公開日 2021/11/05 06:30
ティグロンの新世代ラック「グランドマグネシア」レビュー。機器のポテンシャルを120%発揮させる確かな安定感
【特別企画】最新メソッドを傾注したフラグシップモデル
ティグロンの最新オーディオラック「GRAND MAGNESIA(グランドマグネシア)」。音質効果はもちろん、スタック式を採用したことによる組み合わせやすさも大きな特徴だ。小原由夫氏は、このラックに並々ならぬ関心を抱いたオーディオ評論家の一人。前作「MAGNESIA」から大幅な音質アップを実現したこのモデルの実力をレポートしよう。
TIGLON GRAND MAGNESIA
オーディオラック
「GMR-1」(1段) 72,600円(税込)
「GMR-2」(2段) 145,200円(税込)
「GMR-3」(3段) 217,800円(税込)
「GMR-4」(4段) 290,400円(税込)
「GMR-5」(5段) 363,000円(税込)
■積み重ね式で利便性をアップ。スパイクやリングなどでさらなる振動抑制を実現
独自の視点に基づく電源ケーブルやインターコネクトケーブル、スピーカースタンド等でお馴染みのティグロンから、最新のメソッドとノウハウを傾注した同社最高峰のオーディオラック「GRAND MAGNESIA(グランドマグネシア)」が登場した。これは、2009年に発売されベストセラーとなった「MAGNESIA(マグネシア)シリーズ」の音質を大幅に進化したもので、この10年あまりの成果を盛り込んだフラグシップモデルとなっている。
まずは具体的な進化点、改善ポイントを見ていこう。各段はいわゆるスタッキング式、積み重ねて連結していくタイプで、一体構造ではない。ただし、デザイン等のベーシックなイメージは従来型を踏襲している。
棚板は専用設計のロシアンバーチ材で、材料内に含まれる水分量を個別に調整し、微細な振動対策として新開発のチューニングフィルムを4辺に装着した。また、機器間の共振抑制を図るために新開発の「GMRスパイク」を採用。
19年に特許を取得したチューニングリング「D-REN RING」をマグネシウム合金支柱の中央に装着することにより、セパレーション構造の徹底化と相まって、広帯域にわたる振動抑制と静電対策を実現している。
マグネシウム合金支柱は円筒型の二重構造。従来型はその内部に超微粒の砂を充填していたが、より徹底的に全帯域の振動をコントロールすべく、新開発の「特殊シリコン素材」に変更。スパイクベースも新開発だ。ラック全体の振動対策と設置の安定性を鑑みて、O接点マグネシウム合金製スパイク受け「GMR-BASE」を装備している。
既成のセットは1段から5段まで5タイプあり、支柱の長さは70/150/200/280/330mmの5種類から選択可能。これらのマグネシウム合金支柱はパーツとして4本セットにて別売もされ、使用機器が将来入れ替わった際にも柔軟に対応できる。棚板やスパイクベースGMR-BASEも別売対応。
なお、従来品のマグネシアユーザー向けにグレードアップ・サービスも検討されているという。
■オーディオ機器のポテンシャルを120%発揮させることが重要
私個人のオーディオラックの認識は、オーディオ機器の持つポテンシャルをスポイルすることなく、その本領が120%発揮されるようなサポートをすること。もちろんデザインや仕上げも重要だが(機器との視覚的マッチングも無視できない)、設置した機器の性能を湾曲したり、偏ったキャラクターを付け加えたりするのはもっての外。特定のクセを強調するようなこともあってはならない。
そうした点から見ても、ティグロンGMRシリーズは安心が持てるというのが第一印象であった。今回のテストでは、最上段にテクニクスのアナログプレーヤー「SL-1000R」を置き、下段にアキュフェーズのフォノイコライザー「C-47」を設置したが、繊細なニュアンスをていねいに描写すると共に、どっしりと安定したエネルギーバランスを提示し、機材の性質を阻害するようなことがないことがまず確認できたからだ。
比較対象として、日本市場で長年定評のある欧州メーカー製のラックを準備した。低域のエネルギー感は、他社モデルでは若干の膨らみが感じられたが、GMRは引き締まっている。贅肉がなく、レスポンスが鋭く感じられた。また、重心が低く感じられたのはGMRで、他社モデルはヒップポイントが少し高めに感じる。音像定位についてもフォルムの隈取りがより克明。
周波数レンジ感も広く高域の抜けも良好だが、最も顕著なのはローエンドの伸びだ。オーケストラを試聴して顕著に実感できたが、GMRは深々とした、しかも澄んだクリアな低域がスムーズに繰り出されてくるのである。
