公開日 2023/05/24 06:30
革新的な最新アンプ技術を“オーディオマインド”をくすぐるデザインに凝縮。HiFi ROSEの魅力に大興奮!
【特別企画】GaNを採用し万全のノイズ対策を実施
精密感溢れるデザインが特徴の、韓国HiFi ROSEが手がけるプリメインアンプ「RA180」。次世代GaN FETを応用したAD級モノラルアンプ4系統を内蔵するなど、最新鋭のアンプ技術が盛り込まれている。トラディショナルな外観と革新的な最新技術を両立した本機の魅力に土方久明氏が迫る!
2022年10月28日〜30日に開催された東京インターナショナルオーディオショウ。トライオードブースの一角で来場者が目を留めていたひとつの製品があった。アジアの新進気鋭ブランド、HiFi ROSE(ハイファイローズ)のプリメインアンプ「RA180」である。斬新かつトラッドなそのシャーシに惹かれ、「音質はどうなの?」「デザインだけでも欲しくなる」と様々な来場者たちが声を上げていた。
本機でまず目に付くのが、オーディオ黄金時代を彷彿とさせるフロントフェイス。まるでスイスの時計職人が作ったような精密なスイッチやノブが満載されている、視覚的なメッセージ抜群のデザインだ。左側のスイッチから説明すると、ソースセレクター、トレブル/バス/バランスの調整ノブ、H/Fクロスオーバー、フォノイコライザーの調整部、左/右チャンネルのレベルメーターを装備。そして4つのギアと連動する。ボリューム、ディマースイッチ、サブソニック、アッテネーター、スピーカー切り替えである。
さらに、それぞれのノブやスイッチの多くに、白熱灯の色温度に絶妙に調整されたLEDが仕込まれ、モダン・ヴィンテージの雰囲気を高めている。単に懐かしいだけではなくベーシックな部分でのデザインバランスに優れ、ノブなどの細部の造形も洗練されており、とにかくカッコ良い。
もちろん、来場者たちは外観だけに惹かれたわけではない。RA180はスペック的にもかなり攻めた内容だ。4つの独立したモノアンプ(左右のチャンネルごとに2つ)を備えた4パワーアンプ構成で、BTL(ブリッジ)モードでは、2チャンネルで400W、4チャンネルを単体駆動させると各チャンネル200Wをギャランティする。
背面には合計8系統のスピーカー出力端子を備えており、2系統の個別のスピーカーを接続したり、バイワイヤリング対応のスピーカーをバイアンプ駆動したり、さらに、「H/F CROSSOVER」モジュールを搭載している。端的にいえば、RA180はクロスオーバー機能を実装しているのだ。これにより本機1台でハイマニアの憧れであるスピーカーのマルチチャンネル駆動にも対応してしまう。なんというオーディオライクな構成だろうか。
そして音質対策にも独自のこだわりが見える。一般的なアンプでは搭載例が少ない窒化ガリウム(GaN)FETトランジスタを採用することで、電流のオーバーシュートが少なくトランジェントに優れた特性を発揮。加えてリンギング歪みやEMI(電磁干渉)対策が徹底され、正確なスイッチング駆動を実現している。
また電源部にはSiC(シリコンカーバイド)FET技術による独自のPFC回路が搭載されたことで、電流と電圧間の位相を揃えた良質なパワーサプライに。電源部が大きな音質的ウエイトを占めるプリメインアンプにおいて、上述したような良質なパーツの搭載は大きなストロングポイントとなるだろう。
入力はRCAシングルエンドが3系統、XLRバランスが1系統、PHONO入力が1系統ある。フォノイコライザー回路周りにも注目点があり、MC/MMのRIAAカーブ対応フォノイコライザー回路が内蔵されているのだが、フロントの調整パネルからターンオーバーを可変できる。
RA180と対面、改めてなんと存在感があるデザインだろうか。オーディオルームに設置したら、すばらしく映えそうだ。僕にとってデザインで最もインパクトがあったオーディオ製品はナカミチのDATシステム「Nakamichi 1000/1000P」だったが、それを思い出す。
試聴開始。今回はアナログ再生をメインとして環境を構築した。フェーズメーション「PP-2000」を装着したテクニクスのアナログプレーヤー「SL-1000R」と、スピーカーはB&W「803 D4」という手強い相手だ。しかし、RA180の再生音はその秀逸な外観同様に素晴らしいものがあった。
現代ポップスで人気の女性ヴォーカル、手島葵『Highlights from Simple is best』は、現代的な描写力を持つハイファイな音作りのタイトルだが、ヴォーカルが感情的に聴こえ、ピアノなどの高域から低域にかけてのグラデーションの描きわけも秀逸。
ジョン・ウィリアムズ&ベルリン・フィルは、D級アンプの利点である駆動力の高さとスピード感の貢献を受けるサウンドにより、オーケストラの抑揚表現が高い。そして何よりも音が壮大なのだ。このアンプは、透明な高〜中音域と迫力があり、熱気のある低域が同居している。
リモコンでソース切り替えをすると、「カチ、カチ」とロータリーエンコーダーのスイッチが動き、ボリュームは周りのギアも一緒に稼働する。本体のボリュームやノブのフィールの良し悪しは主観も混じるところだが、引っかかりもなくスムーズで印象が良い。きっとRA180を作った人は超がつくほどのオーディオマニアだと思う。今回はBTLによる2チャンネルの出力を利用したが、バイアンプ駆動やマルチチャンネル駆動が可能なことなど4つのアンプの使い分けが可能なあたりもオーディオ的には実にクレバーだ。
RA180は『季刊・オーディオアクセサリー 188号』の表紙も飾っており、内容、音質ともにそれに恥じない内容だ。素晴らしいプロダクトの登場に僕は興奮を隠せない。
