公開日 2024/11/19 06:35
フルテックの電源ボックス&ノイズフィルター、音質改善の効果をアナログ再生で実践!
【特別企画】アナログ再生でさらなる解像度や描写性を引き出すには?
スリム端子で狭い場所にも装着しやすい電源ノイズフィルターと、6口タイプの高品位電源ボックスがフルテックから新発売された。いずれもすでに高評価を得る製品の姉妹モデルで、同社製の高品位パーツや技術を随所に盛り込む。アナログにノイズ対策は不要と思われがちだが、そうなのか? 実際に試してみよう。
長年、手塩にかけ続けてきたアナログ再生システム。「フルボリュームでも一切ハウリングが起こらず、いい音を極めたかのように思えるが、なぜか音の透明度、弱音の深み、さらなる解像度と空間描写性が得られていない」。これは機器を一定にしている場合、電源環境の影響が多いからと想像できる。
パソコンやインバーター内蔵のエアコン、冷蔵庫など家電の排出するノイズが商用電源に影響し、その電源を使用するオーディオ機器は、機器本来の性能や音質が得られなくなる。
それだけではない。良質の電源を回路に供給しているオーディオ機器内の電源部からも、微量ながらノイズを商用電源へ排出する。そのノイズ排出量は、世界各国で規制されているほどだ。
フルテックはこうした電源環境にも着目し、2010年以来、オーディオグレード・インラインフィルターを発売してきた。これは機器と電源ケーブルの間、または電源ボックスと電源ケーブルの間に挟み込むように装着するだけで、ノイズ低減が行えるアイテムだ。
その最新モデルとなる、「Flow-C15 Filter(G)」が今回発売された。本機は、既発売の「Flow-15 Plus」のノイズ低減効果を維持しながら、出力側IECコネクターをスリムタイプの「FI-C15(G)」に変更し、従来の丸形コネクターが挿せない製品にも対応した。汎用性を高めたのだ。
その「FI-C15(G)」のボディは制振性の高いナイロン樹脂が使われ、電極部は金メッキ処理の純銅にα-プロセス処理(超低温処理)を採用。不要ノイズ輻射も低減させている。ケーブル部は銀メッキα-導体(シールドされた3芯銀メッキOFC)で、伝送特性に影響する絶縁体は、振動と外来ノイズを遮断し、柔軟性の高いカーボンパウダー調合の高機能PVCを採用(2重シース構造)。
さらに注目は、フィルターだ。インレットコネクター(入力側)と一体化されているが、その内部には極太の並列コイルとコンデンサーが組み合わされている。特性としては、100kHzで約8dB、500kHzで約14dBのノイズ低減を行い、10MHzでは約33dB、30MHzでは約48dB低減する広帯域ノイズフィルター特性だ。
このフィルターを収容する筐体も制振性の高い特殊樹脂で、ケーブルクランプ部(ケーブルを挟む部分)も重厚な制振ステンレス金属を採用した。
実際に、愛用の半導体フォノイコライザーで使用したが、大きく変化したことは、音の透明度が高まり、微細な音がクローズアップされたことだ。不要な雑味が取り払われた印象だ。これにより、明らかに解像度と空間描写性が高まった。
それだけではなく、弱音から強音のダイナミックレンジが拡張され、カートリッジやフォノイコライザー本来の音が再現されたように思えた。次に真空管フォノイコライザーで試すと、透明感のある美しい余韻や弱音、そして真空管ならではの豊かな倍音が再現された。これも、明らかに本機の効果と言えるだろう。
今回は機会あって、フルテックの新製品の電源ボックス「GTO-D3 NCF(R)」と組み合わせることもできた。まず、本フィルター「Flow-C15 Filter(G)」をフォノイコライザーに使用し、本電源ボックスに接続したが、この音は、さらに静電気とノイズが低減され、ベールを一枚も二枚も剥いだような透明感が得られた。ヴォーカルの声質は、まさに肉声のようだ。
徐々に本フィルター「Flow-C15 Filter(G)」の数を増やし、プリアンプやプレーヤーにも使うと、さらに大きな効果をもたらすことであろう。しかし、これは費用も大変だ。そこで、本電源ボックスの入力に使ったら、どうなるか試してみた。
これも実に良かった。プリアンプ、フォノイコライザー、プレーヤーの静電気とノイズ低減効果が一層、効果的に発揮され、アナログシステム全体が静かになり、予想を超えた高解像度再生が実現した。特に今まで聴こえてはいたが、気に留めなかった微細音がクローズアップされたのだ。
