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公開日 2022/11/22 10:47

ハイセンスジャパン、日本基準のハイレベルな品質とサービスにSマークが後ろ盾

テレビは国内シェア5位(海外メーカー1位)に、冷蔵庫・洗濯機・エアコンも躍進
PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
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■未知の日本市場で飛躍への糸口を掴んだ「Sマーク」



2021年に売上げ3兆円を突破した世界的家電メーカー「ハイセンス」。日本法人として2010年11月4日に設立されたのがハイセンスジャパン。翌2011年5月のテレビ販売を皮切りに、冷蔵庫、洗濯機、エアコンの白物家電市場へも順次参入。テレビでは今日、市場シェア2桁を獲得、白物家電も大きな成長を見せている。

写真左から、ハイセンスジャパン株式会社 商品管理部商品企画G テレビ担当・周子祺氏、商品管理部商品企画G エアコン担当・本堂仁彦氏、マーケティング部 広報・家倉宏太郎氏

しかし、日本市場進出にあたっては、外資系メーカーとしての苦労も少なくなかったという。当時、日本ではまだ名の知れない「Hisense」というブランドに対し、消費者からいかに信頼を得るのか。品質やサービスに対する啓発はもちろんのこと、日本市場で商売をするからには、電気用品安全法(電安法)に基づく日本のルールもきちんと守っていかなければならない。

同社商品管理部商品企画G テレビ担当・周子祺氏は「日本市場への参入当時は、電安法で表示が求められるPSEマークへの対応そのものが、外資系メーカーである私たちにとっては非常に難儀でした。法律には各国の事情が反映されており、ハードウェアやソフトウェアの調整が必要となります。そのバランスが非常に難しい」とコメント。「法律とともに成長してきた日本メーカーとは異なり、外資系メーカーにとっては法律そのものが高い壁となって立ちはだかりました。Sマーク認証があることで課題が明確になりました」と振り返る。

2011年にテレビで日本市場へ参入。現在は市場シェア2桁を獲得する。写真はMiniLED 4K液晶テレビ「U9Hシリーズ」

倍速高画質4K液晶テレビ「U7Hシリーズ」

日本の電安法やPSEマークは世界的にも最もわかりづらい法律とも言われている。国際基準のルールは十分に理解してモノづくりを行ってきて、欧州では何ら問題がないのに日本では何故ダメなのか。理解に苦しむことも少なくなかったに違いない。

そうした状況を打開する大きな後ろ盾となったのが、2015年より取得を開始したSマーク認証だった。「テレビの品質が日本基準に十分に適っていることを、第三者の目からきちんと証明することができるのです。安心・安全な製品ですよと、消費者に対して自信を持ってアピールすることが可能になりました」と振り返る。とりわけテレビはSマーク取得率が高い商品カテゴリーだけに、同じ土俵の上で日本のナショナルブランドに伍して勝負をするには必須の条件でもあった。

一方、エアコンのSマーク取得率は低く、大手エアコンメーカーでも取得していないこともある。Sマーク取得により海外ブランドでも日本市場に安全な製品を提供することをアピールすることができている。

テレビでSマークの取得を2015年よりスタート

順次参入する白物家電の各商品カテゴリーでもSマークを取得する

Sマーク認証取得の持つ意義はそれだけではない。同社商品管理部商品企画G エアコン担当・本堂仁彦氏は「日本の基準を十分に理解していく上で、Sマーク認証を取得することにより、認証機関の一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)さんからは、日本市場における安全な製品づくりや品質の向上を目指す上で欠かせない日本の規格の最新動向や日本規格と国際規格の差異等の情報をいただくことができるので本当に助かっています」と話す。経済産業省による試買テストや立ち入り検査に対しても、不適合を未然に防ぐことが可能となる。

■他に例を見ない「3年間保証」を2015年にスタート



Sマーク認証の取得を開始した2015年、ハイセンスジャパンでは他に例を見ないテレビの「3年保証」を8月1日にスタートしている。

Sマーク取得と軌を一にしてテレビで3年保証がスタートした

従来のメーカー無償修理保証は1年間だが、海外ブランドのアフターサービスに対して消費者が抱く不安の声を払拭するべく、安心して購入できる“3年間”のメーカー無償修理保証を提供したのだ。日本市場での販売開始から約4年にわたる返品データや修理データを分析した結果、3年間の無償保証を実施できると判断。無論、同社製品の高い品質レベルがあればこそ実現できた施策であったことは言うまでもない。

同社マーケティング部 広報・家倉宏太郎氏は「開始当初こそ、いろいろと揶揄する声も聞かれましたが、今は多くの方にご好評をいただき、購入の決め手になったという声もたくさんいただいています。ただ、そこに甘えることなく、品質もブランド認知もさらに高めていきます」と気を引き締める。

ハイセンスジャパンは品質保証部を立ち上げた。トップは李文麗社長が兼任しており、製品に改善ポイントが見つかれば、中国・本社に対しても物申して前に進めていくことができる。品質・安全・サービスに対するハイセンスジャパンの強い姿勢を象徴する存在とも言えるだろう。

