• ブランド
    特設サイト
公開日 2017/09/22 10:05

映像調整でここまで変わる! BenQの4K DLPプロジェクター「HT8050」でUHD BDの真価を引き出す

連続企画第二弾
鴻池賢三
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
本シリーズ記事では、BenQの「ホームシアタープロジェクター」シリーズを取り上げ、モデルごとの画の特性を確認。話題のBD作品を用い、「A. プロジェクターの特性を活かし、よりナチュラルな映像美を発揮させる調整」と「B. 作品の個性を理解しつつ、筆者の主観込みでよりヴィヴィドに楽しむための調整」を探って紹介してゆく。

前回の第1回目は、LED光源を採用したフラグシップモデル「HT9050」を検証(関連記事)。第2回目は、4K対応でTHX認証も受けたハイエンドモデル「HT8050」を取り上げる。

「HT8050」

HT8050の特徴

本機はTHX HD認証を受けた4Kプロジェクター。詳細は別途レビュー記事を参照頂きたいが、830万画素相当の解像度を実現し、DLPタイプならではのキレの良い描写力は特筆に値する。

THX認証の通り、色域はBT.709に準拠し、正確な色再現も特徴。HDTV制作基準に忠実な表示を狙ったリファレンス志向で、マニアやプロスタジオにも向く1台だ。映像を追い込む方向としては、やはり、制作基準を最優先し、ナチュラルな真の映像美の追究を第1にしたい。

天面に、THX認証取得の証明となるロゴのほか、本機が搭載する各種技術技術名称が印字される

リファレンスとしたソフト紹介

映像調整の指針を明確にするために、取り上げたタイトルと理由を述べておこう。

まずは『レヴェナント:蘇えりし者』(UHD BD版)。映画作品の代表として選抜。理由は、自然の風景をナチュラルかつ高画質に収めた作品であり、記憶色と照合して判断できること。平均輝度が映画作品として標準的で、日没後の暗転シーンの見え方もポイントだ。美しく完成度の高い映像なので、制作者の意図を引き出すことを最優先にしたい。カメラはAlexa65でネイティブ4K撮影され、色域はDCI-P3(UHD BDの規格はBT.2020)。

『レヴェナント:蘇えりし者』

続いては『宮古島』(UHD BD版)。数少ない60p収録作品。南国の明るい日差しで平均輝度が高く、制作者の意図として、空や海の青さ、緑の鮮やかさも強調されている。記憶色に近づけてナチュラルに映像に浸るか、制作者の意図を汲んでヴィヴィッドに色を楽しむか、2通りの楽しみが考えられる。撮影はCineAlta 4Kカメラ「F65」。

『宮古島』

そして『君の名は。』(UHD BD版)。線画アニメ作品の代表として選抜。解像度面では、自然画のようなディテールはなく、グラデーションと輪郭線が特徴。本作品の場合、光を意識した映像美が魅力で、映像装置の性能や調整で、印象も大きく変わる。マスターはUHD BD版、BD版共に、1,920×1,080/RGB4:4:4/10bit/BT.709。

『君の名は。』(コレクターズ・エディション)

備考として、今回の視聴と調整は、限られた条件下で行ったもので、すべてのユーザーの視聴環境に必ずしも当てはまらない点を留意頂きたい。ちなみに視聴室は完全暗室で、スクリーンは100インチのマリブ。本記事では、読者が視聴環境に沿って応用できるよう、各調整項目と映像の変化の関連性も分かるよう心がけているので、各家庭で最適あるいは好みに仕上げて欲しい。

作品視聴1.『レヴェナント:蘇えりし者』

(A) プロジェクターの特性を活かし、よりナチュラルな映像美を発揮させる調整

THXモードは制作者の意図を忠実に再現するのが狙いで、本機の性能はTHXも確認済み。「THX」モードを選ぶだけで、BT.709に即した誇張のない色表現と、ガンマ2.4に沿った明暗表現が得られる。THX認証モデルの安心感は大きい。

