報コモンズ)や自治体システムと接続することで、自治体や公共機関からの緊急情報を瞬時に遅延なく一斉配信。i-dioにより配信された情報は、屋内の防災ラジオ、スマートフォン、タブレットや、車内のカーナビ等によって受信され、「これまでの防災行政無線などでは情報が届きにくかった家のなかや車のなかにも、より確実に緊急情報を伝達する」としている。
■「真の意味で放送と通信を融合させた世界で初めての挑戦」
BICとエフエム東京の代表取締役社長を兼任する千代勝美氏は、「放送と通信の融合は、通信事業者が放送コンテンツを配信する、または放送事業者が通信のインフラを使うといったことにとどまっている。しかし我々はまったく逆で。放送の伝送路に通信のプロトコルを乗せ、両者の境界を技術的になくすことができる」とコメント。「真の意味で放送と通信を融合させて革新的なビジネスモデルを構築できる、世界で初めての挑戦だ」と述べる。
そして、従来のテレビやラジオよりも多くの事業者が参入しやすい点に触れ、「あらゆる機器に容易にV-Lowマルチメディア放送を組み込めるエコシステムを構築していく」とした。
発表会でサービス概要の説明にあたった、BIC常務取締役で東京マルチメディア放送 代表取締役の藤 勝之(とう かつゆき)氏は、i-dio Wi-Fiチューナーについて「2年前のCEATECにおいて『たくさんつくって無料配布キャンペーンをやる』と話していたものだ」と説明。現在は10万台の製造に入っているとのことで、3月に合わせてモニターキャンペーンを行っていくと述べた。
なお、ユーザーは対応端末さえ持っていれば基本的に無料でi-dioを利用できるとコメント。「(i-dioから外部サービスに遷移してからの)コンテンツを買うなどのきっかけとなるもの。そういうビジネスをしたい方々にコンテンツプロバイダーになってもらいたいとも思っている」と続けた。
また、ユーザー数をどのように拡大していくかについては、「現在、無料のシティーWi-Fiが広がっている。そこでの再送信からエクスペリエンスが広がっていくことになるのではないか」とした。