公開日 2018/02/26 08:00
オーディオファン待望の「ロスレス音楽ストリーミング」登場!「Deezer HiFi」の音質を山之内正がチェック
【特別企画】44.1kHz/16bitで約3,600万曲を配信
CDと同じ音質で数千万曲が聴き放題になる“ロスレス音楽ストリーミングサービス”がついに日本に上陸した。その名は「Deezer HiFi」(公式ページ/登録はこちら)。ロスレスストリーミングの音質から使い勝手、そしてオーディオファンにとっての意義を、オーディオ評論家の山之内正氏がレポートする。
■ロスレス音楽ストリーミングがついに日本に上陸
ついに日本でも音楽配信が新しい段階を迎えることになった。2016年頃からの複数の音楽ストリーミングサービスが続々と参入したことは、重要な前進ではあった。しかし、これらはいずれも音質劣化を伴うロッシー方式での配信だった。音楽ファンやオーディオファンが本当に待ち望んでいたのは音質劣化のない定額制音楽配信で、Deezer HiFiの参入によって、ついにそれが実現したのである。
1980年代以降、音楽コンテンツはCDに照準を合わせて録音とマスタリングが行われてきたが、配信の比率が上がった現在もその基本は変わらない。たとえ配信が前提の音源でも、CDクオリティに満たない音質で製作するミュージシャンはまずいないし、それどころかできるだけ良い音を届けるためにハイレゾ録音を選ぶ例も増えている。作り手が目指したこだわりの音をどこまで引き出せるかは聴き手の再生環境にかかっているわけだが、ストリーミングを選ぶならやはりCD同等のロスレス品質にこだわるべきだ。
Deezer HiFiがロスレス配信する楽曲数は約3,600万曲。音楽ファンにとって、これだけの楽曲数がロスレスで聴き放題というのは、夢のような話と言っても大げさではない。すでに膨大なCDライブラリーを持っているオーディオファンにとっても、これだけの楽曲数があれば、必ずや新たな音楽との出会いがあるはずだ。
Deezerは、海外では複数のコースでサービスを提供しているが、日本市場は最上位のDeezer HiFiに絞って展開することを選択した。今もCDの販売数がそれなりに多く、ハイレゾ音源の入手環境と再生環境が浸透しているなど、日本市場の特殊性を考慮したのだろう。
クオリティ志向がひときわ強い日本市場で成功を収めればDeezerのブランド価値が上がり、アジア市場全体への波及も期待できる。今後の展開は予測できないので個人的な意見だが、いずれハイレゾ配信に参入すればさらに評価は高まるはずなので、そちらも併せて期待したい。
■Deezer HiFiを実際に聴くと、ロスレスとロッシーの音質差は歴然
試聴レポートの前にあらためて概要を紹介しておこう。昨年末からスタートしたDeezer HiFiは月額1,960円の定額制音楽配信サービスで、約3,600万曲以上を44.1kHz/16bit(1411kbps)のFLACのロスレス音質で再生できる点が最大の特徴だ。
ロスレス音質での再生は、現時点で専用アプリケーションをインストールしたWindows/Mac、ブラウザに加えて、パートナー関係を結んでいるオンキヨー、パイオニア、ヤマハの対応機器から行える。
iOSとAndoroidを対象に専用アプリも用意されており、スマートフォンからの再生も可能だが、こちらはロッシー音質(320kbpsまたは128kbps)に限定される。
ロスレス配信で最も注目すべきはその音質である。筆者の場合、継続してストリーミングサービスを利用し続けるかどうかのカギを握るのは、まず第一にクオリティ、続いて楽曲のラインナップ、そして使い勝手という順になるが、クオリティの優先度がダントツに高いことはいうまでもない。
Deezer HiFiと、ロッシー音質(最大でも320kbps程度)で配信されている既存の定額配信サービスを聴き比べてみると、音質の違いは歴然としている。
MP3やAACなどのデジタル圧縮は、効率を追求する用途には適した技術だと思う。しかし、高レートを選べば平均値的な音の良さを確保できる反面、けっして万能とはいえず、原音通りに再生しきれないケースも少なくない。再生帯域の制約からアタックが鈍ったり音色が変化することがあるし、微小信号や空間情報の再現も難しい。音の鮮度が鈍ったり、遠近感が伝わりにくいなど、圧縮された信号特有のもどかしさは拭いきれないのだ。
一方、Deezer HiFiで同じ曲を聴くと、一音一音の粒立ちが鮮明になって本来の鮮度が蘇り、アコースティック楽器の音色はくすみやにじみのない鮮明な音に生まれ変わる。
■Deezer HiFiのロスレス再生は音の鮮度が高く、ロッシーとの音質差も予想以上