電源ボックス「GTO-D3 NCF(R)」にもノイズ低減効果があるが、さらに電源フィルター「Flow-C15 Filter(G)」を接続すると、ノイズ低減効果が一層高まる。これは商用電源ノイズが低減されただけではなく、本電源ボックスの効果により、機器間のノイズ干渉も低減したからであろう。両製品を組み合わせれば、静電気、振動、さらなる電源ノイズ低減が実現する。しかも、シンプルな構成で価格もリーズナブルだ。
また、フルテックの電源プラグホルダー、「NCF Booster-Brace」シリーズも組み合わせれば、さらに進化するであろう。専門店で試し、徐々にアップグレードしてみよう。
【GTO-D3 NCF(R)】●筐体:特製CNC加工特殊グレードアルミシャーシ+特殊フルオロポリマー製ダンピングフォイル(RFI防止)●IECインレット:「FI-09 NCF(R)」(非磁性ロジウムメッキ、α純銅ロジウムメッキ導体、特殊な「NCF」共振減衰材料を使用したナイロン/グラスファイバー)●出力:GTOシリーズ専用特殊NCFグレードコンセント(非磁性リン青銅素材ロジウムメッキブレード仕様)●アウトレットカバー:「106-D Plus NCF」●内部配線:高純度μ-OFC Alpha-22(3.8sqmm)導体+2層フッ素ポリマーとポリエチレン絶縁体●サイズ:約108.5W×77H×410Dmm(スパイク部除く)●質量(ネット):約3.1kg
【Flow-C15 Filter(G)】《IEC入力部》●導体:24K金メッキα(アルファ)非磁性銅合金●アウターハウジング:ニッケルメッキ鋼板●インナーボックスとカバー:PBT(ポリブチレンテレフタレート)●定格電流/電圧:AC125V 15A/AC250V 10A 50/60Hz 《出力端子》●FI-C15(G) 《ケーブル部》●導体:銀メッキα(Alpha)μ-OFC導体37-strand 0.25mm×2コア、α(Alpha)μ-OFC導体37-strand 0.25mm×1コア●絶縁体:特殊なポリエチレン(赤、白、緑色、外径約3.43mm)●インナーシース:RoHS 指令適合 カーボンパウダー調合柔軟性PVC●シールド:0.12mm α-導体撚り合わせ編組●アウタースリーブ: RoHS 指令適合 柔軟性PVC、外径:約12.9mm
(協力:フルテック)
本記事は『アナログ85号』からの転載です。
電源環境はアナログでも想像以上に影響を受けている
長年、手塩にかけ続けてきたアナログ再生システム。「フルボリュームでも一切ハウリングが起こらず、いい音を極めたかのように思えるが、なぜか音の透明度、弱音の深み、さらなる解像度と空間描写性が得られていない」。これは機器を一定にしている場合、電源環境の影響が多いからと想像できる。
パソコンやインバーター内蔵のエアコン、冷蔵庫など家電の排出するノイズが商用電源に影響し、その電源を使用するオーディオ機器は、機器本来の性能や音質が得られなくなる。
それだけではない。良質の電源を回路に供給しているオーディオ機器内の電源部からも、微量ながらノイズを商用電源へ排出する。そのノイズ排出量は、世界各国で規制されているほどだ。
高評価の電源フィルターがスリム端子モデルで新発売
フルテックはこうした電源環境にも着目し、2010年以来、オーディオグレード・インラインフィルターを発売してきた。これは機器と電源ケーブルの間、または電源ボックスと電源ケーブルの間に挟み込むように装着するだけで、ノイズ低減が行えるアイテムだ。
その最新モデルとなる、「Flow-C15 Filter(G)」が今回発売された。本機は、既発売の「Flow-15 Plus」のノイズ低減効果を維持しながら、出力側IECコネクターをスリムタイプの「FI-C15(G)」に変更し、従来の丸形コネクターが挿せない製品にも対応した。汎用性を高めたのだ。
その「FI-C15(G)」のボディは制振性の高いナイロン樹脂が使われ、電極部は金メッキ処理の純銅にα-プロセス処理(超低温処理)を採用。不要ノイズ輻射も低減させている。ケーブル部は銀メッキα-導体(シールドされた3芯銀メッキOFC)で、伝送特性に影響する絶縁体は、振動と外来ノイズを遮断し、柔軟性の高いカーボンパウダー調合の高機能PVCを採用(2重シース構造)。
