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「テレビの原点的な価値を追求」

「キーワードは“原点回帰”」 ー 東芝REGZA「Z8」開発者インタビュー

公開日 2013/12/09 15:15 山本 敦
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住吉氏、直下型バックライトシステムの利点は大きく4つあると説明する。一つは明るさが自由にコントロールできることから、パネルの輝度を大幅に高められること。エッジライト方式ではLEDを配置できる数が物理的に決まってくるため、明るさの最大値に制約が生まれる。一方で直下型のシステムではLEDの配置数を自由に決められるので、明るさを高めることが可能になる。

住吉氏

ふたつめのメリットはエリアコントロールの部分制御が容易になるため、コントラスト感を向上させられること。そして3つめにはバックライトのLEDが選択できるので、色域範囲が自由に設定できること。そして住吉氏が最後の4つめの要素に挙げるのがバックライトスキャニングへの効果だ。

「一般的には、バックライトスキャニングを行うことで動画応答性能が向上します。ただ一方では、動画応答性能の改善と引き替えに、画面が暗くなってしまうトレードオフが発生します。輝度性能のベースポテンシャルが高いパネルを使うことで、バックライトスキャニングの有効駆動が可能になります。明るさが倍になるとバックライトが点灯しなければならない時間が従来の半分になり、バックライトスキャニングの効果が高まってインパルス駆動に近づきます。これにより通常の明るさの部屋でバックライトを絞った状態で映像を視聴していても、動画ボケが少なく精細感の高い映像を楽しむことができます」(住吉氏)

Z8シリーズに搭載されている「ハイダイナミックレンジ復元」の効果により、白の階調表現がより豊かになったことについても住吉氏は言及。「カメラで撮影された映像をテレビで表示する際、まずカメラで白ツブレを防ぐために輝度情報を圧縮しながら映像信号として記録します。被写体本来の明るさをディスプレイで再現するためには、通常の4倍(400%)ほどの明るさが必要です。そこで、テレビの“ダイナミック”や“リビング”などの映像モードでは、映像の白く明るい輝きの部分を美しく見せるため、白領域のガンマをフラットにしながら階調性を犠牲にして、中間輝度を上げることで人間の目の特性に合わせた明るさ感をつくっています」

つまり通常の場合はカメラとテレビの両側で、明るさの情報を圧縮記録した映像を見ていることになる。REGZA Z8シリーズではハイダイナミックレンジ復元の技術により、圧縮されてしまった高輝度領域の情報を正確に再現することができる。これに高輝度パネルの性能を活かすことで、明部の階調性に富んだ美しい白の表現と、白ピークの輝きが出せるようになったという。住吉氏は「テレビの画づくりとして、明部を寝かさなくてもきちんとした明るさが確保できるということが最大のメリットになる」という。その効果として、例えばスポットライトが当たっている人の肌にも質感が加わって、色乗りがしっかりと出てくるようになる。


■明るいパネルがテレビの色再現力も高める

明るいパネルのポテンシャルは、色彩感の表現力向上にもつながってくる。Z8シリーズのバックライトには広色域LEDが搭載されており、従来比で約14%もの色域拡大が実現された。しかし単に色域が広がっただけで、映像の色合いが自然なバランスに整うわけではないと、画質設計を担当する山内日美生氏は説明を続ける。

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