「テレビの原点的な価値を追求」
「キーワードは“原点回帰”」 ー 東芝REGZA「Z8」開発者インタビュー
「テレビをとことん感動してもらうという意味では、クラウドサービスも活用しながらタイムシフトマシンの使い勝手を広げていくことがますます重要になると考えています」と本村氏は語る。その中核となる機能である「みどころシーン再生」の魅力について、開発を担当した金子祐紀氏が説明を続ける。
「タイムシフトマシンの録画番組の中から“大事なコンテンツ”にどうすれば出会えるのか、REGZAではその一つの解として“ざんまいプレイ”を用意しました。さらにその先を突き詰めて“シーン単位”でコンテンツが再生できれば、より使い勝手が高まると考えて、“みどころシーン再生”機能を開発しました」(金子氏)
インターネット上のクラウドサービスに接続する理由は、ひとつには録画番組の「シーン情報」をクラウドから取得する必要があるからだ。もう一つはコンテンツサービスに関連する情報の更新サイクルに合わせるためには、テレビ側のプログラムを更新しながら対応するよりも、HTML5とクラウドサーバー技術に基づくTimeOnのプラットフォームで対応した方がより効率的であり、ユーザーのニーズにもタイムリーに応えられるからだという。「テレビをインターネットに接続することは目的でなく手段です。同様にクラウドを活用する理由についても目的ではなく、手段です。ここでの目的は即ち、テレビを楽しんでいただくことに尽きます」と本村氏はコメントする。
HTML5ベースの「TimeOn」は、ユーザーの声を受けながら新たな機能を比較的容易に作り込める点もメリットであるという。「表示の速度改善なども含めて、月1回ほどのペースで使い勝手の細かな改善など、マイナーチェンジも含めたバージョンアップに対応しています」(金子氏)
「TimeOn」の「みどころシーン再生」のメニュー画面に進むと、「スポーツ特集」や「グルメ特集」など、東芝がレコメンドする特集テーマのバナーが表示されている。月一回更新の特集は東芝のスタッフが自ら企画し紹介しているものだ。例えばグルメであれば、タイムシフトマシンの録画内容から“グルメ”や“美味しい”などのキーワードによるAND検索でヒットした、美味しいお店や、レシピなどを紹介する番組シーンがピックアップされる。検索ワードの誤差調整などは、金子氏をはじめ東芝の開発スタッフが地道に手作業で行っているそうだ。「これまで最も評判が良かったキーワードは、AKB48総選挙のタイミングに合わせて展開した“女性アイドル特集”でした。またテレビ番組の改編時期に実施した“番宣特集”も、新しいドラマの見所などが手早く調べられるということで好評でした」という。
タイムシフトマシンの資産を幹にして、新しい機能やサービスの枝葉が伸びてくるのもREGZAならではと言える。「タイムシフトマシンを利用されているユーザーの声をヒアリングしていると、『テレビを見る時間が増えた』という方が増えているようです。面白い番組がたくさん放送されていることを発見して、よりテレビが好きになったという声もよく聞きます。日本のテレビ番組にはリッチなコンテンツが溢れているのに、これまではそれを見つけることが出来なかっただけなのだと思います」(本村氏)
■進化を続ける「レグザエンジンCEVO」
東芝REGZAの心臓である映像エンジン「レグザエンジンCEVO」が、2011年に発売されたREGZA「Z2」シリーズ(関連ニュース)に初めて搭載されてから2年半が経った。エンジン側にはまだ余力があるのだろうか。