さらに注目は、フィルターだ。インレットコネクター(入力側)と一体化されているが、その内部には極太の並列コイルとコンデンサーが組み合わされている。特性としては、100kHzで約8dB、500kHzで約14dBのノイズ低減を行い、10MHzでは約33dB、30MHzでは約48dB低減する広帯域ノイズフィルター特性だ。
このフィルターを収容する筐体も制振性の高い特殊樹脂で、ケーブルクランプ部(ケーブルを挟む部分)も重厚な制振ステンレス金属を採用した。
透明度やDレンジを改善し、美しい余韻や倍音も引き出す
実際に、愛用の半導体フォノイコライザーで使用したが、大きく変化したことは、音の透明度が高まり、微細な音がクローズアップされたことだ。不要な雑味が取り払われた印象だ。これにより、明らかに解像度と空間描写性が高まった。
それだけではなく、弱音から強音のダイナミックレンジが拡張され、カートリッジやフォノイコライザー本来の音が再現されたように思えた。次に真空管フォノイコライザーで試すと、透明感のある美しい余韻や弱音、そして真空管ならではの豊かな倍音が再現された。これも、明らかに本機の効果と言えるだろう。
電源ボックスの入力に使うと相乗効果で高解像度を実現
今回は機会あって、フルテックの新製品の電源ボックス「GTO-D3 NCF(R)」と組み合わせることもできた。まず、本フィルター「Flow-C15 Filter(G)」をフォノイコライザーに使用し、本電源ボックスに接続したが、この音は、さらに静電気とノイズが低減され、ベールを一枚も二枚も剥いだような透明感が得られた。ヴォーカルの声質は、まさに肉声のようだ。
徐々に本フィルター「Flow-C15 Filter(G)」の数を増やし、プリアンプやプレーヤーにも使うと、さらに大きな効果をもたらすことであろう。しかし、これは費用も大変だ。そこで、本電源ボックスの入力に使ったら、どうなるか試してみた。
これも実に良かった。プリアンプ、フォノイコライザー、プレーヤーの静電気とノイズ低減効果が一層、効果的に発揮され、アナログシステム全体が静かになり、予想を超えた高解像度再生が実現した。特に今まで聴こえてはいたが、気に留めなかった微細音がクローズアップされたのだ。
電源ボックス「GTO-D3 NCF(R)」にもノイズ低減効果があるが、さらに電源フィルター「Flow-C15 Filter(G)」を接続すると、ノイズ低減効果が一層高まる。これは商用電源ノイズが低減されただけではなく、本電源ボックスの効果により、機器間のノイズ干渉も低減したからであろう。両製品を組み合わせれば、静電気、振動、さらなる電源ノイズ低減が実現する。しかも、シンプルな構成で価格もリーズナブルだ。
また、フルテックの電源プラグホルダー、「NCF Booster-Brace」シリーズも組み合わせれば、さらに進化するであろう。専門店で試し、徐々にアップグレードしてみよう。
【GTO-D3 NCF(R)】●筐体:特製CNC加工特殊グレードアルミシャーシ+特殊フルオロポリマー製ダンピングフォイル(RFI防止)●IECインレット:「FI-09 NCF(R)」(非磁性ロジウムメッキ、α純銅ロジウムメッキ導体、特殊な「NCF」共振減衰材料を使用したナイロン/グラスファイバー)●出力:GTOシリーズ専用特殊NCFグレードコンセント(非磁性リン青銅素材ロジウムメッキブレード仕様)●アウトレットカバー:「106-D Plus NCF」●内部配線:高純度μ-OFC Alpha-22(3.8sqmm)導体+2層フッ素ポリマーとポリエチレン絶縁体●サイズ:約108.5W×77H×410Dmm(スパイク部除く)●質量(ネット):約3.1kg
【Flow-C15 Filter(G)】《IEC入力部》●導体:24K金メッキα(アルファ)非磁性銅合金●アウターハウジング:ニッケルメッキ鋼板●インナーボックスとカバー:PBT(ポリブチレンテレフタレート)●定格電流/電圧:AC125V 15A/AC250V 10A 50/60Hz 《出力端子》●FI-C15(G) 《ケーブル部》●導体:銀メッキα(Alpha)μ-OFC導体37-strand 0.25mm×2コア、α(Alpha)μ-OFC導体37-strand 0.25mm×1コア●絶縁体:特殊なポリエチレン(赤、白、緑色、外径約3.43mm)●インナーシース:RoHS 指令適合 カーボンパウダー調合柔軟性PVC●シールド:0.12mm α-導体撚り合わせ編組●アウタースリーブ: RoHS 指令適合 柔軟性PVC、外径:約12.9mm
(協力:フルテック)
本記事は『アナログ85号』からの転載です。