公開日 2014/12/25 13:58
パイオニア「BDP-LX58」レビュー:高CPモデルの実力を山之内正が検証。上位機との比較も
【特別企画】
AV機器に限った話ではないが、フラグシップ機と同時期または直後に開発された姉妹機はリーズナブルな価格と完成度が両立した例が多く、コストパフォーマンスの高い製品が少なくない。最上位機種の技術やノウハウを受け継ぎつつ、それなりに買いやすい価格を目指して装備や機能を整理する。そんなアプローチで作れば、魅力的な製品に仕上がる可能性は十分にある。
パイオニアのBDP-LX58はまさにそんなポジションに位置するBDプレーヤーの注目機だ。同社が6年ぶりに取り組んだフラグシップBDP-LX88と同時に開発され、多くの部分を共有。それにも関わらず価格は半分以下に抑えているので、当然ながら期待がふくらむ。
BDP-LX88の姉妹機なのでパイオニアのBDプレーヤーとして準フラグシップという位置付けになり、それにふさわしい洗練されたデザインを身にまとっている。高さがLX88よりも13mmほど低い割にずっしり重く感じるのは、2層構造の底板や1.6mm厚鋼板シャーシなど重量級の筐体で十分な剛性を確保しているためで、本体の重さは約10kgに及ぶ。フレーム構造などで強化したBDP-LX88のシャーシに比べると簡素になっている部分もあるが、基本的な構造と筐体の構成はほぼ共通と考えていいだろう。
さらに、鋼板製ベースにフローティングを介して固定したBDドライブ、そしてトレイカバーとトレイの間で振動を遮断する「アコースティックダンパートレイ」など、機構部とその周辺の防振対策もBDP-LX88と共通だ。その効果は明らかで、ディスク再生時に筐体に手を触れても振動はまったく伝わらないし、動作音もほとんど気にならない。高級BDプレーヤーならば、やはりここまでこだわるのが本来の姿だと思う。
筐体設計と振動対策にこだわる理由として、本機で再生するディスクやファイルのダイナミックレンジが非常に大きく、膨大な情報量を持っていることにも注目する必要がある。微小信号を忠実に再現し、大音圧でもブレのない安定したサウンドを再生するためには、堅固で重量級の筐体は重要な役割を果たすのだ。
音源に含まれる膨大な情報を引き出すうえでカギとなるデバイスがDACである。BDP-LX58のDACはBDP-LX88と同様にESS社製で、ステレオ仕様のES9011Sを採用、アナログの2ch出力の音質にこだわりを見せている。さらにリモコンの「ダイレクト」ボタンを押すとビデオ回路とデジタルオーディオ回路をオフにし、アナログ音声出力のみが可能になる。このダイレクト機能はハイファイ製品ではよく見かけるが、BDプレーヤーではあまり例がない。プリメインアンプと接続してSACDやハイレゾ音源を再生するときに真価を発揮する機能として注目しておきたい。また、本体ディスプレイの消灯もリモコンの「ディマー」ボタンで行える。なお、ハイレゾを含むファイル音源はUSBメモリーまたはDLNAでの再生に対応する。
映像回路の基本コンセプトはディスクに含まれる情報を漏らさず引き出すことにあり、そのための技術と装備はBDP-LX88と同等の内容を奢っている。13項目に及ぶ詳細な画質調整機能に加え、ディスプレイの種類や映像素材に応じてプリセット設定を選べる「ビデオアジャスト」モードを用意したこともBDP-LX88と共通だ。この機能は、あらかじめ最適な設定に追い込んだモードを僅かな操作で呼び出せるため、非常に実用性が高い。プレーヤーの画質調整機能はあまり使わないという人も、これなら十分に使いこなせるはずだ。逆にマニアックな手動調整が好みという映像ファンなら詳細なマニュアル調整が威力を発揮するし、アップデートで追加された「フィルムグレイン」機能で映像のテイストを追い込むのも面白いだろう。
HDMI2.0をサポートし、4K/60p 4:2:2 36bitや4K/24p 4:4:4 36bitまでのフル4K伝送を実現している点もBDP-LX88と同様だ。精細感とテクスチャーのバランスを画像の内容に応じて適切に処理する4Kアップスケーリング技術「4K Reference Converter」がスムーズにHDコンテンツと4Kディスプレイの間の橋渡しをして、"実用になる"アップスケーリングを行うことがポイントだ。
BDP-LX58の画質を検証 − 上位機に肉薄する再生力を持つ
ソニーのプロジェクターVPL-VW500ESと組み合わせ、BDP-LX58の画質を確認する。「PJ Digital Cinema」モードで見た『オブリビオン』は、金属や皮など素材のテクスチャーを忠実に再現しつつ、人物のクローズアップでは肌をしっとりしたタッチで描写し、その両者のバランスが絶妙だ。湖畔のシーンでは背景部分のエッジを際立たせすぎず、人物と背景の間に自然な遠近感が感じられる。フルHDプロジェクターでそこまでの奥行きを引き出すのはかなり難しいが、適切なアップスケーリング処理と4Kプロジェクターを組み合わせると、BDからここまでなめらかなタッチを引き出せるのだ。