「THX」モードを選択、「シャープネス」を「5」へと変更

本作品はUHD BD版で、色域はDCI-P3基準で制作および収録しているようだが、本機の特性を考えると、映像調整で無理をさせず、何も変更しないのが無難。そうすることで、制作者の意図が大きく変わってしまうことなく、安心して楽しめる。

一点、「シャープネス」は、デフォルトの「10」だと、シュートが見える。字幕の黒と白に注目すると一目瞭然だ。検討の結果、シャープネスを「10」から「5」に引き下げた。

(B) 作品の個性を理解しつつ、筆者の主観込みでよりヴィヴィドに楽しむための調整

本作品は、自然が持つ美しさを尊重し、過度な色付けが無い。制作者の意図だが、BT.709基準での表示は、少し淡泊でモノ足りなく感じるのも事実。調整の狙いとしては、DCI-P3風の少し濃厚な画調だ。

「シネマ」モードは、「THX」モードよりもメリハリがありつつ、不自然さも無く好印象。逆光の眩しさやレンズのフレアも力強くなり、画が力強く印象的になる。ちなみに、「輝度」や「コントラスト」は中央値が「50」と、「THX」モードと同じだが画は違う。これは、シネマモードの中央値ということだろう。

「シネマ」モードに変更し、コントラストは「55」、シャープネスを「2」に設定

次は、選択した「シネマ」モードをベースに画を追い込む作業。ガンマはデフォルトが「2.2」なので、DCI-P3基準で暗室にも適するよう「2.4」に変更。中間調の明るさが落ち着き、暗室では映像の暗部が引き締まってコントラスト感もアップする。

ガンマは標準の「2.2」から「2.4」にアップ。「ブリリアントカラー」は「オン」とする

本機の「輝度」は、一般的には“ブラックレベル”に相当し、暗部の明るさを調整する項目。「輝度」を上げると暗部が浮いてコントラス感が下がる。本機の「コントラスト」は、一般的には“ホワイトレベル”に相当し、「コントラスト」を上げると明部が明るく力強くなるが、白飛びが生じる。最終的に、「コントラスト」を明部が白飛びしない限界の「55」に設定。

シャープネスは「2」でシュートが消え、自然な奥行き感が得られた。「ブリリアントカラー」は「オフ」から「オン」。明るくコントラスト感がアップしつつ、副作用も見あたらないのは好感が持てる。

「カラーエンハンサー」を「4」にまでアップ

最後に、CinamaMasterの中にある「カラーエンハンサー」を、「0」から「4」へ。少し強調することになるが、自然さを損なわない範囲で色が引き立る。例えば、明け方のシアン色の空はDCI-P3風に濃厚になり、より印象的で心に沁みる。

左が調整前、右が調整後の映像。色味が感じられる、印象的に画となった

次ページ『宮古島』と『君の名は。』でのオススメ設定値は?

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 「オーディオのオンキヨー」復活へ。新スピーカーとセパレートシステムを年明けのCESで発表
2 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.10】音のプロが選ぶベストバイは?
3 CD再生とファイル再生の架け橋に!Shanlingからリッピング機能付きトランスポート「CR60」が登場
4 今こそ「ミニコンポ」が面白い! デノン/マランツ/B&Wの令和ライフにマッチする厳選5モデルレビュー
5 水月雨、『崩壊:スターレイル』とのコラボ完全ワイヤレス。ダイナミック+環状平面駆動の同軸ドライバー搭載
6 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
7 モニターオーディオ「GOLDシリーズ」レビュー。ユニット大幅刷新の第6世代機は「ハイスピードで焦点の明確な音調」
8 AVIOT、『らんま1/2』コラボ完全ワイヤレスイヤホン。完全新録ボイス240種類以上搭載
9 Nothing、スマホ/イヤホンが最大30%オフ価格になるウィンターキャンペーン。先着順で靴下もらえる
10 要注目の新興ブランド、ラトビア「アレタイ」スピーカー試聴レビュー!広大な空間描写力が魅力
12/20 10:05 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX