公開日 2017/11/14 10:38
“未来すぎる” ヘッドホン登場! 先進機能&謎仕様満載の「スマートヘッドホン」自腹購入レビュー
<山本敦のAV進化論 第149回>
今週はちょっと変わったヘッドホンをご紹介しよう。米・中のベンチャー、Insperoがつくった音声アシスタント対応のスマートヘッドホン「Vinci Pro」だ。このレポートはまた、クラウドファンディングで散財してしまった筆者の記録でもある。
■スマートフォン+ヘッドホンで「スマートヘッドホン」?
筆者がVinci ProをKickstarterで発見したのは昨年12月ごろだった。「AIアシスタントを搭載したヘッドホン、これは面白そうだ」とすぐさま意を決して179ドルをクレジットカードで支払った。あれから待つこと約1年。11月の第1週にDHLの国際宅配便で荷物が届いた。
今日まであまりに音沙汰がなかったので、最初はDHLで配達されるようなものに思い当たる節がなく受け取りを拒否しかけたが、配達員に手渡された荷物のタグをよく見ると「Vinci Headphone」と書かれてあったのでひとまず受け取ってみた。中を開けたら本当にヘッドホンが入っていて安堵した。
Vinci Proがどんなヘッドホンで何ができるのか、ざっくりと概略を解説しよう。Insperoは2014年にマサチューセッツ工科大学の卒業生たちが設立したベンチャーらしい。ヘッドクオーターは北京に置き、中国のシンセンとアメリカのニューヨーク、サンフランシスコにも拠点を構える。Vinciは2015年に初めてプロトタイプを発表して、好評を得たことから商品化を決定。Kickstarterでの資金集めに成功して、このほど販売を開始したという。
Vinciシリーズには上位の「Vinci Pro」とスタンダードモデルの「Vinci」がある。上位モデルの方はHDオーディオ再生に対応するDAC、アクティブNC機能のほか、ワイヤレス充電機能など豪華に盛っているところが特徴だ。筆者が購入を決めた頃は60-70ドルぐらいの価格差しかなかったので、それなら上位モデルの方がお得だろうと思いVinci Proの方を選んだ。
Vinci Proには独自のOS「Vinci ME 2.0」が搭載されている。右側のイヤーカップのサーフェスは3.2インチ(480×360画素)のタッチ液晶ディスプレイになっていて、Wi-Fiのほか3G対応のモバイルネットワーク通信機能まで搭載されている。さながらスマホとヘッドホンを合体させたような製品なのだ。CPUにはARMのCortex-A7デュアルコアプロセッサーを搭載する。
独自の音声アシスタント機能は「Vinci Assistant」と名付けられていて、タッチ液晶と音声による組み合わせでコントロールする。言語は残念ながらというか、まあ当然のことながら英語のみサポートする。
ここまでのフィーチャーをKickstarterの商品紹介ページで読み確認した筆者は、さぞ色んなことが楽しめるヘッドホンなのだろうと期待していたのだが、Vinciの独自OSによるプラットフォーム、音声アシスタントはともに「音楽を聴くこと」に特化して作り込まれている。
ユーザーがアプリを追加して機能をカスタマイズできるようにはなっていないし、搭載する音声アシスタントも基本的には音楽再生とハンズフリー通話のサポート用途に絞り込んでいる。アラームやタイマー、ニュースチャンネルの聴取やWiki検索、“アメリカンジョーク”などの便利機能はすべてAmazon Alexaのサービスにログインし、Alexaが答える建て付けだ。まあ、これはこれできちんと動いてくれたら大したものなのだが…。
ヘッドホンとしては4通りの音楽ソースの再生方法がある。ひとつは本体に内蔵する32GBのストレージに音楽ファイルをコピーして聴く方法。Spotifyなど音楽配信サービスにつないでストリーミングを聴く方法。あとはBluetooth再生(SBCのみサポート)と、付属するケーブルによるワイヤードリスニングだ。このあたりの使用感は、後ほど音質とともに紹介したい。
音楽再生時に使える機能にはアクティブNCのほか、外の音をモニタリングする機能、再生中の音源にホール再生っぽいエフェクトをかける「3Dエフェクト」がある。さらに専用のドックステーションを使えば本体に内蔵するバッテリーがワイヤレスで充電できるということだったのだが、送られてきたドックが故障していて使えなかった。早速問い合わせのメールを送った次第だ。
実際にハンドリングする前に、デザインについてツッコミを入れておきたい。今回筆者はいくつかのカラバリの中から「シルバー」を選んで注文したのだが、届いた実機の色は、サイトに掲載されていたマットシルバーのイメージと全く異なっていた。確かにシルバーではあるが、のぞき込むと自分の顔がはっきりと確認できるほどピカピカの鏡面仕上げなのだ。指紋が激しく付着するのも残念だ。
イヤーパッドのクッションがそこそこ柔らかいので、装着感は思ったほど悪くなかった。ただ、購入申込みをした直後から気になっていた「ヘッドホンを装着したら液晶が操作できなくなるのでは」という懸念に対しては、「音声コマンドで操作すべし」という解決方法が答えだった。このインターフェースが理にかなっているのかも含めてこのあと検証してみる。
■光り輝くディスプレイ、ただし装着すると見えないし操作も難しい
本体に電源を入れるとスクリーンが眩しく輝き出す。初期セットアップでWi-Fiに接続する。タッチ液晶の反応は悪くない。なお本体設定に、スクリーンをオフにするメニューはない。慣れてくると、屋外で身に着けている時に注目されることはなんてことはなくなるが、いかんせん本体のバッテリー消費が非常にハイスピードなヘッドホンである。どうせ自分では画面が見えないのだから、液晶をタップしたら目を覚ますぐらいの省電力仕様にしてほしかった。
■スマートフォン+ヘッドホンで「スマートヘッドホン」?
