公開日 2018/05/10 11:59
AKG「N5005」とハイレゾDAPの相性チェック、注目の3モデルで“懐の深い”サウンドを徹底レビュー
FiiO/ソニー/COWONのプレーヤーで比較
この春注目のハイエンドイヤホンとして挙げられるAKG「N5005」。ダイナミック型ドライバーとバランスド・アーマチュア型(以下、BA型)ドライバーを組み合わせたハイブリッド型の一つの到達点といえる「K3003」と並び立つハイエンドモデルとして、多くのリスナーの関心を集めている。
今回はN5005と発売日、価格帯が近いハイレゾDAP3機種と組み合わせ、バランス駆動におけるクオリティを含め、そのサウンド表現の魅力を探ってみたい。
まず簡単にN5005の概要を紹介しておく。低域用に9.2mmダイナミック型ドライバー、中高域用にBA型ドライバーを4基備えた4ウェイ5ドライバー構成であり、電気的なクロスオーバー・ネットワークを用いず、アコースティックな要素だけで各ドライバーのサウンドを融合させるK3003と同じ手法を取り入れ、シームレスな音の繋がりを実現。4パターンが用意されたメカニカル・チューニング・フィルターによってお好みのサウンド調整ができる点もK3003から受け継がれた独自性である。
ただ一点、K3003と大きく異なるのはMMCXプラグによるリケーブル対応であるか否かだ。N5005にはiOS/Android両対応のリモコン付き標準ケーブルのほか、同じ線材・構成を用いる2.5mm・4極バランス駆動用ケーブル、さらにはaptXコーデック対応のBluetooth接続用ケーブル、そして日本国内仕様のみ、AKG純正リケーブルである6N-OFC導体を用いた高品位なφ3.5mmストレートケーブル「CN120-3.5」が同梱される。
組み合わせ機器として用意したモデルは、ユニークなアンプモジュール交換方式を採用したFiiOのフラグシップ機「X7 MarkII」、4.4mmバランス駆動出力を搭載したミドルクラス機として人気のソニー「NW-ZX300」、そしてハイエンドDACチップAKM製「AK4497EQ」を搭載するCOWONの「PLENUE 2 MarkII」である。
試聴においてはメカニカル・チューニング・フィルターを標準装備のREFERENCE SOUNDに固定。シングルエンド接続用のケーブルはCN120-3.5を選んでいる。バランス駆動時のチェックについてはX7 MarkII(アンプモジュールは2.5mmバランス出力を持つ「AM3A」)、PLENUE 2 MarkIIは同梱されている2.5mm・4極プラグ仕様のケーブルを使用。NW-ZX300についてはPW AUDIOの4.4mm→2.5mm変換アダプターを介し、同梱バランス駆動用ケーブルで接続した。
■AKGならではの空間性を楽しませる「N5005」+「X7 MarkII」
まずX7 MarkIIはDACチップにESS製「ES9028PRO」を積んだ384kHz/32bit PCM & 11.2MHz DSDネイティブ対応DAPで、アンプモジュールを交換することでバランス駆動用ジャックの種類やより高出力なアンプを搭載したものなど、必要に応じてユーザーレベルで変更できることが最大の個性である。
N5005をシングルエンド接続で繋いだサウンドは豊かなベースの押し出しと高域の華やいだ響きがバランスよくまとまり、ヌケ良く爽やかな傾向だ。オーケストラの管弦楽器はボトムの厚みを引き出しつつ、余韻をキレ良く表現。旋律の鮮度感やハリ良い爽やかな輪郭感も艶良くウェットに描き、ローエンドの豊かな量感によってリッチな響きに満たされる。
ジャズのウッドベースは胴鳴りが深く響き、力強い存在感を放つ。ピアノやホーンセクションはヌケ良くブライトで軽やかに浮き立ってくる。ボーカルも口元をシャープに際立たせるが、ボトム感もしっかりと残し、滑らかな質感で描き出す。ロック音源はリズム隊のグリップ力が高く、ずっしりとした密度感を持たせている。エレキギターのリフは軽快で、倍音の響きは煌びやかだ。11.2MHz DSD音源はバランス良く艶やかな音像と、軽快で澄み切った高域の清らかな響きが印象的。低域方向の解像度はもう一つという感触だが、全体の明瞭度は高く、クリアな音場感を得ることができた。
しかしバランス駆動ではそうしたマイナス要素を払拭する、制動性の高いサウンドになる。音像の引き締め効果も高くS/Nも良い。硬質な高域描写となるが、シンバルの余韻など微細な表現の階調性、分離度が高まり、音場のクリアさも向上。引き締まったウッドベースは弦の艶感をより良く描き、ボーカルの息継ぎもリアルに感じられる。ロックのリズム隊もアタックのキレ味が増し、シンセの煌びやかさが一層際立つ。管弦楽器の旋律も鮮度良くウェットにまとまり、ハキハキとエッジの利いた輪郭を見せる。AKGならではの澄み切った空間性も感じられ、丁寧かつリアルなサウンドとなった。
