公開日 2025/01/10 06:30
『時効警察』のコンビが贈る!ひとりぼっちの男ふたりの心ほどける東京散歩ムービー
【第149回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2007年公開の『転々』をご紹介します!
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『転々』(2007年・日本)
(配信:U-NEXT / Hulu )
直木賞作家・藤田宜永の同名小説を、テレビドラマ『時効警察』シリーズなどで知られる三木聡監督が映画化。84万円の借金を抱える大学8年生の文哉(オダギリジョー)は、借金取りの福原(三浦友和)から奇妙な提案を持ちかけられる。それは、借金をチャラにする代わりに、目的地を霞ヶ関とした東京散歩に付き合えというものだった。しかも、報酬100万円付き。返済の当てもない文哉は、胡散臭さを感じながらも渋々散歩に付き合うことにするのだが……。
『時効警察』シリーズをはじめ、ユーモラスでオフビートなゆるい笑いが売りの三木作品。本作においてもその魅力が存分に発揮されているのだが、他の三木作品と比較すると決定的に異なる部分が一つある。それは、笑いよりもドラマに重点が置かれているという点だ。近年『万引き家族』や『SPY×FAMIRY』など、“擬似家族”をテーマとした作品が注目を浴びることが多いが、2007年公開の本作においてもそういった要素が扱われており、東京のあちこちを巡る散歩のなかで、親の愛を知らずに育った文哉と、子供のいない福原の擬似親子のような関係性が構築されていく。
さらには、小泉今日子演じる麻紀子と、(デビュー間もないながらも異様な存在感を放つ)吉高由里子演じるふふみも加わり、4人は擬似家族の形を成していく。かといって、重苦しく、胸が締め付けられてしまうようなガチガチの人間ドラマを描いているわけではなく、合間合間で三木ワールド全開の笑いが顔を出し、その按配がとても絶妙なのだ。ちょっぴり笑えて、ちょっぴり感動できる。そんな心地良さを宿しており、構えることなく気軽に楽しめる作品です。そして、本作を目にしたのなら、俳優・岸辺一徳の名前がその心に刻まれることでしょう。
(c)2007「転々」フィルムパートナーズ
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
『転々』(2007年・日本)
(配信:U-NEXT / Hulu )
直木賞作家・藤田宜永の同名小説を、テレビドラマ『時効警察』シリーズなどで知られる三木聡監督が映画化。84万円の借金を抱える大学8年生の文哉(オダギリジョー)は、借金取りの福原(三浦友和)から奇妙な提案を持ちかけられる。それは、借金をチャラにする代わりに、目的地を霞ヶ関とした東京散歩に付き合えというものだった。しかも、報酬100万円付き。返済の当てもない文哉は、胡散臭さを感じながらも渋々散歩に付き合うことにするのだが……。
『時効警察』シリーズをはじめ、ユーモラスでオフビートなゆるい笑いが売りの三木作品。本作においてもその魅力が存分に発揮されているのだが、他の三木作品と比較すると決定的に異なる部分が一つある。それは、笑いよりもドラマに重点が置かれているという点だ。近年『万引き家族』や『SPY×FAMIRY』など、“擬似家族”をテーマとした作品が注目を浴びることが多いが、2007年公開の本作においてもそういった要素が扱われており、東京のあちこちを巡る散歩のなかで、親の愛を知らずに育った文哉と、子供のいない福原の擬似親子のような関係性が構築されていく。
さらには、小泉今日子演じる麻紀子と、(デビュー間もないながらも異様な存在感を放つ)吉高由里子演じるふふみも加わり、4人は擬似家族の形を成していく。かといって、重苦しく、胸が締め付けられてしまうようなガチガチの人間ドラマを描いているわけではなく、合間合間で三木ワールド全開の笑いが顔を出し、その按配がとても絶妙なのだ。ちょっぴり笑えて、ちょっぴり感動できる。そんな心地良さを宿しており、構えることなく気軽に楽しめる作品です。そして、本作を目にしたのなら、俳優・岸辺一徳の名前がその心に刻まれることでしょう。
(c)2007「転々」フィルムパートナーズ
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。 |