(提供:トライオード)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー188号』からの転載です。
モダン・ヴィンテージの雰囲気を纏う特徴的なデザインのアンプ
2022年10月28日〜30日に開催された東京インターナショナルオーディオショウ。トライオードブースの一角で来場者が目を留めていたひとつの製品があった。アジアの新進気鋭ブランド、HiFi ROSE(ハイファイローズ)のプリメインアンプ「RA180」である。斬新かつトラッドなそのシャーシに惹かれ、「音質はどうなの?」「デザインだけでも欲しくなる」と様々な来場者たちが声を上げていた。
本機でまず目に付くのが、オーディオ黄金時代を彷彿とさせるフロントフェイス。まるでスイスの時計職人が作ったような精密なスイッチやノブが満載されている、視覚的なメッセージ抜群のデザインだ。左側のスイッチから説明すると、ソースセレクター、トレブル/バス/バランスの調整ノブ、H/Fクロスオーバー、フォノイコライザーの調整部、左/右チャンネルのレベルメーターを装備。そして4つのギアと連動する。ボリューム、ディマースイッチ、サブソニック、アッテネーター、スピーカー切り替えである。
さらに、それぞれのノブやスイッチの多くに、白熱灯の色温度に絶妙に調整されたLEDが仕込まれ、モダン・ヴィンテージの雰囲気を高めている。単に懐かしいだけではなくベーシックな部分でのデザインバランスに優れ、ノブなどの細部の造形も洗練されており、とにかくカッコ良い。
もちろん、来場者たちは外観だけに惹かれたわけではない。RA180はスペック的にもかなり攻めた内容だ。4つの独立したモノアンプ(左右のチャンネルごとに2つ)を備えた4パワーアンプ構成で、BTL(ブリッジ)モードでは、2チャンネルで400W、4チャンネルを単体駆動させると各チャンネル200Wをギャランティする。
背面には合計8系統のスピーカー出力端子を備えており、2系統の個別のスピーカーを接続したり、バイワイヤリング対応のスピーカーをバイアンプ駆動したり、さらに、「H/F CROSSOVER」モジュールを搭載している。端的にいえば、RA180はクロスオーバー機能を実装しているのだ。これにより本機1台でハイマニアの憧れであるスピーカーのマルチチャンネル駆動にも対応してしまう。なんというオーディオライクな構成だろうか。
GaNを採用することで、トランジェントに優れた特性を発揮
そして音質対策にも独自のこだわりが見える。一般的なアンプでは搭載例が少ない窒化ガリウム(GaN)FETトランジスタを採用することで、電流のオーバーシュートが少なくトランジェントに優れた特性を発揮。加えてリンギング歪みやEMI(電磁干渉)対策が徹底され、正確なスイッチング駆動を実現している。
また電源部にはSiC(シリコンカーバイド)FET技術による独自のPFC回路が搭載されたことで、電流と電圧間の位相を揃えた良質なパワーサプライに。電源部が大きな音質的ウエイトを占めるプリメインアンプにおいて、上述したような良質なパーツの搭載は大きなストロングポイントとなるだろう。
入力はRCAシングルエンドが3系統、XLRバランスが1系統、PHONO入力が1系統ある。フォノイコライザー回路周りにも注目点があり、MC/MMのRIAAカーブ対応フォノイコライザー回路が内蔵されているのだが、フロントの調整パネルからターンオーバーを可変できる。
感情表現豊かなヴォーカルに、グラデーションの描きわけも秀逸
RA180と対面、改めてなんと存在感があるデザインだろうか。オーディオルームに設置したら、すばらしく映えそうだ。僕にとってデザインで最もインパクトがあったオーディオ製品はナカミチのDATシステム「Nakamichi 1000/1000P」だったが、それを思い出す。
試聴開始。今回はアナログ再生をメインとして環境を構築した。フェーズメーション「PP-2000」を装着したテクニクスのアナログプレーヤー「SL-1000R」と、スピーカーはB&W「803 D4」という手強い相手だ。しかし、RA180の再生音はその秀逸な外観同様に素晴らしいものがあった。
現代ポップスで人気の女性ヴォーカル、手島葵『Highlights from Simple is best』は、現代的な描写力を持つハイファイな音作りのタイトルだが、ヴォーカルが感情的に聴こえ、ピアノなどの高域から低域にかけてのグラデーションの描きわけも秀逸。
ジョン・ウィリアムズ&ベルリン・フィルは、D級アンプの利点である駆動力の高さとスピード感の貢献を受けるサウンドにより、オーケストラの抑揚表現が高い。そして何よりも音が壮大なのだ。このアンプは、透明な高〜中音域と迫力があり、熱気のある低域が同居している。
リモコンでソース切り替えをすると、「カチ、カチ」とロータリーエンコーダーのスイッチが動き、ボリュームは周りのギアも一緒に稼働する。本体のボリュームやノブのフィールの良し悪しは主観も混じるところだが、引っかかりもなくスムーズで印象が良い。きっとRA180を作った人は超がつくほどのオーディオマニアだと思う。今回はBTLによる2チャンネルの出力を利用したが、バイアンプ駆動やマルチチャンネル駆動が可能なことなど4つのアンプの使い分けが可能なあたりもオーディオ的には実にクレバーだ。
RA180は『季刊・オーディオアクセサリー 188号』の表紙も飾っており、内容、音質ともにそれに恥じない内容だ。素晴らしいプロダクトの登場に僕は興奮を隠せない。
(提供:トライオード)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー188号』からの転載です。