公開日 2020/09/03 06:30
LINN10年の進化を継承、さらに劇的変化を遂げた「MAJIK DSM/4」を徹底レビュー
【特別企画】“超軽量”のアンプ一体型プレーヤー
■SELEKTの意匠を踏襲、フォノ入力も持つ新たなアンプ一体型ネットワークプレーヤー
リンのMAJIKがモデルチェンジしてMAJIK DSM/4に切り替わった。新しい製品名から、ネットワークプレーヤーとアンプを統合したDSM仕様を継承していること、そして初代機のMAJIK DSMから数えて5世代目を迎えたことがわかる。末尾の数字が変わっただけなので従来路線を受け継ぐ更新と考えがちだが、実は今回、内容・外装ともに劇的な変化を遂げている。変わらないのは名前だけと言っても大げさではない。
リンのネットワークオーディオ製品はKLIMAX、AKURATE、MAJIKの3シリーズ展開が長かったが、新コンセプトのSELEKTが2018年に加わり、4シリーズ構成に拡大した。そのなかでエントリーグレードを担うMAJIKが初代機登場以来の変貌を遂げた背景には、ひと足早く提案されたSELEKT DSMの存在がある。新しいDACアーキテクチャやクラスDアンプを大胆に投入し、大型ディスプレイや新機軸の操作ボタンで使い勝手を一新。ハンドリングしやすい小型ボディに豊富な機能を凝縮し、クオリティと使い勝手の両方でネットワークオーディオの新基準を作り上げた重要な製品だ。
SELEKT DSMは機能と性能の選択肢を複数用意したモジュール設計にこだわりがあるが、それを通常の設計に落とし込んで低コスト化を図ったのが、今回の新しいMAJIK DSMである。
デザインもダイヤル部以外はSELEKT DSMとそっくりだし、DSD対応の最新DAC、35bitデジタルボリューム、ビスポーク製クラスDアンプなど、音質を左右する基幹技術はSELEKT DSMの標準仕様とほぼ同等。フォノイコライザーアンプをURIKA II譲りのアナログ・デジタルハイブリッド回路に格上げするなど、最先端の技術も積極的に投入した。スピーカーを用意するだけでシステムが完成する1BOXのコンセプトを貫きながらも、クオリティ志向はMAJIKシリーズのなかで最も強い。
モジュール設計ではないので当然だが、割り切った部分もある。DACのアップグレードやサラウンド仕様への拡張はできないし、アンプ増設に備えた電源回路(ダイナミックパワーサプライ)の強化が不要なので、必要な容量だけでまかなっている。350W×350D×100Hmmの筐体サイズはほぼ共通だが、MAJIK DSMの質量は4.1kg、アンプ内蔵のSELEKT DSMの約半分しかない。
そもそもモジュール設計に比べて機構部品が少ないし、ガラス製ダイヤルをカーソルボタンに変更したり、ケースのアルミ板厚を少し薄くするなど、音質への影響を抑えながらの軽量化と簡素化も進めている。スピーカー端子の間隔が狭いなど、小型ボディならではの短所もあるが、バナナプラグを使えば済むので実用上は問題なさそうだ。
入出力はデジタルの比重が高い。イーサネット/同軸/光/USB-Bに加えて4入力1出力のHDMI(ARC)端子を装備し、Wi-FiとBluetoothにも対応する。アナログ入力は1系統のみだが、メニューでフォノ(MM)入力にも切り替えられる。リンの現行製品の大半が装備するEXAKT LINK端子も省略された。パッシブ型の一般的なスピーカーとの組み合わせをメインに据えていることが理由だろう。
MAJIK DSMがカバーする音源は着実に増えている。オーディオ用NASからのストリーミング再生に加え、TIDAL、Qobuzなど複数の高音質ストリーミングがハイレゾ再生のメインになる(Amazon Music HDはアップデートで対応予定)。Roonも独自伝送規格で引き続き対応しているし、Airplay 2のサポートも予定。複数のデジタル入力をCDプレーヤーやポータブルオーディオ機器との接続に活用すれば、1系統のみのアナログ入力をフォノ専用に割り当てられる。
HDMI接続でテレビ(ARC)、BDプレーヤー、ゲーム機など多彩な映像機器がつながるのは、SELEKT DSMと同様、リンの製品ならではのアドバンテージで、リビングルームでの用途が一気に広がる。そのほか、パソコン用にUSB-B端子も付いているし、有線接続が難しい環境ではWi-Fiでネットにつなぐこともできる。スマホの音源を手軽に楽しみたいときはBluetooth(4.2)が使えるが、aptX HD、LDAC、AACには対応していない。
■MAJIK最新スピーカー140 SEと組み合わせ。ナチュラルで誇張のない音調
本体が小さいのでコンパクトなスピーカーと組み合わせたくなるが、今回はあえてフロア型のMAJIK 140 SEを用意した。スタガード接続されたツインウーファーが繰り出す低音はすこぶる反応が良く、俊敏な動きにクラスDアンプの長所を実感。ボリュームを上げてもベースがふくらまず、アタックがぶれないことにも感心した。スペースに余裕があれば、このサイズのスピーカーと組んでスケールの大きなサウンドを狙うのはありだと思う。
