【特別企画】RMEの最先端を具現化した注目機
Babyface Proのサウンドをオーディオファン目線で分析 ― 理論に裏付けられた音楽的表現
新しい電源ジェネレーターで最上位に迫る性能 − 独自のFPGAテクノロジーももちろん搭載
Babyface Proは、USBオーディオインターフェースの分野で業界をリードするRMEの製品だけあり、コンパクトながら独自の高音質化技術が多数搭載されている。高いクロック精度と低ジッターを実現するRME独自のクロック技術「Steady Clock」の最新世代の搭載はもちろんのこと、基本的にはバスパワーで動作するモデルでありながら、新しい電源ジェネレーターを装備したことで価格帯としては数ランク上のモデルとなるADI-8 DS Mk IIIと同じ最大118dBAのSN比を誇るAD/DAチップを搭載している点も見逃せない。
また、本機を通常のモードで動かす場合はWindowsであれMacであれ専用ドライバを使用する仕組みとなっているが、RMEではこのドライバを全て自社開発し、アップデート可能なFPGAに実装している。これはデバイスの能力を最大限に発揮するためには必須となることで、OSがバージョンアップされた場合にも迅速に対応することが可能となる。一度導入した機器を長く使うことが前提となるプロ機ならではの配慮ともいえるが、このことは僕たちオーディオファンにとってもおおいに注目するべき部分と言えるだろう。
ゼロから設計された新世代機 − 採用されたこと全てに理由がある
今回は自宅視聴環境にBabyface Proを持ち込み、使用感と音質をテストした。早速、自宅に届いたダンボールを開けると、黒いハードケースに入った「Babyface Pro」が現れた。
噂には聞いていたのだが、実際に手にとって見ると本機はプロ機とは思えないほどの高いデザイン性を誇る。シルバーカラーの筐体は、旧Babyfaceのアルミ押し出しパネルからアルミ削り出しに変更。スティール・ボール・ブラスティングという独特の表面処理がされており、とにかく美しいのだ。家のハイファイオーディオシステムの横にノートパソコンと共に設置したが、全く違和感がない。
実はこの美しい仕上げには、見た目だけではないしっかりとした裏づけがある。傷や腐蝕に強く、長期間の使用でもその質感を保つため、そして高い耐久性を実現するべく選ばれたのが、このスティール・ボール・ブラスティングという処理だったのだ。
さらにアルミ削り出しの小型のボディも、今回のBabyface Proの性能を実現するために極限まで部品を詰める必要性から、できる限り精度の高い筐体が必要となったため採用されていることも見逃せない。また、LEDディスプレイの表示内容、操作ボタンの数や配置なども見直されており、ひと目見て操作性が高まっていることが分かる。
デザインひとつとってもこれまで「制作向け」と言われていたRMEの機器が、結果としてひとつの「ハイファイ・オーディオ機器」としての魅力を備えたのは間違いないが、そこにはいずれも高性能化のための理由があるのだ。
また、僕たちオーディオファイルにとって注目したいのは、本機はコンパクトなオーディオインターフェースとしては珍しく、本体にバランス接続出力端子を持つことだ。旧Babyfaceではブレークアウトケーブルを使用する必要があったし、多くの製品は本体に用意されているのは民生機では採用がないフォーンジャックによる出力だ。ダイレクトにXLRバランスで接続できることによる音質的なメリットは大きいだろう。