公開日 2016/02/02 13:00
4Kドラマはどう作る? dTV初4Kオリジナルドラマ『裏切りの街』制作の裏側
<連載:折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト>
月額500円(税抜)で約12万作品が見放題となる定額制映像配信サービス「dTV」にて、2月1日から同サービス初の4Kオリジナルドラマ「裏切りの街」が配信されている。Netflixが最初から4Kオリジナル作品群を看板のひとつにしていた一方、dTVは「4K環境が整った時点で対応する」と説明していた(関連記事)。4Kテレビの普及率アップなど市場への浸透率があがったことを受け、11月よりアーティストのミュージックビデオを皮切りに4K配信を開始。そして今回、オリジナルドラマ初の4K作品となったのが「裏切りの街」だったというわけだ。
■気鋭の劇作家が禁断の恋愛とその果てを描く『裏切りの街』
『裏切りの街』は、岸田國士戯曲賞を受賞した気鋭の劇作家・三浦大輔氏の同名舞台を映像化したもの。三浦氏は舞台版脚本執筆時から映像化を想定しており、最も映像化を望んでいた、思い入れの強い作品だったのだという。そんなことから、本作は三浦氏が自ら脚本・演出を手掛けた。主演は、三浦氏と他作品でタッグを組んだ実績があり信頼をおく俳優・池松壮亮と寺島しのぶ。物語の最後には、舞台版にはない、後日談にあたるエピソードも追加されている。
全6話構成だが、各話決まった時間ではなく、1話が15分の回もあれば17分の回もあるという、時間の制約のないネット配信らしい構成。
映画のように通しで見られる全話配信も用意されているが、監督のおすすめは各話ずつ見ることだという。
■4Kドラマの制作フローとは?
dTVのような映像配信サービスはスマートフォンやPC、テレビなど、サイズの異なる様々なデバイスで視聴されるものだ。テレビ視聴を前提としたフルHDドラマの作り方と、制作フローはどのように違うのだろうか?
実は、関係者によると「4Kだからといってそれほど違うことはない」のだという。
本作の制作を担当したのは株式会社デジタル・フロンティア。撮影に使用されたのは6KカメラのRED EPIC DRAGONだ。本機は、2Kクオリティで制作・公開される作品の撮影にも用いられている。つまり、特別な機材というより「普段は撮影した映像をフルHDにダウンコンバートするところを、本作ではそのまま使った」ということなのだ。もっともフォーカス合わせは4K作品の方がシビアになるため、今回の撮影には撮影部の人数を増員した。
また画面の構図についても、特にふだんと意識して変えた点はなかったとのこと。dTVオリジナル作品の制作については、作品によりそれぞれ傾向は異なるが、今回の作品は物語のテイストや特性を考え、シネルックとなっている。やや人物の映り方が小さいところも、映画を意識した構図となっている。
dTVではパナソニック“VIERA”やソニー“BRAVIA”に向けて4Kクオリティのテレビ配信をスタートさせている。『裏切りの街』は、映画のように鑑賞すべき作品というわけだ。
一方、4K化によって最も変わった点は「撮影後の編集とポストプロダクション」だったという。
4K映像には様々なフォーマットが存在するが、『裏切りの街』では高品位フォーマット「Apple ProRes 4444 XQ」を採用。編集はレスパスビジョン株式会社が担当した。データ量が膨大なため、レンダリングやカラーグレーディングに掛かる時間が普段よりも多く、進行には苦心したという。
■音響効果にもこだわりを発揮
実はもうひとつ、本作は音響MAにもこだわっている。『裏切りの街』は、dTVの配信で用いられるマスターのほかにも、今後を見据えてパッケージ制作を想定したステレオ音声や、5.1chのマスターも制作したとのこと。それぞれの音響のバランスは、個別に調整されている。配信用の音声では全体的にエッジを立たせ、背景音と声が混ざってしまわないよう、バランスに気を配ったという。ネット配信のみにとどまらない、制作側も映画を撮るのと同じだけの意識を持って作り込みがなされているのだ。
2月1日から「dTV」で配信中の4Kオリジナルドラマ『裏切りの街』、その作品性と画質をぜひチェックしてみてほしい。
■気鋭の劇作家が禁断の恋愛とその果てを描く『裏切りの街』
『裏切りの街』は、岸田國士戯曲賞を受賞した気鋭の劇作家・三浦大輔氏の同名舞台を映像化したもの。三浦氏は舞台版脚本執筆時から映像化を想定しており、最も映像化を望んでいた、思い入れの強い作品だったのだという。そんなことから、本作は三浦氏が自ら脚本・演出を手掛けた。主演は、三浦氏と他作品でタッグを組んだ実績があり信頼をおく俳優・池松壮亮と寺島しのぶ。物語の最後には、舞台版にはない、後日談にあたるエピソードも追加されている。
全6話構成だが、各話決まった時間ではなく、1話が15分の回もあれば17分の回もあるという、時間の制約のないネット配信らしい構成。
映画のように通しで見られる全話配信も用意されているが、監督のおすすめは各話ずつ見ることだという。
■4Kドラマの制作フローとは?
dTVのような映像配信サービスはスマートフォンやPC、テレビなど、サイズの異なる様々なデバイスで視聴されるものだ。テレビ視聴を前提としたフルHDドラマの作り方と、制作フローはどのように違うのだろうか?
実は、関係者によると「4Kだからといってそれほど違うことはない」のだという。
本作の制作を担当したのは株式会社デジタル・フロンティア。撮影に使用されたのは6KカメラのRED EPIC DRAGONだ。本機は、2Kクオリティで制作・公開される作品の撮影にも用いられている。つまり、特別な機材というより「普段は撮影した映像をフルHDにダウンコンバートするところを、本作ではそのまま使った」ということなのだ。もっともフォーカス合わせは4K作品の方がシビアになるため、今回の撮影には撮影部の人数を増員した。
また画面の構図についても、特にふだんと意識して変えた点はなかったとのこと。dTVオリジナル作品の制作については、作品によりそれぞれ傾向は異なるが、今回の作品は物語のテイストや特性を考え、シネルックとなっている。やや人物の映り方が小さいところも、映画を意識した構図となっている。
dTVではパナソニック“VIERA”やソニー“BRAVIA”に向けて4Kクオリティのテレビ配信をスタートさせている。『裏切りの街』は、映画のように鑑賞すべき作品というわけだ。
一方、4K化によって最も変わった点は「撮影後の編集とポストプロダクション」だったという。
4K映像には様々なフォーマットが存在するが、『裏切りの街』では高品位フォーマット「Apple ProRes 4444 XQ」を採用。編集はレスパスビジョン株式会社が担当した。データ量が膨大なため、レンダリングやカラーグレーディングに掛かる時間が普段よりも多く、進行には苦心したという。
■音響効果にもこだわりを発揮
実はもうひとつ、本作は音響MAにもこだわっている。『裏切りの街』は、dTVの配信で用いられるマスターのほかにも、今後を見据えてパッケージ制作を想定したステレオ音声や、5.1chのマスターも制作したとのこと。それぞれの音響のバランスは、個別に調整されている。配信用の音声では全体的にエッジを立たせ、背景音と声が混ざってしまわないよう、バランスに気を配ったという。ネット配信のみにとどまらない、制作側も映画を撮るのと同じだけの意識を持って作り込みがなされているのだ。
2月1日から「dTV」で配信中の4Kオリジナルドラマ『裏切りの街』、その作品性と画質をぜひチェックしてみてほしい。