App StoreやSiri対応の実力とは
第4世代「Apple TV」レビュー。「テレビの未来はアプリ」は本当か?
■Siri Remoteへのいくつかの注文
ホームシアターなどでは暗い部屋でリモコンを操作することも多いが、Siri Remoteでは、リモコンを見ずにボタンを押す、いわゆるブラインド操作は、あまり快適に行えない。
Siriボタンのみ表面を凹ませて、触覚だけでボタンを判別できるよう工夫しているのだが、筆者の場合、特にメニューボタンとSiriボタンを押し間違えることが多い。前の画面に戻ろうとして、間違えてSiriを呼び出すことが頻発した。たとえばメニューボタンの真ん中に小さな突起を付けるなど、ほんの小さな工夫を行えば、このような誤操作が減り、さらに快適になったはずだ。
シンメトリーデザインのためか、リモコンの上下を間違えることも多い。パッと見でどちらが上かわかりづらく、毎回確認して持ち直す必要がある。タッチ操作できる「Touchサーフェス」部の表面はザラザラしていて、持ち手の部分は滑らかな表面となっている。ふだんパソコンのタッチパッドで「ツルツルしている部分を触る」という刷り込みがあるのか、指を動かしてもまったく反応しせず、手元を見ると上下が逆ということが多くあった。慣れの問題もあるが、リモコンの形状や色などで工夫する余地はあったと思う。
また、リモコンだけでは文字入力が非常に行いづらい。特にパスワードや検索文字を入力する際、横一列に並んだアルファベットやひらがなを何度も往復して文字入力するのは、苦行以外の何物でもない。
本来、この文字入力の不便さを助けるのが音声入力のはず。アップルもそう考えたのだろう、「映画」など純正アプリの場合、検索窓でSiriボタンを押すことで音声による文字入力が行え、快適に検索が行える。
ただしこの音声による文字入力は、NETFLIXやYouTubeなどサードパーティー製アプリではまだ行えない。たとえばYouTubeアプリの検索画面で「ドラえもん」と音声入力すると、iTunes ムービーの「スタンド・バイ・ミー/ドラえもん」が表示されるといった具合だ。
これまでApple TVは、文字入力はスマホで行う方が楽だと割り切って、iOSアプリ「Remote」に任せていた感がある。筆者宅では、2年ほど前から第3世代Apple TVのリモコンが行方不明なのだが、操作はすべてiOSアプリのRemoteで行っていたため、ほとんど不自由を感じなかった。
だが原稿執筆時点で、iOSアプリのRemoteは第4世代Apple TVに対応していない。他社製アプリで文字入力する場合、Siri Remoteを使い、使いづらいインターフェースで検索文字を入力するのが基本となる。これは結構なストレスだ。
Bluetoothキーボードを接続するといった対処方法もあるが、それも面倒だ。Siriの音声入力APIが今後サードパーティに公開されるという情報もあるため、将来的には他社製アプリでも音声による文字入力ができるようになるだろう。早期の実現を期待したい。