公開日 2018/02/23 08:00
配信がまさかの大健闘
UHD BDとiTunesの4K/HDR映像をガチンコ比較!「パッケージソフトが最高画質」は本当か?
秋山 真
パッケージメディア(光ディスク)こそ最高画質、配信の画質はそれに及ばない − 。これは多くのAVファンの共通認識だろう。だが配信の画質が年々向上する中、その常識はいまでも通用するのか。パナソニックハリウッド研究所(PHL)で数々の高画質BDソフトのエンコードを手がけたのち帰国し、現在もパッケージソフトや配信の高画質化を手がける秋山真氏が、両者の画質を徹底的に検証した。
4K Ultra HDブルーレイ(以下UHD BD)がテイクオフしてから2年が経った。当初はタイトル数がなかなか増えず、画質もピンキリという感じで少し心配していたのだが、製作側のノウハウ蓄積と、さらには昨年来の有機ELテレビの普及も追い風になって、ようやく安定供給されるようになった感がある。
一方の配信系では、Netflixを嚆矢にAmazonプライム・ビデオ、ひかりTVなどが4K/HDR配信を展開している。しかし各社ともオリジナル作品が多いこともあり、また仮に同じタイトルがあったとしても「配信系は映像ビットレートが低い=画質が良くない」という固定観念が根強いせいか、UHD BDと直接比較したというレポートはあまり見かけない。
筆者は昨年「君の名は。」のUHD BD製作にも関わった(関連記事)一方、2年前から国内向け映像配信サービス「ビデオマーケット」で、配信画質向上プロジェクトにも取り組んでいる。
いわば、パッケージメディアと配信の両面から高画質タイトルの拡充を目指しているわけだが、特に昨今は、HEVCの採用で低ビットレート時における圧縮品質の向上が目覚ましく、配信とパッケージの画質差は、MPEG-4 AVCの頃とは比べものにならないほど近くなっている。
そんな状況の中、昨年末にApple TV 4Kを短時間テストする機会があった。というのも、tvOSが11.2にアップデートされ、映画コンテンツの24p出力が可能になったという話を耳にしたからだ(関連ニュース)。
実はApple TVをはじめ、Fire TV、ChromecastといったHDMI経由でディスプレイと接続するプレーヤーでは(UHD BDプレーヤーによる配信コンテンツ再生も含む)、メニュー画面(60フレーム)から本編(24フレーム)にジャンプする際、HDMIの同期が一旦切れてブラックアウトするのを嫌い、60p固定出力となっていた(これは某社の意向だと言われる。ちなみにREGZAの内蔵アプリは24p再生が可能)。つまり映画コンテンツの再生時には2-3プルダウン処理を行っていたことになる。ここにAppleが風穴を開けたのだ。これは画質にこだわる人には見逃せないアップデートである。
さらに意外だったのが、iTunesでハリウッド作品の4K/HDRコンテンツ数がかなり充実していたことだ。ふだんはビデオマーケットとAmazonプライム・ビデオを利用しているため、これまでiTunesをあまり注視して来なかったのだが、タイトル数こそUHD BDには及ばないものの、筆者がリファレンスにしている作品はほとんど揃っており、しかもその多くがDolby Vision対応となっていた(編注:2018年2月21日時点で129タイトルが4K/HDRタイトルとしてラインナップされていた)。
そして何よりショックを受けたのが、その画質の良さだ。その時は「レヴェナント」(HDR10)を視聴したのだが、パッと見では私の眼でもUHD BDとの差が分からないほどで、これには正直動揺を隠せなかった。
それ以来、じっくりApple TV 4Kをテストしてみたいと思っていたのだが、先日拙宅にREGZA「55X910」が導入され、厳密な画質比較ができる環境が整ったこともあり、編集部に本企画を提案した次第である。ついに配信とUHD BDをガチンコ対決させる時が来た。
4K Ultra HDブルーレイ(以下UHD BD)がテイクオフしてから2年が経った。当初はタイトル数がなかなか増えず、画質もピンキリという感じで少し心配していたのだが、製作側のノウハウ蓄積と、さらには昨年来の有機ELテレビの普及も追い風になって、ようやく安定供給されるようになった感がある。
一方の配信系では、Netflixを嚆矢にAmazonプライム・ビデオ、ひかりTVなどが4K/HDR配信を展開している。しかし各社ともオリジナル作品が多いこともあり、また仮に同じタイトルがあったとしても「配信系は映像ビットレートが低い=画質が良くない」という固定観念が根強いせいか、UHD BDと直接比較したというレポートはあまり見かけない。
筆者は昨年「君の名は。」のUHD BD製作にも関わった(関連記事)一方、2年前から国内向け映像配信サービス「ビデオマーケット」で、配信画質向上プロジェクトにも取り組んでいる。
いわば、パッケージメディアと配信の両面から高画質タイトルの拡充を目指しているわけだが、特に昨今は、HEVCの採用で低ビットレート時における圧縮品質の向上が目覚ましく、配信とパッケージの画質差は、MPEG-4 AVCの頃とは比べものにならないほど近くなっている。
そんな状況の中、昨年末にApple TV 4Kを短時間テストする機会があった。というのも、tvOSが11.2にアップデートされ、映画コンテンツの24p出力が可能になったという話を耳にしたからだ(関連ニュース)。
実はApple TVをはじめ、Fire TV、ChromecastといったHDMI経由でディスプレイと接続するプレーヤーでは(UHD BDプレーヤーによる配信コンテンツ再生も含む)、メニュー画面(60フレーム)から本編(24フレーム)にジャンプする際、HDMIの同期が一旦切れてブラックアウトするのを嫌い、60p固定出力となっていた(これは某社の意向だと言われる。ちなみにREGZAの内蔵アプリは24p再生が可能)。つまり映画コンテンツの再生時には2-3プルダウン処理を行っていたことになる。ここにAppleが風穴を開けたのだ。これは画質にこだわる人には見逃せないアップデートである。
さらに意外だったのが、iTunesでハリウッド作品の4K/HDRコンテンツ数がかなり充実していたことだ。ふだんはビデオマーケットとAmazonプライム・ビデオを利用しているため、これまでiTunesをあまり注視して来なかったのだが、タイトル数こそUHD BDには及ばないものの、筆者がリファレンスにしている作品はほとんど揃っており、しかもその多くがDolby Vision対応となっていた(編注:2018年2月21日時点で129タイトルが4K/HDRタイトルとしてラインナップされていた)。
そして何よりショックを受けたのが、その画質の良さだ。その時は「レヴェナント」(HDR10)を視聴したのだが、パッと見では私の眼でもUHD BDとの差が分からないほどで、これには正直動揺を隠せなかった。
それ以来、じっくりApple TV 4Kをテストしてみたいと思っていたのだが、先日拙宅にREGZA「55X910」が導入され、厳密な画質比較ができる環境が整ったこともあり、編集部に本企画を提案した次第である。ついに配信とUHD BDをガチンコ対決させる時が来た。