オーディオコンポーネントの入れ替えと違って、オーディオラックの交換は大がかりな作業を伴うのでそう簡単ではない。しかし、それだけに望んでいた成果が得られた時の喜びはひとしおともいえる。ティグロンGMRシリーズは、そんな感興が味わえるオーディオラックといえそうだ。
(提供:ティグロン)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.182』からの転載です
オーディオラック
「GMR-1」(1段) 72,600円(税込)
「GMR-2」(2段) 145,200円(税込)
「GMR-3」(3段) 217,800円(税込)
「GMR-4」(4段) 290,400円(税込)
「GMR-5」(5段) 363,000円(税込)
■積み重ね式で利便性をアップ。スパイクやリングなどでさらなる振動抑制を実現
独自の視点に基づく電源ケーブルやインターコネクトケーブル、スピーカースタンド等でお馴染みのティグロンから、最新のメソッドとノウハウを傾注した同社最高峰のオーディオラック「GRAND MAGNESIA(グランドマグネシア)」が登場した。これは、2009年に発売されベストセラーとなった「MAGNESIA(マグネシア)シリーズ」の音質を大幅に進化したもので、この10年あまりの成果を盛り込んだフラグシップモデルとなっている。
まずは具体的な進化点、改善ポイントを見ていこう。各段はいわゆるスタッキング式、積み重ねて連結していくタイプで、一体構造ではない。ただし、デザイン等のベーシックなイメージは従来型を踏襲している。
棚板は専用設計のロシアンバーチ材で、材料内に含まれる水分量を個別に調整し、微細な振動対策として新開発のチューニングフィルムを4辺に装着した。また、機器間の共振抑制を図るために新開発の「GMRスパイク」を採用。
19年に特許を取得したチューニングリング「D-REN RING」をマグネシウム合金支柱の中央に装着することにより、セパレーション構造の徹底化と相まって、広帯域にわたる振動抑制と静電対策を実現している。
マグネシウム合金支柱は円筒型の二重構造。従来型はその内部に超微粒の砂を充填していたが、より徹底的に全帯域の振動をコントロールすべく、新開発の「特殊シリコン素材」に変更。スパイクベースも新開発だ。ラック全体の振動対策と設置の安定性を鑑みて、O接点マグネシウム合金製スパイク受け「GMR-BASE」を装備している。
既成のセットは1段から5段まで5タイプあり、支柱の長さは70/150/200/280/330mmの5種類から選択可能。これらのマグネシウム合金支柱はパーツとして4本セットにて別売もされ、使用機器が将来入れ替わった際にも柔軟に対応できる。棚板やスパイクベースGMR-BASEも別売対応。
なお、従来品のマグネシアユーザー向けにグレードアップ・サービスも検討されているという。
■オーディオ機器のポテンシャルを120%発揮させることが重要
私個人のオーディオラックの認識は、オーディオ機器の持つポテンシャルをスポイルすることなく、その本領が120%発揮されるようなサポートをすること。もちろんデザインや仕上げも重要だが(機器との視覚的マッチングも無視できない)、設置した機器の性能を湾曲したり、偏ったキャラクターを付け加えたりするのはもっての外。特定のクセを強調するようなこともあってはならない。
そうした点から見ても、ティグロンGMRシリーズは安心が持てるというのが第一印象であった。今回のテストでは、最上段にテクニクスのアナログプレーヤー「SL-1000R」を置き、下段にアキュフェーズのフォノイコライザー「C-47」を設置したが、繊細なニュアンスをていねいに描写すると共に、どっしりと安定したエネルギーバランスを提示し、機材の性質を阻害するようなことがないことがまず確認できたからだ。
比較対象として、日本市場で長年定評のある欧州メーカー製のラックを準備した。低域のエネルギー感は、他社モデルでは若干の膨らみが感じられたが、GMRは引き締まっている。贅肉がなく、レスポンスが鋭く感じられた。また、重心が低く感じられたのはGMRで、他社モデルはヒップポイントが少し高めに感じる。音像定位についてもフォルムの隈取りがより克明。
周波数レンジ感も広く高域の抜けも良好だが、最も顕著なのはローエンドの伸びだ。オーケストラを試聴して顕著に実感できたが、GMRは深々とした、しかも澄んだクリアな低域がスムーズに繰り出されてくるのである。
オーディオコンポーネントの入れ替えと違って、オーディオラックの交換は大がかりな作業を伴うのでそう簡単ではない。しかし、それだけに望んでいた成果が得られた時の喜びはひとしおともいえる。ティグロンGMRシリーズは、そんな感興が味わえるオーディオラックといえそうだ。
(提供:ティグロン)
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.182』からの転載です