今回はN5005と発売日、価格帯が近いハイレゾDAP3機種と組み合わせ、バランス駆動におけるクオリティを含め、そのサウンド表現の魅力を探ってみたい。
まず簡単にN5005の概要を紹介しておく。低域用に9.2mmダイナミック型ドライバー、中高域用にBA型ドライバーを4基備えた4ウェイ5ドライバー構成であり、電気的なクロスオーバー・ネットワークを用いず、アコースティックな要素だけで各ドライバーのサウンドを融合させるK3003と同じ手法を取り入れ、シームレスな音の繋がりを実現。4パターンが用意されたメカニカル・チューニング・フィルターによってお好みのサウンド調整ができる点もK3003から受け継がれた独自性である。
ただ一点、K3003と大きく異なるのはMMCXプラグによるリケーブル対応であるか否かだ。N5005にはiOS/Android両対応のリモコン付き標準ケーブルのほか、同じ線材・構成を用いる2.5mm・4極バランス駆動用ケーブル、さらにはaptXコーデック対応のBluetooth接続用ケーブル、そして日本国内仕様のみ、AKG純正リケーブルである6N-OFC導体を用いた高品位なφ3.5mmストレートケーブル「CN120-3.5」が同梱される。
組み合わせ機器として用意したモデルは、ユニークなアンプモジュール交換方式を採用したFiiOのフラグシップ機「X7 MarkII」、4.4mmバランス駆動出力を搭載したミドルクラス機として人気のソニー「NW-ZX300」、そしてハイエンドDACチップAKM製「AK4497EQ」を搭載するCOWONの「PLENUE 2 MarkII」である。
試聴においてはメカニカル・チューニング・フィルターを標準装備のREFERENCE SOUNDに固定。シングルエンド接続用のケーブルはCN120-3.5を選んでいる。バランス駆動時のチェックについてはX7 MarkII(アンプモジュールは2.5mmバランス出力を持つ「AM3A」)、PLENUE 2 MarkIIは同梱されている2.5mm・4極プラグ仕様のケーブルを使用。NW-ZX300についてはPW AUDIOの4.4mm→2.5mm変換アダプターを介し、同梱バランス駆動用ケーブルで接続した。
■AKGならではの空間性を楽しませる「N5005」+「X7 MarkII」
まずX7 MarkIIはDACチップにESS製「ES9028PRO」を積んだ384kHz/32bit PCM & 11.2MHz DSDネイティブ対応DAPで、アンプモジュールを交換することでバランス駆動用ジャックの種類やより高出力なアンプを搭載したものなど、必要に応じてユーザーレベルで変更できることが最大の個性である。
N5005をシングルエンド接続で繋いだサウンドは豊かなベースの押し出しと高域の華やいだ響きがバランスよくまとまり、ヌケ良く爽やかな傾向だ。オーケストラの管弦楽器はボトムの厚みを引き出しつつ、余韻をキレ良く表現。旋律の鮮度感やハリ良い爽やかな輪郭感も艶良くウェットに描き、ローエンドの豊かな量感によってリッチな響きに満たされる。
ジャズのウッドベースは胴鳴りが深く響き、力強い存在感を放つ。ピアノやホーンセクションはヌケ良くブライトで軽やかに浮き立ってくる。ボーカルも口元をシャープに際立たせるが、ボトム感もしっかりと残し、滑らかな質感で描き出す。ロック音源はリズム隊のグリップ力が高く、ずっしりとした密度感を持たせている。エレキギターのリフは軽快で、倍音の響きは煌びやかだ。11.2MHz DSD音源はバランス良く艶やかな音像と、軽快で澄み切った高域の清らかな響きが印象的。低域方向の解像度はもう一つという感触だが、全体の明瞭度は高く、クリアな音場感を得ることができた。
しかしバランス駆動ではそうしたマイナス要素を払拭する、制動性の高いサウンドになる。音像の引き締め効果も高くS/Nも良い。硬質な高域描写となるが、シンバルの余韻など微細な表現の階調性、分離度が高まり、音場のクリアさも向上。引き締まったウッドベースは弦の艶感をより良く描き、ボーカルの息継ぎもリアルに感じられる。ロックのリズム隊もアタックのキレ味が増し、シンセの煌びやかさが一層際立つ。管弦楽器の旋律も鮮度良くウェットにまとまり、ハキハキとエッジの利いた輪郭を見せる。AKGならではの澄み切った空間性も感じられ、丁寧かつリアルなサウンドとなった。
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