フル編成のオーケストラを聴けば、それが大げさでないことがわかる。下支えが厚く、トゥッティの音圧は部屋の空気を一瞬で動かすほど余裕がある。基板上でパワーアンプ回路が占める面積があまりに小さいので心配していたのだが、チャンネルあたり100Wという数字は伊達ではなかった。
リンのMAJIKがモデルチェンジしてMAJIK DSM/4に切り替わった。新しい製品名から、ネットワークプレーヤーとアンプを統合したDSM仕様を継承していること、そして初代機のMAJIK DSMから数えて5世代目を迎えたことがわかる。末尾の数字が変わっただけなので従来路線を受け継ぐ更新と考えがちだが、実は今回、内容・外装ともに劇的な変化を遂げている。変わらないのは名前だけと言っても大げさではない。
リンのネットワークオーディオ製品はKLIMAX、AKURATE、MAJIKの3シリーズ展開が長かったが、新コンセプトのSELEKTが2018年に加わり、4シリーズ構成に拡大した。そのなかでエントリーグレードを担うMAJIKが初代機登場以来の変貌を遂げた背景には、ひと足早く提案されたSELEKT DSMの存在がある。新しいDACアーキテクチャやクラスDアンプを大胆に投入し、大型ディスプレイや新機軸の操作ボタンで使い勝手を一新。ハンドリングしやすい小型ボディに豊富な機能を凝縮し、クオリティと使い勝手の両方でネットワークオーディオの新基準を作り上げた重要な製品だ。
SELEKT DSMは機能と性能の選択肢を複数用意したモジュール設計にこだわりがあるが、それを通常の設計に落とし込んで低コスト化を図ったのが、今回の新しいMAJIK DSMである。
デザインもダイヤル部以外はSELEKT DSMとそっくりだし、DSD対応の最新DAC、35bitデジタルボリューム、ビスポーク製クラスDアンプなど、音質を左右する基幹技術はSELEKT DSMの標準仕様とほぼ同等。フォノイコライザーアンプをURIKA II譲りのアナログ・デジタルハイブリッド回路に格上げするなど、最先端の技術も積極的に投入した。スピーカーを用意するだけでシステムが完成する1BOXのコンセプトを貫きながらも、クオリティ志向はMAJIKシリーズのなかで最も強い。
モジュール設計ではないので当然だが、割り切った部分もある。DACのアップグレードやサラウンド仕様への拡張はできないし、アンプ増設に備えた電源回路(ダイナミックパワーサプライ)の強化が不要なので、必要な容量だけでまかなっている。350W×350D×100Hmmの筐体サイズはほぼ共通だが、MAJIK DSMの質量は4.1kg、アンプ内蔵のSELEKT DSMの約半分しかない。
そもそもモジュール設計に比べて機構部品が少ないし、ガラス製ダイヤルをカーソルボタンに変更したり、ケースのアルミ板厚を少し薄くするなど、音質への影響を抑えながらの軽量化と簡素化も進めている。スピーカー端子の間隔が狭いなど、小型ボディならではの短所もあるが、バナナプラグを使えば済むので実用上は問題なさそうだ。
入出力はデジタルの比重が高い。イーサネット/同軸/光/USB-Bに加えて4入力1出力のHDMI(ARC)端子を装備し、Wi-FiとBluetoothにも対応する。アナログ入力は1系統のみだが、メニューでフォノ(MM)入力にも切り替えられる。リンの現行製品の大半が装備するEXAKT LINK端子も省略された。パッシブ型の一般的なスピーカーとの組み合わせをメインに据えていることが理由だろう。
MAJIK DSMがカバーする音源は着実に増えている。オーディオ用NASからのストリーミング再生に加え、TIDAL、Qobuzなど複数の高音質ストリーミングがハイレゾ再生のメインになる(Amazon Music HDはアップデートで対応予定)。Roonも独自伝送規格で引き続き対応しているし、Airplay 2のサポートも予定。複数のデジタル入力をCDプレーヤーやポータブルオーディオ機器との接続に活用すれば、1系統のみのアナログ入力をフォノ専用に割り当てられる。
HDMI接続でテレビ(ARC)、BDプレーヤー、ゲーム機など多彩な映像機器がつながるのは、SELEKT DSMと同様、リンの製品ならではのアドバンテージで、リビングルームでの用途が一気に広がる。そのほか、パソコン用にUSB-B端子も付いているし、有線接続が難しい環境ではWi-Fiでネットにつなぐこともできる。スマホの音源を手軽に楽しみたいときはBluetooth(4.2)が使えるが、aptX HD、LDAC、AACには対応していない。
■MAJIK最新スピーカー140 SEと組み合わせ。ナチュラルで誇張のない音調
本体が小さいのでコンパクトなスピーカーと組み合わせたくなるが、今回はあえてフロア型のMAJIK 140 SEを用意した。スタガード接続されたツインウーファーが繰り出す低音はすこぶる反応が良く、俊敏な動きにクラスDアンプの長所を実感。ボリュームを上げてもベースがふくらまず、アタックがぶれないことにも感心した。スペースに余裕があれば、このサイズのスピーカーと組んでスケールの大きなサウンドを狙うのはありだと思う。
フル編成のオーケストラを聴けば、それが大げさでないことがわかる。下支えが厚く、トゥッティの音圧は部屋の空気を一瞬で動かすほど余裕がある。基板上でパワーアンプ回路が占める面積があまりに小さいので心配していたのだが、チャンネルあたり100Wという数字は伊達ではなかった。