具体的な例を挙げよう。以下はいずれも筆者試聴室のメインシステムで聴いた印象で、Deezer Desktop(ベータ版)をインストールしたMacBook Proで再生し、USB-DACはエソテリック「K-01X」とRME「ADI-2PRO」を使用した。
■ロスレス音楽ストリーミングがついに日本に上陸
ついに日本でも音楽配信が新しい段階を迎えることになった。2016年頃からの複数の音楽ストリーミングサービスが続々と参入したことは、重要な前進ではあった。しかし、これらはいずれも音質劣化を伴うロッシー方式での配信だった。音楽ファンやオーディオファンが本当に待ち望んでいたのは音質劣化のない定額制音楽配信で、Deezer HiFiの参入によって、ついにそれが実現したのである。
1980年代以降、音楽コンテンツはCDに照準を合わせて録音とマスタリングが行われてきたが、配信の比率が上がった現在もその基本は変わらない。たとえ配信が前提の音源でも、CDクオリティに満たない音質で製作するミュージシャンはまずいないし、それどころかできるだけ良い音を届けるためにハイレゾ録音を選ぶ例も増えている。作り手が目指したこだわりの音をどこまで引き出せるかは聴き手の再生環境にかかっているわけだが、ストリーミングを選ぶならやはりCD同等のロスレス品質にこだわるべきだ。
Deezer HiFiがロスレス配信する楽曲数は約3,600万曲。音楽ファンにとって、これだけの楽曲数がロスレスで聴き放題というのは、夢のような話と言っても大げさではない。すでに膨大なCDライブラリーを持っているオーディオファンにとっても、これだけの楽曲数があれば、必ずや新たな音楽との出会いがあるはずだ。
Deezerは、海外では複数のコースでサービスを提供しているが、日本市場は最上位のDeezer HiFiに絞って展開することを選択した。今もCDの販売数がそれなりに多く、ハイレゾ音源の入手環境と再生環境が浸透しているなど、日本市場の特殊性を考慮したのだろう。
クオリティ志向がひときわ強い日本市場で成功を収めればDeezerのブランド価値が上がり、アジア市場全体への波及も期待できる。今後の展開は予測できないので個人的な意見だが、いずれハイレゾ配信に参入すればさらに評価は高まるはずなので、そちらも併せて期待したい。
■Deezer HiFiを実際に聴くと、ロスレスとロッシーの音質差は歴然
試聴レポートの前にあらためて概要を紹介しておこう。昨年末からスタートしたDeezer HiFiは月額1,960円の定額制音楽配信サービスで、約3,600万曲以上を44.1kHz/16bit(1411kbps)のFLACのロスレス音質で再生できる点が最大の特徴だ。
ロスレス音質での再生は、現時点で専用アプリケーションをインストールしたWindows/Mac、ブラウザに加えて、パートナー関係を結んでいるオンキヨー、パイオニア、ヤマハの対応機器から行える。
iOSとAndoroidを対象に専用アプリも用意されており、スマートフォンからの再生も可能だが、こちらはロッシー音質(320kbpsまたは128kbps)に限定される。
ロスレス配信で最も注目すべきはその音質である。筆者の場合、継続してストリーミングサービスを利用し続けるかどうかのカギを握るのは、まず第一にクオリティ、続いて楽曲のラインナップ、そして使い勝手という順になるが、クオリティの優先度がダントツに高いことはいうまでもない。
Deezer HiFiと、ロッシー音質(最大でも320kbps程度)で配信されている既存の定額配信サービスを聴き比べてみると、音質の違いは歴然としている。
MP3やAACなどのデジタル圧縮は、効率を追求する用途には適した技術だと思う。しかし、高レートを選べば平均値的な音の良さを確保できる反面、けっして万能とはいえず、原音通りに再生しきれないケースも少なくない。再生帯域の制約からアタックが鈍ったり音色が変化することがあるし、微小信号や空間情報の再現も難しい。音の鮮度が鈍ったり、遠近感が伝わりにくいなど、圧縮された信号特有のもどかしさは拭いきれないのだ。
一方、Deezer HiFiで同じ曲を聴くと、一音一音の粒立ちが鮮明になって本来の鮮度が蘇り、アコースティック楽器の音色はくすみやにじみのない鮮明な音に生まれ変わる。
■Deezer HiFiのロスレス再生は音の鮮度が高く、ロッシーとの音質差も予想以上
具体的な例を挙げよう。以下はいずれも筆者試聴室のメインシステムで聴いた印象で、Deezer Desktop(ベータ版)をインストールしたMacBook Proで再生し、USB-DACはエソテリック「K-01X」とRME「ADI-2PRO」を使用した。
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