公開日 2017/05/31 11:13
アース線無しで仮想アース効果を発揮。ティグロンのオーディオボード「TMB-300」レビュー
進化したチューニングベルトもレポート
実体がないのにあるかのように見えるものを幻(まぼろし)、英語ではPhantom(ファントム)と言うが、「TMB-300」(68,000円/税抜)は、アース線を繋がなくてもアース線をつないだ仮想アーシングボードと同等以上の静寂感や解像度が得られるという「ファントムアース効果」を実現した、画期的な仮想アーシングボードである。
そこで既存の仮想アーシングボードと区別するため、私はこれを「ファントムアーシングボード」と呼ぶことにした。
■アースボードの効果を凌ぐ「ファントムアース効果」
構造は上から順に、12oのロシアンバーチ積層板、2oの純マグネシウム板、13oのチーク板、5.5oの超高密度MDF板という4層構造で、質量は約5s。最上層には「マグネシア」シリーズオーディオラックの棚板に採用されているのと同じ高級ロシアンバーチが採用されて、同じ色に塗装。サイズもマグネシアの棚板にフィットする470W×32.5H×425Dmmという寸法になっている。もちろん単体のオーディオボードとしても使用でき、実際に試してみたらその効果がすさまじいのだ。
私が現在リファレンスにしているオーディオボードは同社「TMB-50」の純マグネシウム板に自分でアース端子を追加した「TMB-50E」相当品であり、アース線を機器の筺体につなぐことで静寂感や解像度が著しく改善される。
いつもこれをアキュフェーズのSACDプレーヤー「DP-600」の下に敷いて使っているわけだが、ボードをTMB-300に替えたら、アース処理をしないのにアース接続したTMB-50を凌ぐSN感、透明感、分解能が得られたので我が耳を疑った。
ダイナミックレンジが上下に拡張されて抑揚豊かで熱気溢れる音になり、低域は締まって底力が増し、楽器も声も非常にナチュラルで実在感のある音に変貌。アース線を繋いだTMB-50をあらゆる面で凌駕する音質になったのである。
最近はアース線を取り付けるネジがリアパネルにない製品が多いので、こうしたボードの登場は大歓迎されるだろうし、私は待ち望んでいた。この前例のない画期的な効果は、内部の純マグネシウム板と、それに隣接するロシアンバーチやチーク材を特殊加工することにより得られたそうだが、詳細は企業秘密で非公開。
現在の私の知識では、残念ながらこのファントムアース効果の説明ができない。今言えるのは、TMB-300がオーディオボード市場で大注目されるだろうという予想ぐらいだ。信じる読者は救われる!
■チューニングベルトがマグネシウムストッパー装備で進化
チューニングベルト「TB-15W」は、スピーカーの落下防止用に開発されたもので、箱に傷や凹みを付けぬよう、ベルトには比較的柔らかくて制振効果の高い耐熱性架橋ポリエチレンが採用されている。ベルトストッパーは樹脂ケースの中にリン青銅と思われる戻り防止爪を組み込んだ物で、小型マイナスドライバーを爪中央の凹みに挿せば緩めることができる。
進化版の「TB-MG15W」(5,600円/税抜)は、ベルト自体はTB-15Wと同じであるが、ストッパーが改良されて音質改善効果が劇的に向上した。改良点は、ストッパーの樹脂ケース両側面にマグネシウム箔を装着し、熱収縮チューブでケース周囲を覆った点で、熱収縮チューブには音質を吟味して選び抜かれた、電子線照射架橋軟質難燃ポリオレフィンが採用されている。
チューニングベルトは元来スピーカーの落下防止用に開発されたものであるが、筺体の四隅を締め付けるため剛性が高まり、他のオーディオ機器でも効果的であることが知られるようになった。そこで私はアキュフェーズDP-600のフロントパネル寄りとリアパネル寄りの2箇所にベルトを取り付けて試聴した。
まず旧型TB-15Wを装着すると、付帯音が取れてクッキリ鮮明な音になり、低域は瞬発力が増して、より腰のすわった音になった。次にストッパーをTB-MG15Wのマグネシウム制振型に交換すると、想定外の改善効果に驚いた。ノイズフロアが下がって今まで聴き取れなかった音が鮮明になり、楽器の余韻が長くなり、楽器や声の質感が格段にナチュラルになった。
機器におもりを載せると抑圧感が生じやすいが、チューニングベルトは四隅を締め付けるだけで面を圧迫しないため、開放的で抑圧感がない点も特筆できる。お手頃価格なのに、投資効果は絶大だ。
●各評論家が試した「TB-MG15W」の効果
【炭山アキラ】
ティグロンの「チューニングベルト」は、機器をラックやスタンドに縛り付けることで、安定が増し、音質を著しく向上させるが、このたびストッパー部にマグネシウムのフィルムが装着され、一段と制振性が増した。
我が家のリファレンススピーカーは4ウェイで、キャビを3段積みにしているのだが、試しにこれを縛ってみることにした。縛って最初の一音が出た瞬間、思わずのけぞった。パワーとクリアネス、音質の統一感がまるで違ってしまったのだ。効くことは分かっていたが、しかしこの格差はあまりにも大きい。ただし、スピーカーに用いる場合は必ずスタンドとの間に適切なインシュレーターを挟みたい。板同士をあまり密着させると副作用もあるからだ。
【田中伊佐資】
7年前に発売されたとき、電源タップとボードを一緒にくくる使い方をしてみたら、音が締まっていい結果を得られた。その時、段ボール箱の結束バンドでも試してみたところ、結果はイマイチ。やはり素材が重要だった。だから今回、制振能力を高めるために、留め具へマグネシウムフィルムを付けたと知りなるほどなと思った。
