公開日 2019/01/07 05:00
サムスンの2019年テレビが対応
アップル方針転換の衝撃。他社製テレビへiTunes提供、「サービス重視」戦略が顕著に
編集部:風間雄介
サムスン製のスマートテレビが、アップルのiTunes コンテンツ再生に対応する。言い換えれば、アップルがiTunesコンテンツの再生をサムスンに開放した。CES 2019の開催直前に、映像配信業界全体を巻き込む大きなニュースが飛び込んできた。
改めて説明するまでもないが、これまでアップルは、自社製デバイスと自社製ソフト、自社が提供するコンテンツを使ったクローズドプラットフォームを作り、ハードとソフトを統合した体験を提供することで優位性を築いてきた。今回の決定は、その方針を大きく変えることを意味している。
先日お伝えしたように、アップルは直近の決算期でiPhoneの売上げが目標未達に終わりそうだと発表した一方、サービス部門の売上げが堅調に伸びていることをアピールしている。そして以前から、アップルが独自の映像コンテンツ制作やサブスクリプション配信へ本格的に乗り出すのではないかという噂もくすぶっている。
そして言うまでもなく、もしアップルが映像コンテンツ分野に乗り出すとしたら、NetflixやAmazonなど既存の強者に対抗しなければならない。主要デバイスに対応している両社に比べ、アップルは自社製デバイスでしか再生できないというのでは、消費者から支持を受けるのは難しい。「アップルの映像コンテンツを大画面で見たい? ならApple TVを買ってください」というのが、同社のこれまでのスタンスだったが、それでは限界があるということだ。
こういった状況のもと、アップルのコンテンツをより多くの消費者に提供するため、テレビで世界ナンバーワンのシェアを持つサムスンと手を組んだというのが、今回の協業の背景だ。アップルのインターネットソフトウェア&サービス部門 SVPのEddy Cue氏自身が、「サムスンのスマートテレビを通して、iTunesやAirPlay 2のエクスペリエンスをさらに多くの消費者へ届けたい」とコメントしている。
さて、アップルが本当に映像制作を本格的に開始するか、今のところ定かではないが、いずれにせよ、映像コンテンツやサービスの売上げを今後大きく拡大させるための協業と考えるべきだ。そして、iTunesのセル/レンタルという方法がいまの時代にフィットしているかというと、はなはだ疑問だ。今後の発展を考えてプラットフォームを他社にも広げたのだから、そこに乗るコンテンツも、質・量や提供形態など、何らかの進化を遂げると考えるのが自然だろう。
iTunesコンテンツの提供について細かなことをいうと、ドルビービジョンを推しているアップルのiTunesに対し、サムスンはHDR10+を推進しており、その整合性をどう取るのかなど、オーディオビジュアルメディアとして気になることはあるが、これらはどちらかといえば些末な問題。アップルが大きく方針を変換したこと、そしてその方針変更が示唆することの方が、一般的にはインパクトが大きい。
これまでにも変化の兆しは見られた。音楽分野では、Amazon EchoでApple Musicを利用可能にした(ただし日本ではまだ未対応)。満を持して投入したHomePodsが少なくとも売上げ的には成功と言いにくい中、挽回したいところだが、その前にこの分野の巨人と手を組んだわけだ。
これらの決断からわかるとおり、「ハードを売るためにソフトに力を入れる」だけでなく、自社製デバイスを飛び越えて、「ソフトを “より多く” 売る」ため、他社とも積極的に連携するという柔軟路線に、アップルはすでに移行した。
今後の動きで気になるのは、アップルが自社サービスの他社デバイスへの開放をどの程度まで広げるかということだ。サムスンのニュースリリースを見る限り、iTunesコンテンツの再生に関しては当面サムスンのスマートテレビ独占になるようだが、恐らく独占期間が設けられているだろう。
独占期間が過ぎたら他社製テレビやデバイスにも一気に開放するのか、それとも少しずつデバイスを広げていくのか。これは視聴者の個人情報などプライバシーの扱いにも関わる問題だけに、アップルがどのようなロードマップを描いているのか気になるところだ。
改めて説明するまでもないが、これまでアップルは、自社製デバイスと自社製ソフト、自社が提供するコンテンツを使ったクローズドプラットフォームを作り、ハードとソフトを統合した体験を提供することで優位性を築いてきた。今回の決定は、その方針を大きく変えることを意味している。
先日お伝えしたように、アップルは直近の決算期でiPhoneの売上げが目標未達に終わりそうだと発表した一方、サービス部門の売上げが堅調に伸びていることをアピールしている。そして以前から、アップルが独自の映像コンテンツ制作やサブスクリプション配信へ本格的に乗り出すのではないかという噂もくすぶっている。
そして言うまでもなく、もしアップルが映像コンテンツ分野に乗り出すとしたら、NetflixやAmazonなど既存の強者に対抗しなければならない。主要デバイスに対応している両社に比べ、アップルは自社製デバイスでしか再生できないというのでは、消費者から支持を受けるのは難しい。「アップルの映像コンテンツを大画面で見たい? ならApple TVを買ってください」というのが、同社のこれまでのスタンスだったが、それでは限界があるということだ。
こういった状況のもと、アップルのコンテンツをより多くの消費者に提供するため、テレビで世界ナンバーワンのシェアを持つサムスンと手を組んだというのが、今回の協業の背景だ。アップルのインターネットソフトウェア&サービス部門 SVPのEddy Cue氏自身が、「サムスンのスマートテレビを通して、iTunesやAirPlay 2のエクスペリエンスをさらに多くの消費者へ届けたい」とコメントしている。
さて、アップルが本当に映像制作を本格的に開始するか、今のところ定かではないが、いずれにせよ、映像コンテンツやサービスの売上げを今後大きく拡大させるための協業と考えるべきだ。そして、iTunesのセル/レンタルという方法がいまの時代にフィットしているかというと、はなはだ疑問だ。今後の発展を考えてプラットフォームを他社にも広げたのだから、そこに乗るコンテンツも、質・量や提供形態など、何らかの進化を遂げると考えるのが自然だろう。
iTunesコンテンツの提供について細かなことをいうと、ドルビービジョンを推しているアップルのiTunesに対し、サムスンはHDR10+を推進しており、その整合性をどう取るのかなど、オーディオビジュアルメディアとして気になることはあるが、これらはどちらかといえば些末な問題。アップルが大きく方針を変換したこと、そしてその方針変更が示唆することの方が、一般的にはインパクトが大きい。
これまでにも変化の兆しは見られた。音楽分野では、Amazon EchoでApple Musicを利用可能にした(ただし日本ではまだ未対応)。満を持して投入したHomePodsが少なくとも売上げ的には成功と言いにくい中、挽回したいところだが、その前にこの分野の巨人と手を組んだわけだ。
これらの決断からわかるとおり、「ハードを売るためにソフトに力を入れる」だけでなく、自社製デバイスを飛び越えて、「ソフトを “より多く” 売る」ため、他社とも積極的に連携するという柔軟路線に、アップルはすでに移行した。
今後の動きで気になるのは、アップルが自社サービスの他社デバイスへの開放をどの程度まで広げるかということだ。サムスンのニュースリリースを見る限り、iTunesコンテンツの再生に関しては当面サムスンのスマートテレビ独占になるようだが、恐らく独占期間が設けられているだろう。
独占期間が過ぎたら他社製テレビやデバイスにも一気に開放するのか、それとも少しずつデバイスを広げていくのか。これは視聴者の個人情報などプライバシーの扱いにも関わる問題だけに、アップルがどのようなロードマップを描いているのか気になるところだ。