テレビに次いで2013年に冷蔵庫市場へ参入。サイズやグレードも徐々に拡大する。写真は主力の358Lタイプの冷凍冷蔵庫「HR-G3601W」

2016年に参入した洗濯機市場もラインナップを順次拡充。写真は主力の10kgタイプの全自動洗濯機「HW-DG10A」

本堂氏は「ハイセンスという会社は品質には並々ならぬ力を注いでいます。とりわけ日本市場に対しては特別な意識を持って臨んでおり、例え世界で通用するからと言って、必ずしも日本で通用するとは限らないとの考え方が首尾一貫しています」と説明する。2017年5月には第一サービスセンター、2020年5月に第二サービスセンター、2021年6月に関西サービスセンターを設立するなどサービス体制も充実。サービスネットワークは現在、全国93拠点にまで拡充する。

2019年には冷蔵庫、洗濯機に続きエアコン市場に参入。写真はルームエアコンの主力モデル「Gシリーズ」

2018年には東芝映像ソリューションを傘下に収めた。周氏は「一番大きかったのは、これも非常に難しいテーマとなっていた日本の放送規格への対応です。さらに、日本のモノづくりへの考え方がグループに浸透し、品質の改良や製造過程の見直しについてのノウハウも吸収できました。現在は日本基準画質を持つ唯一の海外メーカーです」と大きな影響をもたらした。詳細なマニュアルに基づき、細かい手順で進める工程も身につけ、生産の品質の波も抑えることができたと語る。

■日本市場で培われた高品質と高いレベルのサービス



「法律や規定が変わったり、業界のトレンドが変わったりしたときにも、認証機関からは適切な情報や助言をいただけることができます」と日々の進化が要求される安全品質を維持していくためにSマークが欠かせない存在となっていると語る周氏。「規格の変更等があれば認証機関からすぐに情報が届けられます。法律基準に準拠するための認証機関からのサポートは見逃すことができません」と話す。

「また、商品企画の早い段階で調整することが可能になりますから、販売してから問題を起こすような危険性も極力回避することができます。商品開発が二度手間三度手間になることもなく、商品開発のスピードを上げることにもつながります」とメリットを指摘する。

Sマークを運営する電気製品認証協議会(SCEA)では「日本のテレビやエアコンの大型家電市場は日本の家電メーカーの品質も高く、ブランド力も高いこともあり、なかなか海外メーカーにとって進出のハードルが高い市場ですが、ハイセンスジャパンは中国ブランドとして日本市場に確かな地位を確立している数少ない海外メーカーであると思われます」と同社の取り組みに注目する。その一因を、「日本の安全基準を重視し、Sマークを早くから積極的に取り入れることで、日本の大手電機メーカーと同様な安全対策を行っています。低価格だけを売りにするのではなく、安全性を重視し、品質についても強みとすることで、日本の市場に受け入れられているのではないでしょうか」と分析する。

「ここ数年、中国メーカーの安価な製品が日本の市場に流通しておりますが、ネット販売は元より量販店やディスカウントストア等でも残念ながらSマーク認証を取得していない製品が多く販売されております。製品を購入する時の選定基準に、値段だけでなく、ハイセンスジャパン株式会社のようにSマーク取得されていることを判断基準に加えていただければ、海外製品を購入するに際して、より安全性の高い製品を購入することができ、安心して製品を使用できると思います」と訴える。

SCEAでは、PSEマークとSマークの違いなどをテーマにしたオンラインのよるセミナーを毎年開催しているが、海外メーカーの進出を背景に、次回は中国語での対応も予定しているとのこと。現地のエンジニアがネイティブな言語で情報に接することで、日本の法律を十分に理解できないまま設計してしまったがためにSマーク認証試験に落ちてしまうといった効率の悪さを解消していくことも狙いのひとつ。

年末へ向けてテレビ市場の盛り上がりが期待されるなか、その前哨戦とも言える注目の「FIFAワールドカップ」がいよいよ開幕した。ハイセンスは公式スポンサーを務めており、ハイセンスジャパンでも魅力あふれるテレビや冷蔵庫の商品群はもちろんのこと、三浦知良選手(KAZU)がFIFAワールドカップ プロジェクトアンバサダーに就任し、KAZUならでは、ハイセンスならではのFIFAワールドカップを面白くする特別企画を次々と展開している。

FIFAワールドカップの公式スポンサーを務めるハイセンス。ハイセンスジャパンではテレビ市場を盛り上げる施策を精力的に展開する

躍進が続くハイセンスジャパン。家倉氏は「日本人はとことん品質にこだわります。だからこそ、日本ブランドはロイヤリティが高く、消費者も国内メーカーなら安心という気持ちがとても強い。しかし、ハイセンスはその日本のメーカーと同じ基準でものづくりを行っています。品質もサービスも『どうぞご安心ください』と改めて声を大にしてお伝えしていきたい」と力を込めた。

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