自宅のJBL「L75」で試してみると、ベースの不要な膨らみが抑制されて、かっちり筋が通った音になった。締め付け加減を微調節して、好みに仕上げることもできる。何より地震で不意に落下する不安がなくなった点は大きい。
Main Photo:田代法生
そこで既存の仮想アーシングボードと区別するため、私はこれを「ファントムアーシングボード」と呼ぶことにした。
■アースボードの効果を凌ぐ「ファントムアース効果」
構造は上から順に、12oのロシアンバーチ積層板、2oの純マグネシウム板、13oのチーク板、5.5oの超高密度MDF板という4層構造で、質量は約5s。最上層には「マグネシア」シリーズオーディオラックの棚板に採用されているのと同じ高級ロシアンバーチが採用されて、同じ色に塗装。サイズもマグネシアの棚板にフィットする470W×32.5H×425Dmmという寸法になっている。もちろん単体のオーディオボードとしても使用でき、実際に試してみたらその効果がすさまじいのだ。
私が現在リファレンスにしているオーディオボードは同社「TMB-50」の純マグネシウム板に自分でアース端子を追加した「TMB-50E」相当品であり、アース線を機器の筺体につなぐことで静寂感や解像度が著しく改善される。
いつもこれをアキュフェーズのSACDプレーヤー「DP-600」の下に敷いて使っているわけだが、ボードをTMB-300に替えたら、アース処理をしないのにアース接続したTMB-50を凌ぐSN感、透明感、分解能が得られたので我が耳を疑った。
ダイナミックレンジが上下に拡張されて抑揚豊かで熱気溢れる音になり、低域は締まって底力が増し、楽器も声も非常にナチュラルで実在感のある音に変貌。アース線を繋いだTMB-50をあらゆる面で凌駕する音質になったのである。
最近はアース線を取り付けるネジがリアパネルにない製品が多いので、こうしたボードの登場は大歓迎されるだろうし、私は待ち望んでいた。この前例のない画期的な効果は、内部の純マグネシウム板と、それに隣接するロシアンバーチやチーク材を特殊加工することにより得られたそうだが、詳細は企業秘密で非公開。
現在の私の知識では、残念ながらこのファントムアース効果の説明ができない。今言えるのは、TMB-300がオーディオボード市場で大注目されるだろうという予想ぐらいだ。信じる読者は救われる!
■チューニングベルトがマグネシウムストッパー装備で進化
チューニングベルト「TB-15W」は、スピーカーの落下防止用に開発されたもので、箱に傷や凹みを付けぬよう、ベルトには比較的柔らかくて制振効果の高い耐熱性架橋ポリエチレンが採用されている。ベルトストッパーは樹脂ケースの中にリン青銅と思われる戻り防止爪を組み込んだ物で、小型マイナスドライバーを爪中央の凹みに挿せば緩めることができる。
進化版の「TB-MG15W」(5,600円/税抜)は、ベルト自体はTB-15Wと同じであるが、ストッパーが改良されて音質改善効果が劇的に向上した。改良点は、ストッパーの樹脂ケース両側面にマグネシウム箔を装着し、熱収縮チューブでケース周囲を覆った点で、熱収縮チューブには音質を吟味して選び抜かれた、電子線照射架橋軟質難燃ポリオレフィンが採用されている。
チューニングベルトは元来スピーカーの落下防止用に開発されたものであるが、筺体の四隅を締め付けるため剛性が高まり、他のオーディオ機器でも効果的であることが知られるようになった。そこで私はアキュフェーズDP-600のフロントパネル寄りとリアパネル寄りの2箇所にベルトを取り付けて試聴した。
まず旧型TB-15Wを装着すると、付帯音が取れてクッキリ鮮明な音になり、低域は瞬発力が増して、より腰のすわった音になった。次にストッパーをTB-MG15Wのマグネシウム制振型に交換すると、想定外の改善効果に驚いた。ノイズフロアが下がって今まで聴き取れなかった音が鮮明になり、楽器の余韻が長くなり、楽器や声の質感が格段にナチュラルになった。
機器におもりを載せると抑圧感が生じやすいが、チューニングベルトは四隅を締め付けるだけで面を圧迫しないため、開放的で抑圧感がない点も特筆できる。お手頃価格なのに、投資効果は絶大だ。
●各評論家が試した「TB-MG15W」の効果
【炭山アキラ】
ティグロンの「チューニングベルト」は、機器をラックやスタンドに縛り付けることで、安定が増し、音質を著しく向上させるが、このたびストッパー部にマグネシウムのフィルムが装着され、一段と制振性が増した。
我が家のリファレンススピーカーは4ウェイで、キャビを3段積みにしているのだが、試しにこれを縛ってみることにした。縛って最初の一音が出た瞬間、思わずのけぞった。パワーとクリアネス、音質の統一感がまるで違ってしまったのだ。効くことは分かっていたが、しかしこの格差はあまりにも大きい。ただし、スピーカーに用いる場合は必ずスタンドとの間に適切なインシュレーターを挟みたい。板同士をあまり密着させると副作用もあるからだ。
【田中伊佐資】
7年前に発売されたとき、電源タップとボードを一緒にくくる使い方をしてみたら、音が締まっていい結果を得られた。その時、段ボール箱の結束バンドでも試してみたところ、結果はイマイチ。やはり素材が重要だった。だから今回、制振能力を高めるために、留め具へマグネシウムフィルムを付けたと知りなるほどなと思った。
自宅のJBL「L75」で試してみると、ベースの不要な膨らみが抑制されて、かっちり筋が通った音になった。締め付け加減を微調節して、好みに仕上げることもできる。何より地震で不意に落下する不安がなくなった点は大きい。
Main Photo:田代法生