筆者がVinci ProをKickstarterで発見したのは昨年12月ごろだった。「AIアシスタントを搭載したヘッドホン、これは面白そうだ」とすぐさま意を決して179ドルをクレジットカードで支払った。あれから待つこと約1年。11月の第1週にDHLの国際宅配便で荷物が届いた。
今日まであまりに音沙汰がなかったので、最初はDHLで配達されるようなものに思い当たる節がなく受け取りを拒否しかけたが、配達員に手渡された荷物のタグをよく見ると「Vinci Headphone」と書かれてあったのでひとまず受け取ってみた。中を開けたら本当にヘッドホンが入っていて安堵した。
Vinci Proがどんなヘッドホンで何ができるのか、ざっくりと概略を解説しよう。Insperoは2014年にマサチューセッツ工科大学の卒業生たちが設立したベンチャーらしい。ヘッドクオーターは北京に置き、中国のシンセンとアメリカのニューヨーク、サンフランシスコにも拠点を構える。Vinciは2015年に初めてプロトタイプを発表して、好評を得たことから商品化を決定。Kickstarterでの資金集めに成功して、このほど販売を開始したという。
Vinciシリーズには上位の「Vinci Pro」とスタンダードモデルの「Vinci」がある。上位モデルの方はHDオーディオ再生に対応するDAC、アクティブNC機能のほか、ワイヤレス充電機能など豪華に盛っているところが特徴だ。筆者が購入を決めた頃は60-70ドルぐらいの価格差しかなかったので、それなら上位モデルの方がお得だろうと思いVinci Proの方を選んだ。
Vinci Proには独自のOS「Vinci ME 2.0」が搭載されている。右側のイヤーカップのサーフェスは3.2インチ(480×360画素)のタッチ液晶ディスプレイになっていて、Wi-Fiのほか3G対応のモバイルネットワーク通信機能まで搭載されている。さながらスマホとヘッドホンを合体させたような製品なのだ。CPUにはARMのCortex-A7デュアルコアプロセッサーを搭載する。
独自の音声アシスタント機能は「Vinci Assistant」と名付けられていて、タッチ液晶と音声による組み合わせでコントロールする。言語は残念ながらというか、まあ当然のことながら英語のみサポートする。
ここまでのフィーチャーをKickstarterの商品紹介ページで読み確認した筆者は、さぞ色んなことが楽しめるヘッドホンなのだろうと期待していたのだが、Vinciの独自OSによるプラットフォーム、音声アシスタントはともに「音楽を聴くこと」に特化して作り込まれている。
ユーザーがアプリを追加して機能をカスタマイズできるようにはなっていないし、搭載する音声アシスタントも基本的には音楽再生とハンズフリー通話のサポート用途に絞り込んでいる。アラームやタイマー、ニュースチャンネルの聴取やWiki検索、“アメリカンジョーク”などの便利機能はすべてAmazon Alexaのサービスにログインし、Alexaが答える建て付けだ。まあ、これはこれできちんと動いてくれたら大したものなのだが…。
ヘッドホンとしては4通りの音楽ソースの再生方法がある。ひとつは本体に内蔵する32GBのストレージに音楽ファイルをコピーして聴く方法。Spotifyなど音楽配信サービスにつないでストリーミングを聴く方法。あとはBluetooth再生(SBCのみサポート)と、付属するケーブルによるワイヤードリスニングだ。このあたりの使用感は、後ほど音質とともに紹介したい。
音楽再生時に使える機能にはアクティブNCのほか、外の音をモニタリングする機能、再生中の音源にホール再生っぽいエフェクトをかける「3Dエフェクト」がある。さらに専用のドックステーションを使えば本体に内蔵するバッテリーがワイヤレスで充電できるということだったのだが、送られてきたドックが故障していて使えなかった。早速問い合わせのメールを送った次第だ。
実際にハンドリングする前に、デザインについてツッコミを入れておきたい。今回筆者はいくつかのカラバリの中から「シルバー」を選んで注文したのだが、届いた実機の色は、サイトに掲載されていたマットシルバーのイメージと全く異なっていた。確かにシルバーではあるが、のぞき込むと自分の顔がはっきりと確認できるほどピカピカの鏡面仕上げなのだ。指紋が激しく付着するのも残念だ。
イヤーパッドのクッションがそこそこ柔らかいので、装着感は思ったほど悪くなかった。ただ、購入申込みをした直後から気になっていた「ヘッドホンを装着したら液晶が操作できなくなるのでは」という懸念に対しては、「音声コマンドで操作すべし」という解決方法が答えだった。このインターフェースが理にかなっているのかも含めてこのあと検証してみる。
■光り輝くディスプレイ、ただし装着すると見えないし操作も難しい
本体に電源を入れるとスクリーンが眩しく輝き出す。初期セットアップでWi-Fiに接続する。タッチ液晶の反応は悪くない。なお本体設定に、スクリーンをオフにするメニューはない。慣れてくると、屋外で身に着けている時に注目されることはなんてことはなくなるが、いかんせん本体のバッテリー消費が非常にハイスピードなヘッドホンである。どうせ自分では画面が見えないのだから、液晶をタップしたら目を覚ますぐらいの省電力仕様にしてほしかった。