App StoreやSiri対応の実力とは
第4世代「Apple TV」レビュー。「テレビの未来はアプリ」は本当か?
■Apple TVのApp Storeは成功するか?
スマホやタブレットとテレビとでは、まず画面サイズが違うし、後述するようにインターフェースも異なる。また多くの場合、テレビはソファーにもたれたりなど、リラックスした体勢で楽しむものだ。
つまりiPhoneと同じ画面デザインやナビゲーションをそのままテレビ向けに持ってきても、使い勝手がよいものにはならない。また、スマホを使い手元で操作する方が便利なアプリを、わざわざテレビ向けに作り直しても支持は得られないだろう。テレビで操作する方が快適で、かつクオリティの高いものを作ろうとすれば、それなりに投資は必要だ。
iPadについて考えてみよう。iPadは人気に翳りが出ていると言われているが、いまだに毎年数千万台のペースで売れており、おそらく累計で3億台ほどが販売されたはずだ。それでも、いまだに人気アプリのiPad版が用意されていないことは多い。こういった現実を見るにつけ、新Apple TVの普及状況や他社の動向などを見ながら、本腰を入れるかどうかを判断するデベロッパーが多数派となるのは、想像に難くない。
実のところ、テレビ向けのアプリストアというアイデア自体は、目新しいものなどでは全くない。多くのテレビメーカーやGoogleなどが、何年も前からチャレンジしていることだ。
だがこれまで、開発者とプラットフォーマーがともに潤い、活発なアプリ開発や販売が行われているアプリストアは、ほぼ存在しなかったと言って良い。
App Storeがその状況を覆し、iOSのようなアプリ開発ブームを起こせるのか、それともエコシステムがうまく回り出す閾値を超えず、低調なまま推移するのか。よく例えに使われるニワトリとタマゴの話がここでも繰り返されるわけだが、筆者は、ゲームがその成否の鍵を握る重要な要素と考えている。続いて、ゲームを遊んでみたインプレッションを報告する。
■ゲームがApp Storeの成否のカギを握る
なぜゲームが、テレビ向けApp Store成功のために重要なのだろうか。
前述のように、スマホやタブレットの方が使いやすいアプリをテレビで展開しても、あまり意味は無い。テレビの大画面が活かせるコンテンツの代表格は映画やドラマ、スポーツなどだが、動画視聴アプリはほかのSTBと差を出しづらい。
一方でゲームも、映画などと同じく大画面に向いているコンテンツだ。日本は携帯ゲーム機が優勢だが、米国などでは据え置き機の需要が依然として大きい。
App Storeからアプリをインストールして遊ぶことができれば、ゲーム市場の一角に食い込み、新たな市場を形成できる可能性がある。実際にアップルも新Apple TVの発表時に、ゲームにかなりの時間を割いてプレゼンしていた。