パイオニアのBDP-LX58はまさにそんなポジションに位置するBDプレーヤーの注目機だ。同社が6年ぶりに取り組んだフラグシップBDP-LX88と同時に開発され、多くの部分を共有。それにも関わらず価格は半分以下に抑えているので、当然ながら期待がふくらむ。
BDP-LX88の姉妹機なのでパイオニアのBDプレーヤーとして準フラグシップという位置付けになり、それにふさわしい洗練されたデザインを身にまとっている。高さがLX88よりも13mmほど低い割にずっしり重く感じるのは、2層構造の底板や1.6mm厚鋼板シャーシなど重量級の筐体で十分な剛性を確保しているためで、本体の重さは約10kgに及ぶ。フレーム構造などで強化したBDP-LX88のシャーシに比べると簡素になっている部分もあるが、基本的な構造と筐体の構成はほぼ共通と考えていいだろう。
さらに、鋼板製ベースにフローティングを介して固定したBDドライブ、そしてトレイカバーとトレイの間で振動を遮断する「アコースティックダンパートレイ」など、機構部とその周辺の防振対策もBDP-LX88と共通だ。その効果は明らかで、ディスク再生時に筐体に手を触れても振動はまったく伝わらないし、動作音もほとんど気にならない。高級BDプレーヤーならば、やはりここまでこだわるのが本来の姿だと思う。
筐体設計と振動対策にこだわる理由として、本機で再生するディスクやファイルのダイナミックレンジが非常に大きく、膨大な情報量を持っていることにも注目する必要がある。微小信号を忠実に再現し、大音圧でもブレのない安定したサウンドを再生するためには、堅固で重量級の筐体は重要な役割を果たすのだ。
音源に含まれる膨大な情報を引き出すうえでカギとなるデバイスがDACである。BDP-LX58のDACはBDP-LX88と同様にESS社製で、ステレオ仕様のES9011Sを採用、アナログの2ch出力の音質にこだわりを見せている。さらにリモコンの「ダイレクト」ボタンを押すとビデオ回路とデジタルオーディオ回路をオフにし、アナログ音声出力のみが可能になる。このダイレクト機能はハイファイ製品ではよく見かけるが、BDプレーヤーではあまり例がない。プリメインアンプと接続してSACDやハイレゾ音源を再生するときに真価を発揮する機能として注目しておきたい。また、本体ディスプレイの消灯もリモコンの「ディマー」ボタンで行える。なお、ハイレゾを含むファイル音源はUSBメモリーまたはDLNAでの再生に対応する。
映像回路の基本コンセプトはディスクに含まれる情報を漏らさず引き出すことにあり、そのための技術と装備はBDP-LX88と同等の内容を奢っている。13項目に及ぶ詳細な画質調整機能に加え、ディスプレイの種類や映像素材に応じてプリセット設定を選べる「ビデオアジャスト」モードを用意したこともBDP-LX88と共通だ。この機能は、あらかじめ最適な設定に追い込んだモードを僅かな操作で呼び出せるため、非常に実用性が高い。プレーヤーの画質調整機能はあまり使わないという人も、これなら十分に使いこなせるはずだ。逆にマニアックな手動調整が好みという映像ファンなら詳細なマニュアル調整が威力を発揮するし、アップデートで追加された「フィルムグレイン」機能で映像のテイストを追い込むのも面白いだろう。
HDMI2.0をサポートし、4K/60p 4:2:2 36bitや4K/24p 4:4:4 36bitまでのフル4K伝送を実現している点もBDP-LX88と同様だ。精細感とテクスチャーのバランスを画像の内容に応じて適切に処理する4Kアップスケーリング技術「4K Reference Converter」がスムーズにHDコンテンツと4Kディスプレイの間の橋渡しをして、"実用になる"アップスケーリングを行うことがポイントだ。
BDP-LX58の画質を検証 − 上位機に肉薄する再生力を持つ
ソニーのプロジェクターVPL-VW500ESと組み合わせ、BDP-LX58の画質を確認する。「PJ Digital Cinema」モードで見た『オブリビオン』は、金属や皮など素材のテクスチャーを忠実に再現しつつ、人物のクローズアップでは肌をしっとりしたタッチで描写し、その両者のバランスが絶妙だ。湖畔のシーンでは背景部分のエッジを際立たせすぎず、人物と背景の間に自然な遠近感が感じられる。フルHDプロジェクターでそこまでの奥行きを引き出すのはかなり難しいが、適切なアップスケーリング処理と4Kプロジェクターを組み合わせると、BDからここまでなめらかなタッチを引き出せるのだ。