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公開日 2014/12/24 18:21

調音パネルの革命? SUNSHINE「REM30」を林正儀がレビュー

コンパクトかつ軽量
林正儀
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手軽で高い効果を発揮する
そんな音響材を探していた


よいスピーカーは、よい室内環境でこそ本領を発揮する。当然といえば当然なことだが、では実際オーディオルームになんらかの調音対策を施して、満足できるサウンドや音楽的感動が得られているかというと、「実は……」と首をひねる例が大半なのではないだろうか。わが家も常に実験中で、いろいろなタイプの音響材を持ち込み聴き比べているのだが、衝立状の巨大なものであったり、近ごろはやりのコンパクトタイプであっても、期待ほどの効果が出づらいな、というのが、実は本音のところだ。

そんななか、サンシャインから届いたのがこれぞ画期的といえるコンパクトかつ軽量なオーディオ用調音パネル「REM30」である。材料製造元は高級ボードやラック、インシュレーターでお馴染みのティグロンだ。

REM30(¥6,300・1枚)※2枚セット「REM30-2」は¥12,000)

著名な録音スタジオにも導入
世界特許のハニカム材を採用


製品は意外なほどシンプルな30×30cmサイズで、厚さ2.5cmという薄型のもので、よく見ると少し湾曲させている。どんな技術やノウハウが仕組まれているのだろうか? 基本は世界特許を有する「特殊樹脂コーティングペーパーハニカム材」をベースとした3層構造だ。新幹線の防音にも使用されているハイテク素材で、著名な録音スタジオにも導入されているようだ。

1枚で完結できる新しい切り口
3年構想で完成した夢のアイテム


これまでのパネルは音を吸いすぎることに問題があった、という。その結果音がデッドになり、「じゃあ拡散させよう」といういたちごっこである。また、たくさんのパネルを並べるのもそのうち効果がわからなくなると、ショップやユーザーに不評だ。

やりつくした感のある調音パネルが現状だとすれば、1枚で完結できるような新しい切り口の製品こそ必要だろう。「吸いすぎないアコースティックなパネル」をキーワードに、本来の響きを失わず、情報量の欠落もない。そして解像度と定位、位相感を向上させるという夢のようなアイテムが完成するまでに3年かかったそうである。

改めて構造をみよう。調音層である3mmの「特殊樹脂コーティングペーパーハニカム材」を、上下の吸音層と遮音層ではさむサンドイッチ構造だ。1層目の吸音層はスポンジ状の「メラミン系特殊発泡材」、遮音層には「特殊ポリエチレン」を用いて、シンプルに仕上げている。

低音を変えるルームチューン材

REM-30を試す
スピーカー側センターに2枚設置
音の視力が上がったようなフォーカス


我が家のリスニングルームは16畳と広めなので、最初からREM30を2枚使って試聴してみた。スピーカー側のセンターにセットすると、吸い寄せられるようにピタリと定位が決まる。これは滲みが消えるとかそんなレベルではなく、音の視力が上がったかのように声も楽器も、ビームのようなフォーカスであるべき場所に収まるのだ。


使用枚数例。1枚使用しただけでも効果があり、音像定位が定まってくるとのこと
響きがなくなったのかというとそうではなく、むしろ自然なプレゼンスが漂い、ステージ感や音場表現が豊かなっているから驚きだ。 表面のカーブが微妙に散らさせているのか、とにかく吸音と拡散パターンのコントロールが絶妙。アバド指揮の「カルメン」は、オケのパートがきれいに分離・融合しながらダイナミックで華やかなオペラサウンドを楽しませてくれた。歌手の立ち位置やその動き、バックのコーラス隊まで詳細に見えるようだ。

音そのものの質が高まり
低音の解像力は驚異的


音像と音場の両立だけでもすごいことだが、音そのものの質感もちょっとないリアルさ、ホンモノ感と言おう。オーボエのソロはふくよかな中にも、二枚リード独特のピリっとした鋭さもあり、よい意味でクールな味わいだ。ギターは旋律が細らない。しっかりと弦の潤いや響きを伝え、ボディの共鳴も実に豊かで生楽器そのもの。ジャズではフリューゲルホーンに注目したが、これもくすんでまろやかなだけなく、時にはペットのようなハリやヌケのよさを聴かせるとわかった。嬉しい発見だ。

さらに驚かされたのが、低音表現だ。質感のよさもそうだが、低音の解像力が驚異的にアップする。サンサーンスの「第3番オルガン」はどこからともなくオルガンの風圧が漂うのが普通だろう。違う。低音にも方向感があったのだ。いまはっきりとステージの右方向から、地を這う超低音が聴こえた。吸い過ぎないようにすると、低音が整ってくる方向があるようで、ハイ側の質の向上が効いたのかもしれない。とにかく奇跡に近い体験である。

「DIDO」もあのブっとい低音が、ダンゴにならずはっきりリズムとしてとらえることができた。伴奏とボーカルが離れて自然なステージ感となりこれも驚きの変化だが、何度つけ外しをしても同じ結果だ。低音を変えるルームチューン材などないだけに、調音パネルの革命といえそうだ。あちこち設置場所で迷うこともなく、セッティングはイージー。付属の両面テープで止めればほとんどの場合OKだ。仕上げは手作り風だが、逆にユーザーの任意でカバーを柄物に変えれば良いインテリアになる。この効き方は中毒になりそうだ。

(林正儀)


【SPECIFICATION】
●サイズ: 300×300×25mm ● 色:ブラック●質量:85g ●材質、構造:世界特許取得済み新素材「特殊樹脂コーティングペーパーハニカム材」をTIGLON社のOEMでSUNSHINE向けにアレンジした素材


【取り扱い】
(株)サンシャイン
TEL/03(6273)4623
ホームページ:http://www.sun-sha.com/

【材料製造元】
ティグロン(株)

本記事は、『季刊・オーディオアクセサリー 155号』からの転載です。季刊・オーディオアクセサリー誌の詳細はこちら

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