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公開日 2021/10/22 06:30

どこまでも“オーディオ思想”、名手AIRPULSEが放つ新境地のBluetoothスピーカー「P100X」レビュー

【PR】ついに実用化の「Air-Blade」搭載機
土方久明
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スピーカーブランドとしての確かな実績を持ち、日本でも人気の高いAIRPULSE(エアパルス)。同社は銘機「A80」でアクティブスピーカーというジャンルの評価を塗り替えたが、この度Bluetoothスピーカーにも意欲作を打ち出した。モダンなフォルムとは裏腹に、妥協無き設計の数々はまさにピュアオーディオグレード。この最新機「P100X」の実力を早速レポートしたい。


モダンな意匠と同居するこだわり抜かれたユニット構造

アクティブスピーカーの固定概念を崩したアイテムの1つである「A80」で知られる、新進気鋭のスピーカーブランド エアパルス。同社のR&Dのトップエンジニアとして参画するフィル・ジョーンズ氏は、かつてアコースティックエナジー社在籍時代に手がけた「AE1」「AE2」や、ハイエンドスピーカーブランドのプラチナム・オーディオ社のオールホーン型スピーカー「Air Pulse 3.1」を設計した伝説的なスピーカー設計者だ。

A80に続くラインナップとして、その上位機種となる「A100 BT5.0」および「A300Pro」が発売され好評を博しているが、今回紹介するP100Xはアクティブスピーカーではなく、Bluetoothスピーカーである。これまでのプロダクト同様、妥協の無い設計で組み上げられた本機の特徴を1つ1つ見ていきたい。

AIRPULSE「P100X」(OPEN・予想実売税込価格97,700円前後)

実際のところ、P100Xは大変ユニークな内容を持つ。興味深いのはそのデザインで、パッと見るとまるで70年代のラジオである。外径寸法は300W×180H×200Dmmで、キャビネットはU字の美しい曲線を描き、サランネットも古き良き時代を感じさせる凝ったデザイン。本体下部には左側に電源スイッチ、右側にはベース、トレブル、ボリュームがある。このように外装はクラシックな面持ちで、ベーシックな部分でのデザインバランスがとれていることや、素材の使い分けにより、雰囲気の良い外観に仕上がっている。まるで、伝統のある高級ホテルの一室に置かれるような意匠だ。

モダンな風合いを感じさせるサランネットのパターン。また、フロントにはベース、トレブル、ボリュームの調節キーが備えられている

Bluetooth/LINE入力切り替えが可能な専用リモコンを付属する

ユニット構成をざっと説明すると、L/R独立のトゥイーターが各1基、ウーファーが1基、パッシブラジエーター1基という構成で、Texas Instrument社製のデジタル・パワーアンプで駆動される。音声入力系統は、BluetoothまたはRCAインターコネクト端子の2つ。電源、ボリューム、入力切り替えが可能なコンパクトな専用リモコンが付属する。

と、ここまで見る限りP100Xは、「モダンデザインを採用したワンボディのBluetoothスピーカー」というエアパルスらしからぬ構成だが、いやいや、とんでもない。P100Xの真の能力は内蔵されたドライバーユニットにある。

現代の工作精度によってようやく実現した特許取得の新技術

特に最大の特徴はトゥイーター周りだ。本ドライバーユニットは、フィル・ジョーンズがボストン・アコースティック社在籍時の1991年に設計した楕円形ドライバーユニットを、事実上初めて搭載した製品となる。それが、特許取得の「Air-Bladeトゥイーター」である。

楕円形ボイスコイルを用いた特許取得技術「Air-Bladeトゥイーター」

本ドライバーユニットは大きく2つの技術的特徴がある。まず1つ目は、ドライバーユニット形状が可能にした水平/垂直方向への広大な指向性で、特に水平方向への分散能力に優れているとされる。もうひとつは、レスポンス特性がフラットな事が特徴で、その能力は可聴帯域外の周波数レンジまで及ぶという。

なお「事実上」と書いたのは、ボストン・アコースティック社在籍時代にフィル・ジョーンズは、本ユニットを搭載した試作スピーカーを作り出しているからだ。しかしその当時の技術では、1/100mm単位の工作精度が必要な楕円形ボイスコイルとマグネットを製作するには、驚くほどのコストが必要で、実用化ができなかった。工作技術が進んだ現在だからこそ、搭載可能になったユニットだという。

またウーファーユニットは、硬質アルマイト処理アルミニウム合金コーン振動板を、軽量化された30mm径の大型アルミ製ボイスコイルとネオジム磁気回路により強力に駆動。ウーファー部は鍛造マグネシウム合金フレームによってキャビネットに取り付けられている。さらに、リアパネルに装着されたパッシブラジエーターにより、低域の再生能力を向上させているのもポイントだ。

30mm径の大型アルミ製ボイスコイルとネオジム磁気回路により強力に駆動されるウーファーユニット

筐体内には2基のTexas Instrument社製TAS5805M Class-Dステレオ・アンプを搭載し、それをBTL接続で使用。1基のミッド・ウーファーと2基のAir-Bladeトゥイーターをドライブし、DSPを使用したクロスオーバーネットワーク/ダイナミックレンジ・コントロール機能が組み合わされる。また、RCAアナログ入力された信号についても、TI社製の最高級ADコンバーター「PCM1802」により、96kHzのサンプルレートでAD変換される。

内部配線も贅を極めており、ハイエンドスピーカーでも採用例の少ないトランスペアレント製ケーブルによる配線を使用した上、圧着端子を使わないハンダ直付けでスピーカーユニットと接続されている。

次ページオーディオファイルが聞いても納得の音質に迫る!

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